大阪都構想と東京都との違いは?都区制度が適用されると何が変わる?メリットやデメリットも解説。

2020.09.30
  • 大阪都構想の基本的な目的と政令指定都市
  • 東京都と大阪都構想の違いは?
  • 特別区の特徴と都構想移行後の注目すべき点
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大阪都構想は、今ある大阪市を廃止して4つの特別区で再編する制度のことをいいます。 

法律上の問題はありますが、都構想が住民投票で可決されれば大阪府は実質「大阪都」になるわけですが、今ある東京都と同じようになるのでしょうか。 

ここでは、大阪都構想と東京都との違いや都区制度適用による変化、メリット・デメリットなどについて解説していきます。 

大阪都構想とは? 

大阪都構想とは冒頭にもあったように、今ある大阪市を廃止して4つの特別区で再編する制度です。 

大阪都構想や東京都の仕組みを知る上で、まずは政令指定都市と特別区、これら2つの特徴を知ることが大事といえるでしょう。 

政令指定都市の廃止 

政令指定都市とは、日本の大都市制度のひとつであり、大阪市を含め日本全国に20あります。 

政令指定都市の大きな特徴としては、「都道府県と同等の権限を持っている」ということにあり、これは府や県とは別で独自行政を行えるという意味にもなります。 

都道府県の自治体とは本来、「道府県>市町村」の関係性のもとで地域の行政の行うわけですが、政令指定都市がある地域の場合は、「道府県>市町村」「政令指定都市>行政区」この2つのラインでそれぞれ独自に行政を行います。 

大阪の場合、この2つのラインが過去に上手く連携が取れていなかったため、二重行政という問題が表面化し、それにより財政に大きなダメージを与えてきました。 

このことから、大阪都構想の大きな目的は、政令指定都市である大阪市を廃止し、二重行政を解消することにあるといえるでしょう。 

4つの特別区で再編 

大阪市を廃止したあとは、今ある大阪市を4つの特別区に分割し再編することになりこの特別区が東京都いうところの23区にあたります。 

特別区は東京都の場合、東京都の管轄でありながらも議会機能を持つ地方公共団体でもあるので、より住民に寄り添った行政を担えることが特徴としてあります。 

そのため、特別区における区長も、政令指定都市にある行政区の区長とは違い、選挙で選ばれるため、このことからもより行政に民意が反映されやすいといえるでしょう。 

都区制度とは? 

都区制度とは、大都市地域における行政の一体性や統一性の確保の観点から、都が一元化、広域で管理する必要がある事務を除き、一般的に市が行う事務を区が処理することができる大都市制度のことをいいます。 

東京都以外の道府県の行政を縦割で考えた場合、「道府県>市>区町村」となりますが、この市が行う行政を区が権限をもって行う考えです。 

つまり、「東京都全体の行政をしっかりと役割分担しよう」という制度ということになります。 

行政を大きく2つに分けると考えやすい 

東京都以外の地方自治体の場合、行政を主に「府県府域」「市域」の2つに分けると考えやすく、大阪の場合ですと府域・市域となります。 

府域行政 道路や鉄道のインフラ 大学に関する行政 
市域行政 役所窓口の運営 小中高学校に関する行政 

このように一部を見てみても府域と市域ではやることが異なります。 

府域行政はその府全体の行政を、市域行政とは町や村に対しての細かなピンポイント行政をそれぞれイメージすればわかりやすいでしょう。 

府と市で仕事がかぶってしまう 

大阪の場合、大阪市が府と同等の権限を持つ政令指定都市のため、府域行政の部分で仕事がかぶってしまいます。 

大阪市は大阪府の中心に位置します。 

例えば、大阪府が大阪全体の物流の流れを良くしようと、新たに道路建設したとします。 

大阪府の都市機能は大阪市に集中していますから、もちろん新たな道路は大阪市内にも必要です。 

大阪府が権限を持ってそのまま道路を作ってしまえばスムーズにインフラ整備が整いますが、大阪市は大阪府とは別に独自に行政を行う権限を持っているため、大阪市が「いらない」といえばそれで終わってしまいますし、そもそも財源が別なので大阪府は大阪市内に道路を作ることができません。 

