大阪都構想なぜ必要?前回の住民投票で否決された理由。 反対派の意見やコロナ禍の今なぜ必要なのか

2020.09.27
  • 大阪都構想をコロナ禍で住民投票を行う理由の裏にIRが絡む思惑がある
  • 大阪都構想に反対派の意見の多くが学者で多くが行政サービスの低下を懸念
  • 前回の住民投票では大阪都構想のイメージが失墜したことが否決理由
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大阪都構想は統合型リゾート整備推進法(IR法)による大阪への誘致を成功させるための布石です。

大阪都構想が市民に向けて主張している大阪府と大阪市の二重行政の解消は表向きの理由で、本当の目的は別であることをあなたはご存知でしょうか。 

この記事では大阪都構想がなぜ前回の住民投票で否決されたのかを解説し、さらになぜコロナ禍の今、大阪都構想の住民投票を行う必要があるのか、大阪都構想を反対する意見を合わせてわかりやすく解説します。 

大阪都構想はなぜ必要なのか 

大阪市と大阪府の二重行政を廃止し、ムダを削りたい 

大阪維新の会などが主張する大阪都構想が必要だとされる理由の1つに、二重行政ののムダを削ることが挙げられます。

「大阪府と大阪市の二重行政」によって生じるムダを削減し、ムダを削減した費用から新たな大阪の都市計画をすすめていくことが目的です。

大阪都構想では、大阪市を廃止し、4つの特別区に分けて大阪府に一体化しようとしています。 

ただし、松井市長が本会議で、二重行政は解消したと発言している他、嘉悦大学の報告書では二重行政が解消されることでの効果は数十億円しかありません。経済効果1兆円と言われる割にその額は小さいです。

裏の理由は大阪市の政令指定都市としての権限をなくしたい 

しかし、隠された理由の1つとされているのが、大阪府に政治をする上での権限を集中させ大阪市の政令指定都市としての権限をなくしたいことが狙いではないかと指摘されている方々もいます。 

政令指定都市は通常の市とちがい、行政上の権限が他市町村に比べ非常に強い都市になります。

たとえば教員の採用数は市で独自採用が認められています。

また、都道府県へ申請しなくても直接府道や国道を管理することができます。

このように、政令指定都市は独自に進められる権限を持ち合わせているのですが、大阪府はその点について好意的ではありません。

そこで、大阪市の持っている政令指定都市の権限を小さくして、大阪府に権限を集中させようとしています。

こうして大阪市の持っている権利を大阪府が引き受けることで何がメリットになるのか、メリットはスピード感のある決断と政治ができることです。

そのスピード感ある決定ができるメリットがのちに触れるIRに関する項目と密接に関係します。 

大阪都構想が前回の住民投票で否決された理由とは  

大阪都構想の経済効果が当初より見込めないことがわかった 

大阪都構想が前回の住民投票で否決された理由は、都構想を実施した後の経済効果に期待を持てなかったからです。

大阪都構想が実現すれば、当初4000億円程度の経済効果があると打ち出されました。 

しかし実際、この4000億円の内訳には大阪都構想を行わずともできることつまり大阪市のままでもできることが経済効果の名目に存在していました。 

たとえば地下鉄の民営化をすすめた売却益や、施設統合による維持費の削減などの項目が経済効果の名目に入っていたのです。 

こうした事実が住民にも伝わり、結局経済効果が見受けられないと感じた住民が否決にまわったとされています。 

堺市長選挙の敗北で大阪都構想に逆風が吹く 

住民投票で否決された原因に、同じ政令指定都市の堺市長選挙に負けたことも挙げられます。

大阪都構想の当初の構想では、堺市は最終的に政令指定都市の権限をなくす方向で計画を想定していました。 

こうした大阪都構想の構想に対して、堺市は反発の姿勢をとります。 

あくまでも政令指定都市としての自治権を残しておきたい堺市と大阪都構想をすすめたい両者の思惑は対立し、結果的に都構想賛成VS都構想反対の構図を反映した堺市長選挙が行われました。 

