大阪都構想により大阪都になるの?大阪都にはならない?大阪都構想の実現で変わる生活と暮らしについて。

2020.09.25
  • 「大阪都」はあくまでも呼び方で本質は制度の話
  • 大阪市という政令指定都市の問題点と二重行政の解消
  • 大阪都構想実現による住民の暮らしの変化は?
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大阪市を廃止し4つの特別区を再編するいわゆる「大阪都構想」の住民投票が2020年11月1日に行われます。 

2015年に一度は否決された大阪都構想ですが、今回可決されると2025年の1月に大阪市は4特別区として新たな大阪としてスタートすることになります。 

ここでは、都構想実現によってどのような住民の生活がどのように変わるのか?名称は大阪都になるのか?など、大阪都構想の疑問点などを詳しく解説していきます。 

名称の問題ではなく制度の話 

大阪都構想とは、実現したからといって「大阪都」にはなりません。大阪市が廃止され、代わりに特別区が設置されます。 

名称が変わるのも大きな問題かもしれませんが、名称よりも制度の中身の問題なので、まずはどのような制度であるのかを知ることが大事です。 

政令指定都市の廃止 

政令指定都市とは、日本の大都市制度のひとつであり、現在の大阪市も政令指定都市として定められています。 

政令指定都市の特徴は「都道府県と同等の権限を持っている」ということです。 

自治体の関係性をわかりやすく権限の強さで表すと、「都道府県>市町村」となり、行政における権限は都道府県の方が強くなりますが、強い権限を持つ政令指定都市が置かれる都道府県の場合は事情が異なります。 

例えば近畿エリアで言うと、滋賀は政令指定都市がないため、滋賀の権限は滋賀県が持つことになりますが、大阪の場合は大阪市が政令指定都市として定められています。 

つまり、政令指定都市がある大阪の場合は、大阪府と大阪市がそれぞれ独自の行政運営ができると言うことになり、「二重行政」の根本的な原因であると、大阪維新の会など都構想推進派は主張します。

大阪都構想とは、この政令指定都市を廃止して、大阪市を4つの特別区として再編するという制度です。 

特別区の設置 

特別区とは、特別地方公共団体のことをいい、都の管轄でありながらも議会機能を持つ地方公共団体です。 

他府県でいうところの市町村のようなものですが、特別区は東京都にしかなく、東京23区がその特別区となります。 

政令指定都市を廃止し、この特別区を新たに設置し再編する構想が、大阪都構想ということです。 

二重行政の解消 

大阪都構想の本質は、政令指定都市を廃止し大阪市を特別区として再編して二重行政を解消することといえます。 

負の遺産と損失 

現在の大阪は、「大阪府」と「大阪市」と言う大きな権限を持つ2つの自治体が存在する状態です。 

大きな権限を持つ2つの自治体が存在する状態の場合、大都市をそれぞれが管理することのメリットもあります。その反面、デメリットも多く、「負の遺産と損失」として表面化していると推進派がアピールします。 

必要もないビルや施設がたくさん建設され、その後の経営破綻や閉鎖などで、その損失は約1兆6千億円以上とされています。

ただし、これらのハコモノに関して、二重行政ではなく単なる政策の失敗です。当時の大阪府も大阪市もそれぞれが国が主導したゼネコン開発に乗っかり、失敗に終わります。ハコモノは特別区でも作ろうと思えば作れるため、大阪市を廃止したから解決する話ではありません。

暮らしはどう変わるの? 

大阪都構想が実現すれば実際にどれだけ変わるのか、住民投票を参加する住民の方にとっては、暮らしがどのように変化するのかが一番気になるところです。 

特別区の名称は? 

まず、「特別区の名称と現在の町名の間に、現在の行政区名を入れるのが原則」とされています。 

つまり、大阪府大阪市浪速区日本橋の場合であれば「大阪府中央区浪速日本橋」となり、大阪市が廃止され中央区に、浪速区はそのまま町名に組み込まれる形になります。 

ただし一部例外もあるようで、例えば「住之江区住之江」のような区名と町名が同じの場合は、行政区名を間に入れず「中央区住之江」になるなど、臨機応変に対応されるようです。 

各種手続きはそのまま 

住民票や保育手続きなど、住民の身近な各種手続きは現在24ある区役所でそのまま行えるようです。 

住民が直接行わない、統計調査や選挙管理委員会の仕事など一部の業務は特別区に移管されるようですが、基本的には住民が普段役所で行う手続きはそのままの行われるようです。 

しかし、いわゆる支所という扱いでこれまでの区役所と同じ業務を行い、今まで通り区役所とする都構想推進派の考えは、コスト削減の考えから反するという声も出ています。

仮に特別区が設置されれば、特別区全体の3割から4割がこれらの支所に配置されます。支所の削減か職員の負担増か、様々なことが考えられるでしょう。

保健所は各区に1か所 

現在、大阪市内の保健所は阿倍野区に1か所あるのみです。大阪市を廃止しこれを4つの特別区に再編することで、保健所も計4か所になります。 

保健所は高齢者向けのサービスや、感染症対策、予防接種など、住民が直接的に関わる行政機関のひとつです。

ただし、以前は大阪市の24の区、1つ1つに設置されていました。それを都構想推進派である大阪維新の会などが主導して1つに集約した経緯があります。

市に収める税金は? 

大阪都構想が実現すれば、これまでの行政の仕組みが大きく変わるので、納税の在り方も当然ながら変わります。 

納税には主に国に納める所得税、住んでいる地域に納める個人市民税などがあり、都構想が実現した場合この個人市民税をお住いの特別区に納めることになり、名称も市民税から「特別区民税」へと変更される予定です。 

どのように使われる? 

