大阪都構想が説明不足でわからない?初心者向けにメリットやデメリットをわかりやすく解説。

2020.09.27
  • 大阪都構想が2020年11月1日に2度目の住民投票へ
  • 可決されれば2025年までに大阪市が4つの特別区に再編される
  • メリットである二重行政の解消とデメリットである莫大な初期費用
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大阪都構想とは大阪市を4つの特別区に分割しようという制度で、10年以上前から提唱されてきた制度です。その大阪都構想が今再注目されています。 

そこで、この記事では大阪都構想のメリット・デメリット、そしてなぜ今注目されているのかを初心者向けに、わかりやすく解説していきます。 

この記事を最後まで読んで大阪都構想を理解し、考える第1歩を一緒に踏み出しましょう。 

「大阪都構想」ってどんな制度

今、再注目されている大阪都構想ですが、そもそもどんな制度なのか分からないという方もいらっしゃると思います。 

なので、まず初めに大阪都構想がどんな制度で、なぜ今注目されているのかを解説していきます。 

大阪都構想は大阪市を廃止して4つの特別区に分ける制度

大阪都構想についてインターネットで検索してみると以下のような記事が見つかります。 

「大阪都構想は、大阪で検討されている統治機構改革の構想。大阪府と大阪市(または大阪市を含む周辺市町村)の統治機構(行政制度)を、現在の東京都が採用している「都区制度」というものに変更するという構想である。」(Wikipediaより引用) 

これだけだとどんな制度か今一つ良く分かりません。 

もう少し、噛み砕いて説明すると大阪市を廃止して4つの特別区に分けようという制度です。この制度を日本で行っているのは東京都のみで、東京都の中に23区の特別区がある行政制度を敷いています。なので、この23区は住所を示す際は「東京都渋谷区」などのように都道府県名の後に区の名前が来るようになります。 

この東京都の例のように大阪市を4つの特別区に分けて「大阪府●●区」として行政を行おうというのが大阪都構想の大きな考え方です。 

大阪都構想は2008年に橋下徹氏が大阪府知事に就任した頃から提唱されてきた制度で、現在は大阪維新の会の吉村大阪府知事や松井大阪市長などが中心となって推し進められています。 

なぜ今再注目が集まっているのか

では、なぜ今大阪都構想に再度注目が集まっているのでしょうか。 

それは、住民に大阪都構想の是非を問う住民投票が近づいているからなのです。 

2020年11月1日に2度目の住民投票

大阪都構想は2020111日に2度目の住民投票を控えています。 

実は大阪都構想は一度住民投票によって頓挫しました。 

2015年5月17日に行われた住民投票の結果、わずかに反対票が多く、大阪都構想は頓挫、当時の橋下徹大阪市長は同じ年に政界を引退しています。 

しかし、吉村知事、松井市長の再選を受けて今回11月に2度目の住民投票が行われることが決まりました。 

なぜ、2回目の住民投票を行うことになったのかは別の記事で解説しますが、この住民投票が大阪都構想を大阪万博がある2025年までに実現させたい推進派の人々にとっては最後のチャンスとなりそうです。 