そのため、大阪府で新たに大阪全体をスムーズにする道路を建設するためには、「府と市が連携すること」「府と市がそれぞれ道路を作ること」この2つが条件になってしまいます。 

都区制度であれば、道路建設のような広域行政を都の管轄で全て行うことができるため、道路ひとつ建設するにおいてもスムーズにいきやすいといえます。 

特別区のメリット・デメリット 

都区制度における区とは特別区のことであり、大阪都構想は大阪市を解体し4つの特別区で再編することがベースとしてあります。 

ここでは、特別区で考えられるメリット・デメリットを見ていきましょう。 

メリットは府域・市域で行政を分担できる 

上記でも解説しましたが、一番のメリットはやはり、行政をしっかりと役割分担できることでしょう。 

広域行政が一元化できるので、インフラの整備に力を入れて、スピーディーな開発がしっかりと行えます。 

また広域の行政を府が担うことで、今ある4つの特別区(今の大阪市)は市域行政を専門で行うことができるため、行政サービスの向上にも期待できます。 

デメリットは財源がコントロールできない 

デメリットは4つの特別区がそれぞれ財源をコントロールできない点だといえます。 

今の大阪の場合、大阪府には大阪府の財源、大阪市には大阪市の財源と、それぞれ財源に大きな権限を持っています。 

都構想が実現した場合、今の大阪市である4つの特別区の権限は「中核市」相当の権限になってしまうので、これまでのように財源をコントロールすることができません。 

直接的に特別区に税収として入るのは、特別区税などの税金であり、これまで入っていた法人税や固定資産税はいったん大阪府に入って再分配されることになります。 

そのため、これまで以上に税金の使い道についてシビアにならないといけません。 

特別区の税のありかた 

都構想が実現すれば、政令指定都市である今の大阪市が廃止されるので、税金のありかたもこれまでとは異なります。 

法人税などは府へ 

大阪市税はおよそ6300億円あるとされており、このうちの法人住民税、固定資産税、特別土地保有税、事業所税、都市計画税の5つの税金が全体の7割を占めています。 

都構想が実現した場合、特別区が直接的に得る税金が個人市民税と軽自動車税などになるため、これまで入っていた法人住民税、固定資産税などの5つの税金がいったん大阪府に入ることになります。 

その後、必要に応じて再分配されるため、特別区を大阪市全体で考えた場合、実質的にはこれまでよりは使えるお金が減るということになります。 

しかし、上記でもあったように、これまで大阪市が担っていた都市開発における行政は大阪府が担う形になるので、税金の使い方がより適正化されるという見方もできます。 

都構想と東京都の違い 

大阪都構想は、これまで大阪市が政令指定都市として積み上げてきた実績と課題東京の都区制度の歴史と課題、これら双方を十分に考慮した制度設計とされています。 

財政調整制度が大きな違い 

財政調整制度とは、東京都と区の間の財源配分を行う制度のことであり、大阪都構想が実現した場合、この部分が東京都との大きな違いになるとされています。 

上記の解説でもあったように、府域行政は府が行い、市域行政は市が行う、行政の役割分担が大阪都構想の仕組みです。 

これを、府域行政を大阪全体の広域行政、市域行政を住民に寄り添った行政サービスで考えた場合、分配の比率によってどの程度行政が住民サービスによっているかがわかります。 

東京都の場合、都と区の分配比率が「都45:区55」となっています。 

大阪都構想が実現した場合、これが「府21:区79」になるとされているので、数字だけをみるとより住民向けの行政が行われる仕組みなるといえるでしょう。 

しかし、大阪都構想はまだ移行されていないため、この比率がそのまま表れるとは言い切れないので、住民サービスの質を図る意味でも、今後もこの比率の推移には注意することが大事です。 

