二重行政とは?大阪都構想により解消される? デメリットやメリットを簡単にわかりやすく解説

2020.09.27
  • 二重行政とは都道府県と市町村の政策上の重複した部分を指す
  • 二重行政を大阪都構想で解消してもデメリットは必ず生まれる
  • 二重行政=ムダではなく、最初からメリットもデメリットも存在する
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この記事を見れば二重行政がイメージでなく、理屈ですべてわかります。 

「二重行政」という言葉を聞いただけで、あなたは「ムダが多そう」とイメージしませんか。

しかし、「なんで二重行政はムダが多いか?」聞いても、実はだれも正確に答えることはできません。 

もしあなたが同じ状況であれば、「イメージコントロール」されています。 

イメージコントロールとは、イメージだけで善悪を決めている状況や状態を指します。

この記事で二重行政についての仕組み、メリットやデメリットを理解してあなたが「イメージコントロール」から脱却するために、ていねいに解説していきます。 

そもそも二重行政とは 

二重行政とは都道府県と市町村の仕事が重なっていること 

二重行政とは、各都道府県と各市町村の行っている業務(行政)が重なっている状態を指します。

たとえば、県立図書館と市立図書館をほぼ同じ場所に設立するとします。すると、県と市(二重)が図書館を設立した(行政)ため、図書館の設立の目的で「県と市が二重行政を行った」ことになります。 

他にも企業誘致などの産業振興や普及啓発なども市町村と都道府県が行うため、ソフト面でも二重行政が発生します。 

二重行政であるがために「ムダが多い都市」として有名な大阪 

大阪都構想推進派が二重行政の象徴であるとやり玉に挙げるのが「ワールドトレードセンタービル(WTC)」と「りんくうゲートタワービル(GTB)」の市と府の争いです。ちなみに、この2つの建造物に合計して1850億もの税金が使われました。

しかし、これは二重行政のムダというより、大阪府と大阪市がそれぞれに開発にのめり込んだ結果であり、いわゆる政策の失敗と呼ばれるものです。

もちろん、大阪府と大阪市が連携を図り、ムダな投資は避けようとしていればこんなことにはなっていません。

二重行政には福祉的な意味合いを持つものも多く、公営住宅などもその1つです。ソフト面での重なりなど、この部分は大阪都構想推進派が語ろうとしない部分です。

残念なことにこれらのハコモノが「二重行政」のシンボル的な存在となってしまい、「府」と「市」が争うようにして行う二重行政が「ムダ」だと指摘され、メディアでも紹介されるようになりました。

大阪市の特殊な構造が二重行政のムダと都構想の発端になる 

大阪市の面積は、大阪府の面積のおよそ10%にあたり、この比率は他の政令指定都市に比べてかなり高い割合と言えます。

面積の割合が低いと、都道府県知事としては他の市町村の行政に手がいっぱいになるため、結果二重行政は起こりにくいと考えられています。

また、日中は仕事で市外または他府県から人口が移動するため、昼間の人口も多くなります。 

つまり大阪市は「面積占有率が高く、昼間の人口増加が起こる唯一の都市」として考えられます。

こうした状況だと、大阪府も大阪市の行政に着手する必要があるため、結果大阪市が行う行政と重複する構図となります。 

つまり、大阪府が介入せざるを得ない状況が、二重行政の根本的な問題ともいえます。 

二重行政の問題点とは 

都道府県と市町村でいがみ合いが多い 

都道府県側として行いたい政策と市町村側として行いたい政策というのは、必ずしもすべてが一致するわけではありません。

そのため、折り合いがつかずにいがみ合うことも少なくないです。 連携する姿勢があれば問題ないのに、連携しようとする姿勢が互いにないと昔の大阪府と大阪市のような意地の張り合いにつながります。

二重行政の問題点から見えるデメリットとは何か 

多くの公共投資でムダが生じる 

二重行政のデメリットに、公共投資のムダが生じることが挙げられます。 

先ほども紹介したように、都道府県と市町村でいがみ合いが多くなるとそれぞれの政策を協議する前に独自で計画を進めようとしてしまうため、結果的には公共投資のムダが生じます。

先の大阪のビル以外にも、ムダが多いと指摘されている公共投資は、図書館や体育館が挙げられています。 

近接する位置に都道府県が設立をすすめた施設と市町村が設立をすすめた施設が存在しているため、この点もムダだと指摘されています。 

新しい行政サービスが行きわたるまでに時間がかかる 

二重行政のデメリットに、新しい行政サービスが行きわたるまでに時間がかかることも挙げられます。

その理由としては、都道府県と市町村単位でいがみ合いが発生しているからです。

両方で計画している政策になかなか折り合いがつけられず、いつまでたっても計画がまとまらない状況が続きます。

その結果、都道府県民、市町村民に行政サービスが行きわたるまで時間がかかってしまうことがデメリットだといえます。 

二重行政で得られるメリットはなにか 

必要性の高い社会インフラやサービスを拡充できる 

二重行政のメリットの1つとして、社会インフラやサービスを市町村単位、都道府県単位でそれぞれ拡充させられるという点が挙げられます。

これは、先ほどのデメリットだった「公共投資のムダが生じる」点とは相反する主張になります。

そもそも、病院や体育館、図書館などの住民が利用できる社会インフラ機能を充実させることは、都道府県と市町村のどちらの側でも必要な政策であり、生活や暮らしを便利にするための必要なものであれば、重複すること自体はデメリットにあたらないともいえます。 

