「都構想」協定書の新旧比較 ④
財政調整

2020.08.28
  • 新案の「特別区財政調整交付金」の項目に、旧案にない「算定」が加えられました。
  • 基準財政収入額の基準税率は85%と明記しました。
  • しかし、地方交付税制度では基準税率は75%で、25%は留保財源として自治体の自主財源です。
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吉村知事や松井市長は今回の協定書は前回のものをバージョンアップしたものだと胸を張っています。前回の協定書より大阪市民にとって良いものになったのでしょうか。冷静に両者を比較して、検討してみたいと思います。

新旧比較 「財政調整」

一般市や東京の特別区より自主財源は少なくなります

新案の「特別区財政調整交付金」の項目に、旧案にはなかった「算定」が付け加えられました。

2.特別区と大阪府の財政の調整
(二)特別区財政調整交付金の種類・割合・算定
・基準財政需要額の算定
普通交付税の算定方法に準じて算定される基準財政需要額を基本とし、生活保護費などの義務度の高い経費を実態に応じて算定するとともに、大阪市が特別区の設置の日の前日までに発行した地方債(以下「既発債」という。)の償還に係る各特別区の負担額、及びその他各特別区の需要に充てるための人口に応じた額を算定するものとする。
ただし、特別区に臨時財政対策債の発行可能額が算定される場合は、当該発行可能額を控除するものとする。

外部リンク
大阪府:特別区設置協定書(案)P.7

この文の前に、普通交付金の算定方法を地方交付税法の普通交付税の算定方法を概ね準用することを明記したうえで、基準財政需要額については、生活保護等の義務度の高い経費を実態に応じて算定すること、大阪市で発行した地方債の償還に係る費用を全額算定すること、各区の需要に充てるため人口に応じて算定することを明記しています。

基準財政需要額
「基準財政需要額」とは、各地方団体の財政需要を合理的に測定するために、当該団体について地方交付税法第11条の規定により算定した額である(地方交付税法第2条第3号)。その算定は、各行政項目別にそれぞれ設けられた「測定単位」の数値に必要な「補正」を加え、これに測定単位ごとに定められた「単位費用」を乗じた額を合算することによって行われる。
 [基準財政需要額]=[各行政項目ごとの基準財政需要額(単位費用×(測定単位の数値×補正係数))の合算額]

外部リンク
総務省:基準財政需要額

地方交付税制度では基準税率は75%で25%は留保財源として自治体の自主財源となりますが、協定書では、基準財政収入額の基準税率は85%と明記されています。

2.特別区と大阪府の財政の調整
(二)特別区財政調整交付金の種類・割合・算定
・基準財政収入額の算定
標準税等の基準税率は、85%として算定する。

外部リンク
大阪府:特別区設置協定書(案)P.7

東京都の特別区では基準税率は85%ですが、基準財政需要額に「その他行政費」という項目を設け収入見込みの100分の10に相当する額を算定し、15%の留保財源と合わせて25%の自主財源を確保しています。

基準財政収入額
「基準財政収入額」とは、各地方団体の財政力を合理的に測定するために、当該地方団体について地方交付税法第14条の規定により算定した額である(地方交付税法第2条第4号)。具体的には、地方団体の標準的な税収入の一定割合により算定された額である。
 [標準的な地方税収入] × [原則として75/100] + [地方譲与税等]

外部リンク
総務省:基準財政収入額

大阪の特別区にはこうした規定はなく、一般の自治体や東京の特別区に比べて自主財源は少なくなります。 しかも、基準財政需要額と基準財政収入額の差の全額を普通交付金として特別区に交付できる財源は、制度上ありません。

財政調整交付金

地方自治法の規定により、東京都から23特別区に交付される税金。特別区は一般市町村より自主財源が少なく、東京都から交付される財政調整交付金によって特別区は運営されています。これには、特別区間の財政の均衡を図る目的もあります。大阪都構想が実現すれば、大阪市は廃止されて特別区になるので、同様の制度が適用されることになります。

交付税

地方交付税のことをいいます。日本の財政制度のひとつで国が地方公共団体(都道府県及・市町村)の財源の偏りを調整することを目的とした地方財政調整制度です。