大阪都構想のデメリットや問題点、課題は?大阪都構想はなぜ必要なのか、わかりやすく解説。

2020.09.27
  • 大阪都構想は、長期的に大阪地域の財政、行政サービスの健全化のためにおこなわれる
  • 反対派は、短期的に行政サービスが低下することで、デメリットしかないと言っている
  • 長期的にはデジタル化などで行政窓口も必要でなくなる可能性もある
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大阪都構想案が可決され、11月1日に住民投票がおこなわれます。今回が2回目の住民投票になりますが、まだ都構想というものがわからないという方もいらっしゃいます。 

反対派の自民党や共産党などは都構想をデメリットだらけといっており、投票に迷っている方もいるのではないでしょうか。 

この住民投票にかけられる大阪都構想とはどのようなものか、わかりやすく解説します。 

大阪都構想が住民投票にかけられることになったが、そもそも都構想とは? 

大阪都構想案は、大阪府議会で8月28日に、大阪市議会で9月3日にそれぞれ可決成立して111日の住民投票が決まりました。 

しかし、2回目の住民投票になりますが、そもそも大阪都構想案とはどのようなもので、なぜ住民投票が必要なのかをご存じない方もおられます。 

大阪都構想は、もともと大阪府と大阪市が多くの不採算事業をかかえ、大幅な財政赤字に陥っていた時期に、大阪府知事に当選した橋下徹氏が提唱して大阪維新の会を発足させて推進したのがスタートになっています。 

前回の大阪都構想案はどのようなポイントがあったのか? 

都構想、広域関西連合など、それ以前にもいろいろな議論がおこなわれていましたが、実際にその実現に向けて動き出したのは橋下徹氏が府知事になってからです。 

その当時の大阪都構想案の主なポイントは、大阪市を廃止して特別行政区を設置することと、不採算事業の売却・民営化になっており、前回は2015年5月に大阪都構想案の住民投票がおこなわれました。 

大阪市のホームページでは特別区制度といっている 

現在の大阪府、大阪市では、地下鉄・バスなどの不採算事業はすでにほとんどが売却や民営化がおこなわれており、今回の大阪都構想案のポイントは特別行政区の設置だけになっています。 

そのため、大阪市のホームページでは大阪都構想といわずに、特別区制度と呼んでいます。 

都構想の根拠となる法律とは? 

では、大阪都構想案においてなぜ住民投票が必要になっているのでしょう。 

広域行政になる都構想で実際の住民サービスを確保・提供するためには、特別区を置く必要があります。大阪府には大阪市を含めて800万人以上の人口を抱えており、府だけで住民サービスを提供することは不可能だからです。 

この都構想を行う場合に必要になる行政窓口である特別区を設置するには、大都市地域特別区設置法(大都市地域における当別区の設置に関する法律)に基づいて計画を実現する必要があります。

この法律のなかでは、府議会、市議会の議決以外に住民投票による住民の意思確認が必要になっているのです。 

今回の住民投票には法的拘束力があり、反対が多ければ大阪都構想は再びフェードアウトします。

そもそもの大阪都構想のきっかけは財政赤字の恒久的解消だった 

すでに見たように、大阪都構想が動き始めたきっかけは、大阪府と大阪市の大幅な財政赤字になっていました。 

この大きな財政赤字の原因は、大阪府と政令指定都市の大阪市がそれぞれに個別に不採算事業を行っており、互いに協力して政策をおこなうことがなかったことによります。 

そのために大阪市を廃止して大阪府で政策を統一しておこなおうと大阪都構想が提案されたのです。

ただ、そのためには特別区の設置が不可欠でした。 

財政赤字を解消するには府と市の協力が必要 

橋下氏が府知事になった当時の平松大阪市長は、橋下氏との仲が悪く、大阪都構想にも反対していました。 

そこで橋下氏は、大阪府知事を辞任して大阪市長に出馬して、平松氏を破って市長に当選し、大阪府知事には同じ大阪維新の会の松井一郎氏が当選してようやく大阪府と大阪市は同じ方向を向けた政策を実施することが可能になったのです 

大阪都構想による大阪の財政赤字の解消を目指して住民投票へ 

大阪市の橋下氏と大阪府の松井氏の大阪維新の会は、協力して財政赤字を解消するために大阪都構想案を提案し、実際に2015517日に住民投票がおこなわれたのです。 

しかし、住民投票の結果はわずか0.8%差で反対が多くなり、大阪都構想案は断念したのです。 

阪都構想案における特別区とは 

前回も今回と同様に、大阪都構想案では、大阪市を廃止して特別区を作ることを赤字解消の恒久的措置として提案していました。 

この特別区の設置はなぜ必要になってくるのでしょう。 

現在の24の区と特別区はどう違う? 

