大阪都構想のスケジュールについて。住民投票により実現すれば大阪市を廃止し4つの特別区が設置される

2020.09.29
  • 大阪都構想案の住民投票は11月1日に決定したが、住民投票の日程は変更される可能性がある
  • 賛成多数で成立した場合、最終的な大阪都への移行は2025年1月1日になるが、こちらも最終確定ではない
  • 今回の大阪都構想案では、大阪市の廃止と4つの特別行政区の設置が唯一の争点となる
この記事は14分で読めます

大阪市を大阪府に統廃合し、4つの特別行政府を設置するという新大阪都構想案は、大阪府議会と大阪市議会で可決成立したことで、10月12日告示で11月1日投開票のスケジュールが決定しました。

これにより、大阪都構想は2015年に続いて2回目の住民投票がおこなわれますが、その内容や今後のスケジュールがどうなるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 

大阪都構想の住民投票のスケジュールが決まった 

大阪都構想案は、6月19日の法定協議会において賛成多数で可決され、総務省との協議でも通りました。それに基づき、8月28日の大阪府議会に続いて9月3日に大阪市議会においても制度案が大阪維新の会と公明党の賛成多数によって成立可決しています。 

その結果、大阪都構想についての住民投票111に実施されるスケジュールが決まりました。 

このスケジュールに向けて賛成派、反対派の各政党はそれぞれに都構想の内容周知や問題点などをさまざまな経路で大阪市民に向けてアピールしていくことになります。 

今後の大阪都構想のスケジュール変更の可能性がある 

大阪都構想は、10月12日に告示され、11月1日に投開票がおこなわれるスケジュールが決まっています。9月までは大阪都構想の住民投票までのスケジュールに変更の可能性がありました。それが以下の2点です。 

・衆議院解散による総選挙による変更の可能性 

・新型コロナウイルスの再拡大による時期変更の可能性 

菅内閣による衆議院解散によってはスケジュールが変わる可能性があった

2020年9月16日に成立した菅内閣が、臨時国会において解散をして総選挙がおこなわれる可能性が取りざたされていました。

選挙コストを減らすため、住民投票を総選挙の日程に合わせるスケジュールに変更される可能性があったのです。 

10月に総選挙がおこなわれる場合には、10月13日告示、10月25日投開票が予想されていたため、住民投票の前倒しも検討されました。 

新型コロナウイルスによる延期の可能性も 

現在、新型コロナウイルスは7月末をピークとして減少傾向にあります。

しかし、新型コロナウイルスについては、秋になって気温が低下した場合にはインフルエンザとの同時流行により再拡大(第3波)する可能性があるのも事実です。 

新型コロナウイルスが急拡大する場合には、再び外出などを控えて3密を避けるために人の密集を避ける必要性が出てくる可能性があります。

その場合には街頭演説や説明集会も開けなくなり、人の集まる投票もできなくなることも考えられるのです。

ただ現状では、患者数が増えるような展開にはなく、新型コロナウイルス対策を徹底した形で住民投票が行われることになりそうです。 

大阪都構想の住民投票が成立した場合のスケジュール 

現在のところ、大阪都構想の住民投票成立後の正式なスケジュールは決まっていません。 

大阪市の4特別行政区への統合は2025年1月1日となっていますが、今後、大阪市以外で大阪都に統合を希望する市が出てくる可能性があり、それらを待って正式なスケジュールが決まってくる可能性が高いからです。 

大阪都構想の課題とスケジュール上の課題 

大阪都構想は、大阪府ならびに大阪市の財政悪化の要因となったそれぞれの二重行政による権限の重複をなくすために提案されているものです。

すなわち、 

・大阪市並びにその周辺市を廃止して特別行政区に分割 

・それによって大阪市並びに周辺市の持っている財源やその行政上の権限を大阪府に集中し、そのなかから一定のものを特別行政区に委譲する 

というものです。 

前回から改善された大阪都構想案の課題と総合的スケジュールへの影響 

前回の大阪都構想案では堺市などの反対が大きかったことから、今回の都構想案では、周辺市については外してまず、大阪市を廃止して、財源や権限を大阪府と4つの特別行政区に吸収する案となっているのです。 

そのため、大阪都構想案が住民投票で成立した場合、周辺市で希望する場合にはさらなる再編がおこなう必要があります。そのため、最終的なスケジュールはまだ決まっていないといえるのです。 

したがって、大阪都構想案の最終的な大枠の実施スケジュールそのものも課題として残っています。 

また、すでに記載したように新型コロナウイルスや国会情勢によって、住民投票のスケジュールそのものも完全に確定しているとはいえません。 

大阪都構想の住民投票で賛成派が勝てば大阪市は廃止され、4つの特別区が設置 

今回2020年6月に法定協議会で可決され、9月3日に大阪市議会での成立で決まった大阪都構想案は、前回2015年の構想案に比べてかなり簡略化されています。ポイントは、大阪市廃止され、4つの特別行政区に再編される点にあるでしょう。 

この4つの特別行政区の設置を中心に大阪都構想の内容を詳しく見ていくことにします。 

大阪都構想の概要 

今回の大阪都構想では、政令指定都市になっている現在の大阪市の24の区は2025年1月1日に4つの特別行政区に統廃合されることになります。前回の都構想案では5つの特別行政区になっていました。 