大阪都構想が実現すると、大阪市が廃止され、北区、中央区、淀川区、天王寺区、4つの特別区として再編されます。 

特別区に移行することで、特別区で独自に予算を確保できるのが大阪都構想の目玉になっていました。しかし、これまで大阪市に入っていた税金がそのまま特別区にスライドされるわけではありません。試算では、およそ2000億円が大阪府へ流れることになっています。

政令指定都市の自主財源は主に7種類ですが、特別区の自主財源は3種類のみとされています。固定資産税や法人市民税などが自主財源として使えなくなります。

特別区民税は、特別区の基礎自治のためにしか使われないかもしれませんが、本来大阪市であれば与えられた財源が、大阪府によって別の市へ流出する可能性が否定できません。

大阪都構想賛成派の意見 

大阪都構想に関して、基本的なことは理解できたと思いますが、「実現すれば良いことづくし」というわけではありません。 

大阪都構想は過去に僅差で否決されたこともあり、それは「それだけ賛否がある制度」ともいえます。 

ここからは、大阪都構想に対して賛成する方の意見や反対する方の意見を紹介していきます。 

賛成派の主な意見 

  • 府と市が担っていた事務を一元化される 
  • 二重行政=税金のムダ遣いを解消 
  • 市民の声を反映する仕組 

これらの意見が主にあります。 

特に目立つのは上記で紹介したように、二重行政の解消によってさまざまな無駄を省くことができると言う主張が大きいですが、市民の声が反映しやすいからという意見もあります。 

大阪市が廃止され4つの特別区で再編されるということは、各特別の区長は選挙によって選ばれます。 

「選挙で選ばれる=民意の反映」が一般的なので、この仕組みが市民の声が反映する仕組みと言うのが賛成派の主張です。 

大阪都構想反対派の意見 

それでは次に大阪都構想に反対の意見を見ていきます。 

大阪都構想に関しては反対・批判が常に多くありますが、ここではより具体性がある意見を紹介していきます。  

反対派の主な意見

  • 再編コストによって行政サービスが低下する 
  • 地域によっては行政サービスが低下する 

共通して多かった反対意見にはこれらのように、再編によるコストや地域格差による行政サービスの低下などに関しての意見が目立っていた印象です。 

反対派の指摘のように、再編には確かに大きなコストが必要となり、大阪府市大都市局の試算によると、特別区設置による財政効果額はマイナスになることが明らかになっています。 

大阪都構想に反対の立場をとる自民党大阪府連は、この大きな再編コストに伴って「財政に深刻なダメージを受け、行政サービスの質の低下を招く」としています。 

ですが、これには対応策として、広域事業の民営化を含む財政効果額の利用、土地売却などの財源対策が検討されているようです。 

大阪都構想における長所・短所 

上記のように大阪都構想に賛成・反対の意見はさまざまですが、ここからはこれらの意見を踏まえ現在わかっている大阪都構想の長所と短所をまとめていきます。 

大阪都構想の長所 

  • 区長の公選 
  • 広域行政の一体性向上 
  • 行政効率の向上

これまでの区長は大阪市長が指名する形ですが、これからは選挙で選べます。現状大阪維新の会とその他の政党のバトルが展開されていますが、今後特別区で見られる可能性が出てきます。 

広域行政の一体性向上には、都市の集積と広がりにあわせた広域行政の一元化することで、低迷した大阪の経済を回復させる効果があるとされています。 いわば、大阪府が主導して行政を引っ張っていく形になるでしょう。

行政効率の向上に関しては、広域行政を大阪府、基礎行政を特別区が担うことにより、「府と市の非効率な重複施策・事業の解消」「基礎自治体が最小効率規模」に効果があるとされています。 

また、それによって「住民に身近な行政サービスの提供」「特別区同士の切磋琢磨に相乗効果」なども期待されます。 

ただし、特別区への移行で市民プールやスポーツセンターなどの縮小、削減が想定されています。またコロナ禍で財政が悪化した場合、各種行政サービスの利用負担が「区民」にかかってくる可能性は否定できません。

大阪都構想の短所 

  • 再編コスト 
  • 行政サービス水準の差異発生 

再編にかかるコスト、行政サービスの格差、このあたりが反対派の主な意見であり、短所とされています。

特別区の区割りでは最大限平等な区割りを目指していますが、特別区間での格差が生じ行政サービスの水準に差異が発生する可能性が考えられます。

住民投票を行う際のポイント 

ここまで、大阪都構想に関して長所も短所もあり、また反対・賛成意見もたくさんあることがわかりましたが、例のない大規模な制度改革なので、「やってみないとわからない部分が多い」ことも事実です。 

ですが、やるもやらないも、決めるのはそこに住む住民の方の1票なので、住民投票を行う際は、住民の方ひとり一人がしっかりとこの制度に向き合うことが大事です。 

大阪都構想の住民投票を行う際は、しっかりと要点を抑え自分の暮らしにどのような影響を与えるのかをしっかりと考えて投票を行うことが大事です。 

まとめ 

大阪都構想の住民投票は2020年11月1日に実施されます。 

もうあまり時間はありませんが、可決されることでこれまでの暮らしに変化をもたらすことは確実なので、賛成派・反対派それぞれ意見、実施することによる長所と短所、これらをできるだけフラットに捉え、自分なりにしっかりと考えて住民投票に挑みましょう。