結果は、堺市を政令指定都市として存続させる反対派に軍配が上がります。 

こうした選挙結果を受けて、大阪都構想に対する住民側のイメージが当初よりも悪くなったことが影響し、結果的に後に行われた都構想の住民投票で否決されることになりました。 

なぜ否決された大阪都構想が再び住民投票になったのか  

公明党が議席確保の狙いもあり都構想で賛成に転換 

大阪都構想が否決されたにも関わらず、再度大阪都構想が住民投票に至ったかというと、公明党が大きく影響しています。 

大阪都構想が住民投票で否決されてから、大阪都構想の計画はすすまないとされていました。

しかし、この間でも大阪都構想の実現のため、大阪維新の会は極秘に公明党と大阪都構想の住民投票を再度行う形で政策一致させていました。

公明党は大阪都構想のモデル自体には反対していたものの、住民投票を行いながら今後の大阪都市計画を進めること自体には賛成の立場を取っていました。

大阪維新の会も公明党に譲歩する形で都構想のモデルを協議していました。

しかし、両党の議論が難航したことで結果的に公明党は大阪都構想に反対の立場を取りました。

結果、大阪維新の会と大阪維新の会以外の政党で、都構想をめぐる対立構図が生まれました

進展しない都構想計画に歯止めをかけるべく、大阪維新の会は公明党との交渉決裂に伴い、当時大阪府知事の松井氏と当時大阪市長だった吉村氏を入れ替える「クロス選挙」にうってでました。

政局は大阪維新の会とそれ以外の政党での対立が際立った選挙でしたが、結果は大阪維新の会が圧勝するかたちで終えました。 

公明党の議席が確保できない政局の思惑から一転都構想賛成へ 

クロス選挙は大阪維新の会が圧勝し、府議会では過半数、市議会でも過半数を伺うところまで議席を伸ばしました。

この結果、大阪都構想を行うか行わないかを議論するために設置されている法定協議会で、大阪維新の会は過半数の議席数となり、事実上大阪都構想は賛成される状況になりました。

公明党としては、このまま大阪都構想の反対の立場を続けると、大阪での支持基盤を失い、議席確保が困難になることを懸念したため、大阪都構想の案に一転賛成の立場をとりました

そして府議会と市議会では公明党が賛成に回ったこともあり、過半数で可決されて11月1日に住民投票が実施されることになりました。 

大阪都構想反対派の意見まとめ  

学者は100名程度が反対派の意向を示している 

大阪都構想に対して、多くの学者が反対の立場を示しています。 

反対派で多かった意見としては「地方自治」を衰退化させることにつながり、 結果として大阪の衰退につながるとの意見があります。 

大阪の行政サービスの低下につながる懸念の声が多い 

大阪の衰退につながるとしている反対派の中で最も多い意見として、行政サービスの低下につながる意見が最も多い意見でした。

なぜなら、 大阪都構想により大阪市が特別区として編成されてしまうと、行政サービスを行うかどうかの最終的な決定権が大阪府に吸い上げられてしまうからです。

大阪都構想では、各特別区の区長が行政上のサービスに関わる決定をするため、これまでの生活にかかわるサービスは特別区になっても引き続き継続可能だと主張しております。

しかし、各区でサービスを行うためには、当然お金が必要です。

お金は区民の税金から調達しますが、調達した資金を特別区の住民に使うかどうかは大阪府に権限があります。 

新たな行政サービスを区で行いたいと声をあげても、実施できるかは大阪府が決定します。

特別区の住民の行政サービスに優先順位がつく形になり、結果として行政サービスの質の低下が叫ばれています。 

職員の数が減少することが行政サービスの低下につながる意見もある 

また、特別区として配置する職員の数も大阪府と統合すると削減される可能性があります

結果的に行政サービスが地域住民まで行き渡らなくなるとされています。

この点も大阪都構想では民営化によって充足できるとしていますが、公営している行政サービスがいきなり民営化すると人材の質が落ちる可能性も指摘されています。

そのため、必ずしも人員が確保できれば解決するという短絡的な問題でもないと反対派は意見しています。 

そもそも二重行政の解消になっていないという意見もある 

大阪都構想で大阪市を廃止して特別区が編成されると、各区で財源を調整する機関が特別区と大阪府の中間におかれます。

つまり、調整機関が特別区の上に位置している以上、様々な行政サービスを行ううえで協議する必要があるため、現状の大阪府と大阪市の二重行政の構図と変わらないのではないかといった意見もあります。 