実際に、隣接する場所に図書館や体育館があっても地域の住民にとってはよりサービスを享受できる場所が多くなるため、むしろメリットだといえるでしょう。 

都道府県と市町村でお互いの監視ができる 

二重行政のメリットには、お互いの行政内容を監視可能である点も挙げられます。

二重行政が存在していることで、都道府県と市町村が互いの政策が有効かどうかをきちんと相互チェックすることができます。 

結果として、よりより政策を実行することが可能になり、生活をしている地域の住民へ、より質の高いサービスを提供することが可能になります。 

二重行政のメリットとデメリットまとめ 

二重行政のデメリットは「税金のムダ使い」にあたる可能性があること 

二重行政によって同じ分野での公共投資が重なってしまい、結果として税金が無駄になってしまう可能性があることが最大のデメリットです。 

また、都道府県側と市町村側の折り合いがつかないと、提供できるサービスに時間を要することがあり、結果として地域住民が新たなサービスを受けられないこともあります。 

二重行政のメリットは「便利で質の高い暮らし」の提供が行えること 

二重行政が行われることで、社会インフラ上欠かせないサービスの品質が担保されることになります。

地域住民にとっては、結果的に暮らしが便利になることもあるため、二重行政のメリットといえます。 

二重行政のデメリットは大阪都構想で解消できるのか 

都構想が実現したら、二重行政のデメリットは解消できると宣言しているが 

大阪都構想が実現した場合、それまでの大阪市を4つの特別区に編成します。 

これまで、大阪市を発展させるために使うことができた強力な権限と、政策予算は大阪市から大阪府へ吸収されます。

その結果、府の権限はより一層強化され、計画の決定に対立する軸(大阪市)がなくなったため、行政のサービスをスピーディに提供できる体制になります。 

大阪都構想が実現したら、地域住民にいち早く行政サービスが行きわたる体制になるといえます。 

また、予算も大阪府に統合させるため、大阪府が大阪全体の状況を見ながら公共投資を行うため、結果として府と市の二重行政が原因で起こるムダがなくなる体制になるといえます。 

その一方、ハコモノ自体は特別区でも制度的に作れるため、特別区ができれば一切ハコモノができないわけではありません。

また、大阪市の松井市長は、市議会本会議において、二重行政は解消されていると発言しており、大阪都構想を実現させなくても問題ないことが浮き彫りになりました。

しかも、二重行政の解消による経済効果は数十億円しかありません。都構想を実現させるための初期コストやランニングコストを考えると賄えるかどうか疑問です。

既に大阪維新の会を中心に二重行政の解消に向けた動きを強めており、わざわざ大阪市を廃止してまでやるべきことか、そこのあたりに疑問が残ります。

二重行政のメリットは大阪都構想で消滅しないのか 

社会インフラやサービスを拡充できるメリットは消滅する 

大阪都構想によって、大阪市が4つの特別区に編成された場合、既存の区役所や病院などの社会インフラは減らないとされています。

その理由は、基本的に大阪府として管理する体制だけでなく、必要によっては民間へ業務委託(民営化)をして、インフラやサービスそのものを続けていく形をとるからです。社会インフラやサービスを維持できる根拠は、民営化を行うことで説明はつきますが、民営化した結果「サービスの質」そのものが低下する懸念もあります。

そのため、メリットをそのまま消滅すると批判されている意見が多いことも事実です。 

大阪府と大阪市でお互いの行政対応を監視できる 

都構想により「大阪市」がなくなることで、行政を相互に監視することはできなくなります。

もちろん、特別区に暮らす住民の一人一人は自治権を持ちますが、あくまでも自分の居住している区の身近な生活についての項目についての権限ですので、大阪全体の都市計画や発展のための権限は大阪府に移されます。

特別区の権限は衰退し、大阪府に巨大な権力が集中することになるため、府政の一存で政治が決まってしまうことから、地方自治そのものが失われることも懸念されます。 

大阪都構想を行わなくても、二重行政は解消できるのか 

協力して二重行政のデメリット解消に取り組める 

大阪維新の会は「二重行政によるムダの削減」を大阪都構想のメインテーマとしていますが、そもそも府と市が協力して二重行政で発生するムダを議論しあい、互いに歩み寄りあえないのでしょうか。 

先ほども紹介したように、大阪府知事も大阪市長も同じ大阪維新の会所属です。いくらでも連携を図れることから、たとえ大阪都構想をやらなくても、大阪府民や大阪市民からの支持さえあれば二重行政の解消に向けた努力は行えます。

実際に二重行政を廃止しなくても、「都道府県」と「市町村」でお互いが協力しながら政策や財政について議論をしているところは数多くあります。 

京都府では京都市と合同で二重行政の対応を行っている  

京都府と京都市では、昭和53年から知事と市長が懇談会を行い、京都全域の発展のために府市協調を取り入れております。平成30年12月には、府市協調を進化させるため「府市政策連携・融合会議」を創設しました。 

市長と知事だけでなく、様々分野の実務者を懇談の中に入れて、専門性と実務性の高い政策推進を協力して行うことを目的にしています。 

このように大阪以外にも二重行政は存在するものの、互いが協調してよりよい共存体制を構築している都道府県と市町村があることも事実です。 

まとめ 

どちらも本質的な問題は都道府県と市町村の協力関係 

ここまで二重行政を解説しました。

二重行政の本質的な問題は協調関係がないことです。都市として発展することを本当に願うのであれば、まずはきちんと二重行政の弊害が本当にあるのかを検証し、現体制の状態でも解決できないのか、有権者がきちんと目を向けることです。 

二重行政は大阪だけの問題ではなく、もし大阪都構想が可決されたら、様々な都市で二重行政の問題が叫ばれる可能性があります。 

あなたの住んでいる都道府県と市町村で二重行政はどのような状態になっているのでしょうか。

これを機に、ご自身の地域に関心を向けてより良い暮らしを実現する一人の主権者としての一歩を踏み出していただけることを願います。