規模の違い 

東京都の総人口約1400万人に対し、大阪府の総人口約880万人なので、単純に都市としての規模が異なります。 

都市自体の規模が異なるので、大阪都構想がそのまま東京都に当てはまることはありません。 

しかし、上記でもあった広域行政一元化の効果などで、インフラ環境が整い都市機能がさらに充実すれば、民間企業も投資する価値が出てくるので、今後人口が増加する可能性は十分にあります。 

都区制度によって変わること 

ここからは、都区制度によって大阪がどのように変わるのかを、ポイント別にまとめていきます。 

区長が公選で選ばれる 

政令指定都市における行政区の区長は、現行の市長の選任によって決定しますが、特別区の区長の場合は公選、つまりは住民の選挙によって決定します。 

区長の公選は、住民の民意によって決定されるため、市長選任による区長に比べ、より民意に沿った行政を行えるメリットがあります。 

現状は公募制で区長を募集しており、民間人や内部登用者などを吟味して能力ある人物を、大阪市長が任命しています。

この公募制でも十分事足りるのではないかという見方もできますが、民意を問うことを強調しているのが都構想推進派です。

住所表記の変更 

大阪市が廃止され特別区が設置されるわけですから、当然ながら住所表記は変更されます。 

大阪市の廃止後は、現在大阪市にある24の区が4つにまとめられ「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」となり住所もそれに応じて変更されます。 

大阪が都になるには、法律を整備するする必要がありますが、仮に大阪都になった場合は、「大阪都 淀川区 ○○」と表記されるようになります。 

都構想移行で注意すべきこと 

大阪都構想に関してのメリット・デメリット、効果などの意見や評価は幅広くありますが、実際問題移行してみなければわからない部分も多いです。 

そのため、仮に大阪都構想が実現した場合、それを評価する意味でも注目すべき点はしっかりと注目し、評価することが大事です。 

都構想によるコストの回収 

都構想が実現した場合、移行における再編コストと維持コストが、大阪の行政に新たコストとして発生します。 

ひとつの評価としては、この発生する新たなコストに見合った財政・経済効果があるかどうかが、ひとつの注目ポイントといえるでしょう。 

大阪都構想で新たに発生するとされる新しいコスト 
都構想移行における再編コスト 約241億円 
都構想移行後の年間コスト 年間約30億円 

行政サービスにおける質 

都構想賛成派は「行政サービスの質が上がる」、都構想反対派は「行政サービスの質が落ちる」と、行政サービスにおいての意見が賛成・反対で対極にあります。 

行政サービスにおいても、移行してみないとわからない部分が多いため、仮に都構想に移行した場合は、住民に身近な行政サービスの質にも注目してみましょう。 

投票は自分にとって最善の選択を 

大阪都構想の制度設計は、広域行政における効果や、行政サービスにおける効果以外にもさまざまあり、メリットやデメリットは挙げだすときりがないほどあります。 

そのため、大阪都構想の是非は11月1日に行われる住民投票にとって決定するため、難しいことはいったん置いておいて、まずは住民である自分にとって最善の選択をすることが大事です。 

都構想実現は自分にとって「何がメリットでありデメリットであるか」「今の生活にどのように影響を与えるか」などを、しっかりと考えるようにしましょう。 

まとめ 

ここまで何度もあったように、大阪都構想は実現してみないとわからない部分も多くあり、また投票を行う住民の方にとっても、投票を行う上での判断材料が足りないと感じることもあると思います。 

しかし、都構想の是非は住民の方の1票によって決定するため、今ある情報の中から自分が考える最善の選択が求められます。 

細かい政策やそれによる効果も大事ですが、まず優先すべきことは「住民の生活にどのような影響があるか」なので、繰り返しになりますが、自分にとって最善となる選択を心掛けましょう。