なぜなら、この住民投票でもし大阪都構想が賛成多数で実現した場合、大阪市が廃止され4つの特別区が設置されるのは2025年1月1日からの予定です。 

つまり、行政制度の移行に4年間の時間が必要ということなので、大阪万博までの実現を目指すと今回の住民投票がラストチャンスということになります。 

次からは、大阪都構想推進派が考える大阪都構想のメリット、そしてデメリットを解説していきます。 

メリット① 二重行政の解消

大阪維新の会など都構想推進派が都構想最大のメリットとして掲げられているのが「二重行政」の解消です。 

「二重行政」とはどのような状態で、解消されることでどんなメリットがあるのでしょうか。具体的に解説していきます。 

「二重行政」とは大阪府と大阪市が同じ仕事をしている状態

そもそも、地方自治体の仕事は大きく分けて「広域自治体サービス」と「基礎自治体サービス」の2つに分かれます。 

広域自治体サービスとは交通インフラや港湾施設、観光施設、大学施設などの管理運営で主に都道府県単位が行うものです。 

基礎自治体サービスとは小学校、中学校に関する事務、区役所の申請業務など地域住民に大きく関わるもので市町村単位が行うものです。 

しかし、現状大阪市が管理しているものとして交通インフラや観光施設、港湾施設、大学施設などのものがあります。 

当然、大阪府もこれら同じものを管理しているので行政事務が2重で発生しています。 

これを「二重行政」と呼びます。 

つまり、大阪府と大阪市が同じ仕事をしている状態なのです。 

「二重行政」の原因は大阪市が政令指定都市で、大阪府が面積の小さな府だから

では、なぜ「二重行政」が行われてしまっているのでしょうか? 

それは大阪市が政令指定都市なことと、大阪府が小さな府であることが関連しています。 

政令指定都市とは全国に20市ある、都道府県レベルの権限を持っており基礎自治サービスの他に、広域自治サービスを行うこともできる市のことです。 

北海道札幌市や神奈川県横浜市などが該当します。 

政令指定都市の1つである北海道札幌市を例にとってその関係性を見てみましょう。 

北海道は広大な面積を誇り課題も地域によって様々です。 

その中で、北海道が地方の課題も解決しつつ、札幌市の発展も考えた行政を行うことは大変です。 

なので、札幌市は政令指定都市としての権限を使い必要な広域自治サービス、例えば観光施設の整備や運営、交通インフラの整備、大学の整備などを行います 。 

北海道は札幌市が行っている以外の広域自治サービス、例えば函館市や旭川市の観光整備や運営、全道にまたがる高速道路の整備などです。 

これを大阪に当てはめて考えてみましょう。 

大阪市は札幌市と同じく自分たちの市を発展させるために政令指定都市の権限を使い広域自治サービスを行います。

この大阪府と大阪市が重なって広域自治サービスを行うことが「二重行政」の原因といわれています。 

二重行政を解消して無駄をなくす

この二重行政を解消することによって広域自治サービスは大阪府が基礎自治サービスは4つの特別区が行うという明確な役割分担がなされると、大阪維新の会など都構想推進派は主張します。

この役割分担によって二重で行っていた行政の無駄が無くなり、予算の削減につながるというのが二重行政解消のメリットだと力説しますが、大阪府が嘉悦大学に依頼した経済効果に関する報告書では、二重行政解消効果は数十億円にとどまったことが明らかになっています。

既に、吉村知事や松井市長など大阪維新の会が二重行政解消に向けた動きを積極的に行っているため、二重行政は解消されていると市長が本会議で宣言するに至っています。 

そのため、大阪都構想をわざわざ行わなくても十分できているではないかという声が出始めているのが現状です。

メリット② 地域住民の声を反映しやすい仕組み

大阪都構想のメリット2つ目として地域住民の声を行政に反映しやすくなるといわれています。 

どのような理由からそういわれているのでしょうか。 

具体的に解説していきます。 

4つの特別区が設置される 

大阪都構想では大阪市は4つの特別区に再編されます。現状区の名称は「北区」「天王寺区」「中央区」「淀川区」とされています。 

現在の大阪市の人口は約270万人で、京都府全体の人口である約260万人を超えています。京都府には26の市町村があるので、京都では26人の市長、町長、村長と26ヵ所の役所で管理している人数を大阪の場合、1人の市長と1ヵ所の役所で管理していることになります。 

この大阪市を4つの特別区に分割する大阪都構想が実現すれば1つの区あたりの人口は約60万~70万人程度になり、1ヵ所の役所でまとめる人数も減るので地域住民の声がより反映されやすい行政になると期待されています。 

区長・区議会議員選挙が行われる

さらに、4つの特別区ではそれぞれの区長も選挙で決めることになります。その区ごとで首長を決めるとなれば、選挙に出る側は当然その地域にとって1番良い政策は何かを考えることになります。 

