大阪都構想とは?メリットとデメリットは?簡単にわかりやすく解説。正しく理解して住民投票に行こう。

2020.09.29
  • 大阪都構想とは大阪の様々な機能を大阪府が一元管理することである
  • 行政の効率化や経済効果のメリットがある
  • 特別区の自主財源激減や移行コストが多くかかるデメリットも
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ここ数年大阪では「大阪都構想」が話題を集め、連日報道が行われています。

しかし、大阪都構想という言葉は知っていても、その中身やメリット・デメリットを実は知らない方が多いのが実情です。

正しく大阪都構想を知ることで、住民投票の際に「悔いのない一票」を投じることができます。

大阪都構想の中身やメリット・デメリット、そして大阪都構想の住民投票について詳しく解説します。

大阪都構想を知る前に、「府」と「都」を知るべし!

大阪都構想は大阪府から大阪都に変わる」という意味合いで考えている方も多いのではないでしょうか。

まず「府」の歴史をおさらいします。

廃藩置県が行われる少し前にその当時の城代や京都所司代、奉行のあった場所を「府」としました。これ以外の場所は「県」となり、これを「府藩県三治制」と言います。

これにより10の府が誕生しましたが、廃藩置県によって東京と京都、大阪だけ府となり後は県に置き換えられます。

東京府から東京都へ

東京都も昔は東京府でしたが、それが東京都になったのは1943年のことです。当時は第二次世界大戦の真っ只中でした。東京の機能を集中させるために東京府と東京市を廃止し、東京都が誕生しました。

東京都の成り立ちと大阪都構想は果たしてなんの関係があるのか、そう思われた方も多いかもしれません。実は大いに関係があります。

大阪都構想は大阪の機能を集中させるために?

東京府から東京都になったのは、当時の政府が戦時中に東京の首都機能を管理したかったのが要因でした。

大阪都構想も、「大阪の様々な機能を大阪府が一元管理すること」が大まかな狙いとされています。では、大阪都構想がどのようなメリット、デメリットを孕んでいるのか、次の項目で解説を行います。

大阪都構想のメリットは行政の効率化と経済効果4000億円

大阪都構想が仮に実現した場合、どんなメリットが大阪府民ないし大阪市民にもたらされるのかですが、まずは行政の効率化についてです。

現在大阪市には24の区がありますが、大阪市長や大阪市役所、大阪市議会が管轄しています。270万人の人口を誇る大阪市全体を管理するのは大変です。

大阪都構想によって大阪市が廃止されると、4つの特別区に整備される予定です。

それぞれの区の区民に選ばれた区長、区役所、区議会を作って、それぞれの地域で行政サービスを行うことで行政の効率化を図ることができます。これが最初のメリットです。

行政効率化に伴う経済効果は4000億円以上

大阪都構想が実現することで、「1兆円以上の歳出削減効果が生まれる」という試算が出ています。

歳出削減によって工面した財源のうち5000億円をインフラ整備などに使った場合、1兆円以上の経済波及効果が生まれる試算も示されている状況です。

大阪都構想が実現すれば現在計画中の鉄道などインフラ整備が進みやすくなり、4000億円以上の経済効果が生まれる可能性があります。

大阪府と大阪市の不毛な戦いに終止符?

最後に、行政効率化に近いメリットですが大阪府と大阪市の連携不足の解消が挙げられます。

過去には大阪府と大阪市が張り合って再開発事業などを展開し合い、結果的に経営破綻や民間への譲渡や売却、施設の閉鎖や公社の解散につながった歴史があります。

二重行政を生み出すのは、都道府県と市区町村の連携不足、対話不足によるところが大きく、特に大阪府と大阪市はライバル意識もあったのか、避けてきた歴史があります。

その結果、2兆円に迫るお金を無駄にしてきました。少なくとも大阪都構想が実現すれば府と市で張り合う展開がなくなり、効果的に府民ないし市民の税金を活用できる、これを大阪都構想推進派は主張します。

大阪都構想のデメリットは特別区の自主財源激減と移行コスト

大阪都構想が実現すると、大阪市民の税金は一旦大阪府へ納められます。そこから特別区4区へ分配されるのですが、この歳入が2000億円も減ることが明らかになっています。

これは固定資産税や法人市民税などが府税に移行し、そこから特別区へ分配されていくためです。結果として、特別区の自主財源は4分の1にまで激減します。

特別区ができることは財源的に限られてしまうのではないか、大阪都構想に反対する方たちは強く主張しています。

特別区の移行コストが結構かかる?