コロナ禍の今なぜ大阪都構想を推し進めるのか   

IR法における大阪誘致が最大の狙い  

なぜ大阪都構想をコロナ禍の状況で推し進めるのかというと、IR誘致を住民の意向とは関係なく有利にすすめていきたい狙いがあるからです。 

現在大阪府はIRの大阪誘致を、万博と一緒に推し進めたい思惑があり、大阪の夢洲(ゆめしま)を候補地として計画しています。 

夢洲は大阪市の此花区にある人工島で、大阪万博とIRの誘致先としてセットで候補先として構想されています。 

IRを進めるうえで大阪市はジャマな存在になる  

大阪都構想が可決すれば、夢洲をIRの候補地にする場合に大阪府全体の意見を聞く形だけで済みます。

先に述べたスピード感のある政治決断です。 

しかし大阪都構想が否決され、大阪市が存続した状態だと、いったん大阪府全体として意見を聞く前に大阪市の意見も聞いて計画を進めないといけません。

大阪市が万一IRの誘致先に夢洲を候補地にしたくないと意見があがるだけで、この対応に追われることになります。

結果として議論が先に進まず平行線をたどります。

大阪都構想を推し進めたい理由は、大阪市にある夢洲を候補先として早期に決定したい狙いがあるからといえます。 

ただし、大阪府も大阪市もそれぞれ大阪維新の会に属する人物が首長を務めており、どちらもIRには積極的です。

大阪市が邪魔といっても、そのトップは同じ大阪維新の会の人間であるため、結局のところ、大阪市が邪魔だから都構想をぶち上げるというのは乱暴ではないかという見方もあります。

まとめ 大阪都構想がコロナ禍の今なぜ前回否決されたのに推し進めるのか  

大阪都構想が必要な理由  

大阪都構想が必要な表向きの理由としては、二重行政の解消におけるムダを削減することです。

しかし表向きには公表されていない理由の1つに、大阪市にある夢洲をIRの誘致先として住民側の意向を反映せず候補地に決定したい狙いがあるからといえるでしょう。 

前回の住民投票で大阪都構想が否決された理由  

大阪都構想が前回の住民投票で否決された理由は、経済効果が見込めない点と堺市長選挙で敗北した点が理由として挙げられます。

大阪都構想がもたらす経済効果は4000億円といわれていましたが、その内訳に大阪都構想でもたらせる効果とは関係のない名目があり、住民側の期待値が下がったことが理由といえます。

また、大阪都構想の特別区として編成予定だった同じ政令指定都市の堺市長選挙で敗北したため、大阪都構想のイメージが悪くなったことも、否決につながった理由といえるでしょう。 

大阪都構想がコロナ禍でも推し進めたい理由  

コロナ禍の中で住民投票を推し進めたい理由は、IRの候補先がこの先複数上がる前に、夢洲を候補地に決定させておきたい狙いがあるためであるといえるでしょう。

すべては、IRと万博をセットで推し進めたい大阪維新の会の思惑を具現化するための布石といえます。 

大阪都構想反対派の理由  

大阪都構想に反対している意見は多数あり、100人程度の学者が反対しております。

挙がっている意見のほとんどで、行政サービスの低下が叫ばれています。

また、二重行政の解消を目指すための大阪都構想にもかかわらず、結果的に二重行政が解消されていない構造になっていると指摘する意見も挙がっております。 

終わりに 

大阪都構想の実現するテーマとして掲げられている二重行政の解消は、政策の中身を知れば知るほど二重行政のテーマと逆行している部分もあります。

大阪都構想に限らず、推し進めたい政策の中身を知ることで、裏側にある真の狙いや意図が見えてくることでしょう。

政策の裏側の意図まで私たちが考えて政策を評価し、是非を判断できる1つのキッカケにしていただきたいと願います。