さらに、その区の住民も自分たちが本当に必要とする政策を主張する政治家に1票を投じることができます。 

これが、大阪都構想が実現することで地域住民の声が届きやすくなるといわれる理由です。 

その一方、大阪市の区長は公募制がとられており、大阪市長が任命する形となっています。

大阪都構想をしなくても、公募制を工夫すればよりよい人物を区長に置けるのではないかという見方もできます。

メリット③ 行政サービスの向上

これまで解説してきた2つのメリット「二重行政の解消」と「住民の声を反映しやすい仕組み」この2つが実現できると行政サービスが向上すると、都構想推進派がアピールしています。

大阪府と大阪市どちらの役割で行うか、どちらの予算で行うかを調整するのにかかっていた時間や手間がなくなり、行政事務の効率は格段に上がるというのがその理由です。 

さらに、4つの特別区に分かれることでお互いの区が競い合い行政サービス特に基礎自治サービスの部分が向上することも期待されています。 

デメリット① 莫大な初期費用

ここまで、大阪都構想のメリットについて解説してきましたが、もちろんデメリットもあります。 

デメリットについても具体的に解説していきます。 

大阪都構想最大のデメリットは莫大な初期費用です。 

初期費用は約240億円

大阪都構想は今ある大阪市を再編して4つの特別区に変更するという制度でした。 

それを実現するためにかかる初期コストが約240億円と試算されています。 

具体的な用途としては各システムの改修費、庁舎の整備費、庁舎の移転経費、街区表示変更経費などです。 

さらに、役所を4つに分ける事で人員の増員も必要とされており、それらを含む維持費は年間30億円といわれています。 

それらをあわせて移行コストは15年間で1300億円をうわまわるとの試算もだされています。

これらのお金は当然地域住民が収めた税金なのでこれらの費用を投じてまで大阪都構想をやる意味があるのか疑問の声もあります。 

デメリット② 払った税金が自分に還元されない可能性

大阪都構想のデメリットとして税金の使い道として地域住民に還元されにくいのではないかとい懸念もあります。 

それは、大阪都構想が実現することで税金の行先が変わってしまうからです。 

収めた税金は一度大阪府へ

大阪都構想が実現し4つの特別区が置かれるとそれまで大阪市に収めていた税金の一部を大阪府に納付することになります。 

これまでは、大阪市に税金を納め、その中で広域自治サービスに使わるお金と基礎自治サービスに使われるお金を大阪市が分けて使ってきました。 

しかし、大阪都構想では広域自治サービスは大阪府の担当なので、財源も大阪府に行くことになります。 

大阪府に収める税金なので、大阪市の住民から見ると関係のない地域に使われてしまう可能性もあり、自分たちが収めた税金が自分たちに還元されないのではという不安の声も聞かれます。 

デメリット③ 住所の変更

大阪都構想のデメリットとして住民の住所変更が必須という点もあります。 

大阪市が無くなることでどのように住所が変わるのでしょうか。 

「大阪市」がなくなる

大阪都構想が実現すれば、現在、「大阪府大阪市」となっている住所が「大阪府●●区」という住所に変更になります。 

これは個人もそうですが、企業も当然対象になるので影響はかなり大きいといえます。 

また、地域によってはこれまで使っていた住所も使えなくなる地域もあるので、慣れた住所を使えなくなるという懸念が根強く残っています。 

今後のスケジュール

ここまで大阪都構想の概要とメリット・デメリットに関して解説してきました。 

最後に今後のスケジュールをまとめ紹介します。 

2020年11月1日に住民投票へ

まず、2020111に大阪都構想の是非を問う住民投票が行われます。 

結果は、即日開票されその日の内に結果が分かる予定になっています。 

もし、賛成多数ということになれば202511日の特別区制定に向けて、行政が動いていくことになります。 

まとめ

大阪都構想の概要やメリット・デメリットについて解説してきましたが、理解することができたでしょうか。 

賛成・反対どちらの意見もありますが、制度の概要を知ってメリット・デメリットを知ることでどちらの意見もより深く理解することができるのでないでしょうか。 

この記事が皆さんの理解の一助になれば幸いです。