大阪都構想反対派が掲げるデメリットの中で焦点となっているのが移行コストです。

特別区が誕生すれば、24区の職員などが4区にまとめられるために既存の庁舎などでは手狭になる可能性が高いです。

新たに庁舎を建てることやシステムを改めることなどをした結果、500億円ほどの初期費用がかかるとされています。

年間の運用費などを含めれば1000億円を超える移行コストになるという試算も存在します。

大阪市の24区を総合区8区にする案も存在しますが、これだと全体のコストは100億円もかからない計算です。

総合区はそれぞれの区でできることを増やしつつ、公務員の数や財源などを維持できます。特別区を作ってもコスト的に見合わないのではないかというのが大阪都構想反対派の主張です。

大阪都構想は半世紀以上前から議論が始まっていた!

大阪都構想が初めて登場したのは、2008年に大阪府知事になった橋下徹氏の時からだと思っている方が多いのではないでしょうか。実はもっと昔から大阪都構想はありました。

1953年に大阪府議会が、大阪府や大阪市を廃止して大阪府を設置するなどの決議を出していたのです。その後、1967年に当時の大阪府知事が再び大阪都構想を持ち出してきました。

2000年にも再び当時の大阪府知事が大阪都構想を掲げます。その度に大阪市が反発して立ち消えになったのです。

大阪都構想の議論が本格化したのは2010年から

大阪都構想の歴史は大阪府と大阪市の縄張り争いの歴史でもあったわけですが、この構図に目をつけたのが当時の大阪府知事だった橋下徹氏です。

当時から大阪府と大阪市の二重行政を問題視し、行政の効率化を掲げていた橋下徹氏。大阪維新の会を立ち上げる際には、「大阪都構想の推進」を掲げました。

その後2011年には大阪府知事選と大阪市長選のダブル選挙が行われて大阪維新の会が両方で勝利。

大阪府も大阪市もそれぞれ大阪都構想推進の立場になったことで、大阪都構想の議論は加速していきます。

大阪都構想の住民投票は激闘の連続によって行われた

2012年に国会で「大都市地域特別区設置法」が可決、成立したことで、東京都だけに認められていた特別区の設置を、全都道府県でも行えるようになりました。

その後、大阪府と大阪市は「大都市地域特別区設置法」で定められた特別区設置協議会、通称法定協を設置して準備を進めていきます。

しかし、想定していた堺市の参加が見込めなくなったことや大阪維新の会以外の政党の反対もあり、議論はなかなか進みません。

これにしびれを切らし、2011年の選挙で大阪市長に鞍替えした橋下徹氏は市長を辞任し、出直し市長選を行って信を問うと発表しますが、他の政党が対立候補を出さないことでその思惑は崩れます。

出直し市長選からの怒涛の展開

2014年の出直し市長選で橋下徹氏は当選しますが、他の政党が対立候補を出さなかったために投票率は23%と過去最低に終わります。

その後、出直し市長選での結果を踏まえて強気に出た大阪維新の会は、法定協委員の過半数を握り、協定書を決定して、府議会や市議会で住民投票に向けた話し合いが行われました。

大阪維新の会以外の政党は反対したものの、公明党が住民投票の実施を認めたことで、大阪都構想は是か非かを巡る住民投票の開催が決定したのです。

大阪都構想を巡る住民投票、1回目はいつ行われた?