この大阪都構想案の概要についてさらに詳しく見てみることにします。 

新たに設置される4つの特別行政区による影響 

新たに設置される特別行政区は前回の5つに対して4つになっています。 

各区役所の統合や大阪市役所の大阪府への庁舎統合もあり、そのため住民にとっては選択できる窓口が減る可能性があるのです。

自民党、共産党などの反対政党はこの点を批判していますが、その分大阪における行政経費は大きく削減できることになります。 

また、大阪周辺地域の市は大阪都への編入も可能になっており、編入されてさらなるコスト削減も可能な体制になります。

ただ、既述のように前回の住民投票では政令指定都市になっている堺市が反対に回っており、最終的な形はまだ決まっていません。 

今回はあくまでも、大阪市と大阪府の統合がその主要なポイントとなっているのです。 

前回の住民投票時の大阪都構想との違い 

前回の大阪と構想案では、大阪市だけでなく、その周辺市についても統廃合の対象となっていました。

しかし、今回の大阪と構想案では大阪市のみを対象にして、ほかの市でも希望すれば都構想に入れることとしています。 

そのため、今回の大阪と構想案では公明党が賛成に回ったことで、住民投票を行うことができました。

大阪市の廃止によって財源の縮小は避けられない 

また、前回同様、大阪都構想についての反対派の反対理由として、政令指定都市になっている大阪市(前回は大阪市と堺市)は特別補助金が政府から出ている点があります。

それを統廃合によって無くすことについて予算が減って住民サービスが低下すると言っているのです。 

ただ、今回の大阪都構想案は大阪市の廃止(4つの特別行政区設置)と財源の縮小だけに絞られており、論点はよりわかりやすくなっているといえます。 

大阪都構想が成立した場合の行政区画の変更は具体的にどうなる? 

大阪都構想が実現した場合の、現在の大阪市の区の再編は次のようになります。 

・淀川区   東淀川区、淀川区、西淀川区、此花区、港区 

・北区    旭区、豊島区、北区、福島区、鶴見区、城東区、東成区 

・中央区   中央区、西区、浪速区、西成区、住之江区、住吉区 

・天王寺区  天王寺区、生野区、阿倍野区、東住吉区、平野区 

以上のようになっており、区のなかで出張所などの設置については明確になっていません。 

大阪都構想の実施政策の争点はどこに? 

自民党大阪府議員団は、昔と違って大阪府と大阪市は両方とも財政再建に取り組み、不採算な資産売却などをおこなっており、府と市の関係性も共同歩調になっているため、今さら大阪都構想は必要ないとしています。 

すなわち、前回の住民投票以降、大阪市地下鉄・市バス事業の民営化、その他の事業売却などの財政悪化の要因になっていた問題点はすでにかなり解消されているため、今回は争点とはなっていません。 

さらに、前回でもそうでしたが、大阪府知事と大阪市長が同じ大阪維新の会から選ばれており、政策的にそれぞれ別々におこなわれることによる予算の無駄も少なくなっています。 

そのため、反対派の自民党大阪市議団や共産党は、実施政策の面ですでに大阪都構想は必要なくなっているとしているのです。 

大阪府と大阪市の財政健全化は今後も続くのか? 

9月18日にNHKで大阪都構想の是非について、主要政党の討論会を実施しています。その際に自民党は、前回同様に統合することによって市民にとっての行政窓口が減少して、充分な行政サービスを受けられなくなることを宣伝して反対していました。 

しかし、行政サービスの低下と財政赤字による住民負担の増加の具体的な比較はありません。 

また、大阪市と大阪府が同じ大阪維新の会から選ばれているため、政策の不一致による無駄もないとしていました。 

しかし、今後永遠に大阪維新の会が大阪府知事、大阪市長を占めて、同じような政策の方向になるという保証はありません。 

大阪維新の会の松井市長もこの点で反論していました。事実、過去には自民党推薦の府知事、市長の時代が続いていましたが、結果的に大阪市も大阪府も大幅な財政赤字を作っているのです。 

大阪都構想案の住民投票でポイントになるのは? 

今回の大阪都構想案の住民投票で争点は説明しましたが、それらが実際の大阪市民の判断に対してどのように影響してくるのか、そのポイントを見ておきます。 

前回の大阪都構想否決後の具体的な財政再建への提言は? 

自民党などは前回の大阪都構想案に反対しています。しかし、大きな財政赤字に対する解決案は提出せず、住民サービスが低下することを訴えただけでした。その点が住民投票でも指示されて大阪都構想案は否決されたのです。 

昨年の大阪市議選挙においても大阪維新の会が第1党を維持し、公明党が与党化したことで、大阪都構想の法定協議会や大阪市議会でも賛成多数により可決しているのです。 

その意味で、今回の大阪都構想案の住民投票においては、恒久的な財政健全化のための政策と住民サービスの低下可能性を大阪市民がどう評価するかがポイントとなるでしょう。 

今回の大阪都構想の区画は柔軟に実施されるので大阪市民の本音も変わる可能性がある 

大阪都構想案で行政区画を細部まで決めてしまうと、前回のように堺市などの反対から成立しない可能性もあります。そのため、今回の構想では大阪市のみを統合の対象とし、希望する市があれば、実施時に組み込めるように変えているのです。 

その結果、公明党などが今回は評価して賛成に回っています。 

今回の大阪都構想案の住民投票では、実際に関係するのは大阪市に限られるため、公明党と同様に前回反対した人のなかにも賛成に回る可能性が高くなる可能性もあるでしょう。 

大阪都構想のスケジュールと4つの行政区のまとめ 

大阪都構想案は、大阪府議会に続いて9月3日に大阪市議会でも成立可決したことで、いよいよ11月1日に投開票というスケジュールがきまりました。 

住民投票で賛成が多数になった場合には、大阪市は廃止になり、その財源と権限は大阪府と新たに設置される4つの特別行政区に統合されることになります。 

ただ、スケジュール的には変化要素があり、今後変わる可能性も残されています。 

また、住民投票で成立した場合、新たな4つの特別行政区の設置は2025年1月1日となっていますが、今後周辺市が希望によって組み込まれることも可能になっており、総合的なスケジュールはまだ変わる可能性もあります。