大阪都構想の議論が本格化したのが2010年でしたが、実際に大阪都構想に伴う住民投票が開催されたのは2015年のことです。

法律によって投票率が50%を切るようなことになっても結果に法的拘束力があるため、大阪都構想賛成派、反対派それぞれが総力戦を展開します。

通常の選挙と違い、ビラの枚数や種類も制限なし、賛成や反対の呼びかけも投票日当日まで認められました。

1回目の住民投票は1万票の差で否決

世論調査では大阪都構想賛成が有力とされた中、住民投票の結果は1万票の差、ポイントにするとわずか0.8ポイントの差で否決されました。

これを受け、大阪都構想を推進してきた橋下徹氏は次の市長選には出馬せずに政界引退を発表します。

そして法定協の廃止は廃止され、大阪都構想は頓挫したかに見えました。

民意の後押しで再び大阪都構想を目指す

2015年に行われたダブル選挙では橋下徹氏の後継候補だった吉村洋文氏などが圧勝し、大阪都構想こそ否決されたものの大阪維新の会に対する民意の期待が浮き彫りになります。

公約では大阪都構想こそ掲げられなかったものの、公約を実現させるための統治機構の改革を掲げており、事実上の大阪都構想の復活を示していました。

こうして再び大阪都構想に向けて動き出すと、公明党の後押しを受けて再び協議会の設置を決定し、法定協も復活します。

2018年には現在の特別区4区の案にまとまり、大阪維新の会が行ったアンケートを受けて区名まで決まりました。

またもや出直し選挙で活路を開く

法定協こそ開催されていたものの、やはり議論は進みません。この頃には2025年万博が大阪に決まり、2025年までに大阪都構想を実現させなければならないという空気が漂います。

公明党とも協議が進まなかったことで、大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長が任期途中で辞任して、知事と市長をチェンジする「出直しクロス選」に挑みます。

結果はまたも大阪維新の会の圧勝に終わり、これを受けて公明党は大阪都構想賛成に回ります。自民党の大阪府議団も賛成に回るなど1回目の住民投票と比べ、状況は大きく変わりました。

大阪都構想の住民投票、2回目はいつ?

大阪維新の会だけでなく公明党や自民党も賛成に回り始めると、法定協での議論も回り始めて、コロナ禍の6月には法定協議書が可決されました。

現状では2020年11月1日に大阪都構想第2回目の住民投票が実施予定です。

総選挙で11月1日から前後する可能性があった!

少し前まで、衆議院が解散となり総選挙が同時期に行われることになった場合は、日程を総選挙に合わせるべきという意見が出ていました。

同日選にすることで選挙にかかるコストを少なくしたいのが表向きの理由ですが、超党派的な都構想反対派の動きを少しでも封じたい気持ちが都構想賛成派にあり、松井市長も解散総選挙との同日選を期待していましたが、結果的に解散は行われませんでした。

大阪都構想の住民投票の投票権の条件は?

ここまで読み、大阪都構想に興味を持った大阪市民の方もいるのではないでしょうか。

大阪都構想の住民投票の投票権は誰に与えられるのかですが、ここでも「大都市地域特別区設置法」が関係します。

法律では「公職選挙法に準じた選挙人」によって住民投票が行われることになっており、いわゆる国政選挙で与えられる選挙権と同じです。つまり、大阪市に住む18歳以上の日本国籍を持つ日本人が対象です。

大阪市に住む外国籍住民に投票権がない

ここで問題になっているのが、大阪市の人口のうち5%を占める外国籍住民に投票権がないことです。これまでに全国で行われた住民投票では、外国籍住民に投票権を認めたケースもありました。

大阪市の人口5%分にあたる外国籍住民を除外するのはどうなのか、この問題が語られてきましたが現状では当初のルールで進むことになりそうです。

まとめ

大阪都構想が大阪市民にどんな影響を与えるのか、メリットやデメリットの観点から調べました。

前回の住民投票から5年で、大阪都構想の中身はマイナーチェンジが行われています。

大阪都構想賛成派、反対派いずれの主張もしっかりとチェックをした上で、11月1日に予定される住民投票で自分の意思を示す一票を投じましょう。