大阪市は現在は24の区があり、それぞれに区役所があり、住民サービスを提供しています。

そのため、大阪市民の皆さんは、比較的近くに区役所があり、住民登録、印鑑証明、健康保険・介護保険などのサービス提供を受けているのです。 

これら24区は行政区と呼ばれます。大阪市長の指名を受けて区長が任命され、行政サービスの提供を行います。

特別区は、区長は選挙で選ばれて区議会も存在します。自分たちで多少自立しつつ、大阪府と連携して行政サービスの提供を行うのが特徴です。

東京都の特別区とはどう違う? 

東京都にも現在は23区の特別区がありますが、それぞれに区長は選挙で選ばれ、議会も持っています。

しかし、大阪市の区にはそのような権限も予算もありません。

そのため、大阪都になる場合には東京都同様に特別区を持つ必要があるのです。 

現在の東京23区の人口は800万人を越えており、大阪市の人口は260万人ですから、7~8つの特別区になる勘定です。 

しかし、東京都の場合には、大企業をはじめ、多くの本社が集まっており、多くの税収が入ってきます。

それに対して大阪市は近年大企業の本社の東京への流出もあって、税収は東京よりも大きく劣っています。 

そのため、財政規模を勘案して今回の大阪都構想案では4つの特別区の提案になっているのです。 

なぜ大阪市を廃止して特別区を設置する必要があるのか 

本来、不採算事業は売却や民営化することで、財政赤字を拡大する要素はなくなっており、独自の国からの交付金を受けられる大阪市を廃止して、特別区を設置する必要はあるのでしょうか。 

反対派の多くは行政サービスレベルの低下とともにこのように主張して、大阪市の廃止と特別区の設置に反対しているのです。 

大阪都構想案における特別区はデメリットだらけ

今回の大阪都構想案では、自民党大阪市議団、共産党が反対派となっており、前回と同様特別区はデメリットだらけと言っています。 

その主張の中心は、 

・すでに財政赤字の原因になっていた不採算事業は売却、民営化されている。 

・赤字要因がないのに、大阪市を廃止して4つの特別区にすれば、住民にとって行政サービスレベルが低下するだけである。 

という点であり、大阪都構想案にはデメリットしかないということになっています。 

大阪の不採算事業はすでに売却されているが、都構想は必要? 

大阪府や大阪市の不採算事業はすでに売却されていますが、それでも大阪都構想は必要かという点については、短期的に見るか、長期的な視点で見るかによって、結論は違ってきます。 

すなわち、現時点では、大阪維新の会が大阪府でも大阪市でも第1党になり、不採算事業の売却や民営化をおこない、協力して2025年の大阪万博実施事業に向かっています。 

大阪府と大阪市の協調体制はいつまでも続くわけではない 

しかし、大阪という地域は、選挙ではタレントや人気のある人が選ばれる風潮が強く、大阪維新の会以外で有力タレントなどが代表に立てば、逆転する可能性があります。

吉村知事が国政選挙に返り咲いたり、松井氏が引退したりした場合にはその立場を維持できるかどうかはわかりません。 

長期的に見れば、大阪市が残った場合には再び府と市の政策がいびつになっていく可能性はないとはいえないのです。 

したがって、今後も大阪地域で同じ方向を向いた政策を実現して、二重行政の弊害をなくすことは、現在の行政サービスレベルを維持していくためには必要というのが、大阪市長の松井氏の主張です。 

国のレベルでもデジタル化が進むがそれに対応するためには? 

新しく成立した菅内閣ではデジタル庁を設置して、行政サービスの効率化を進めようとしています。 

これは、国に限ったことではなく、マイナンバー制度などを見ても各地方自治体においてもデジタル化への転換が求められ、大阪市が残った場合には、大阪府と二重で大きなコストが生じてくる可能があります。 

また、デジタル化が進めば、行政手続きなどはすべてネットできるようになり、今のように多くの行政窓口は必要なくなる可能性が高いといえるのです。 

大阪都構想はデメリットだらけという理由は何? それは妥当? 

このように、大阪都構想に反対している自民党や共産党は、現在の行政サービスレベルを維持すべきで、大阪都構想はその点においてデメリットでしかないといっています。 

二重行政の解消を謳いながらも、すでに松井市長は、二重行政が解消されていると発言した他、大阪都構想に関する試算が少し杜撰ではないかと指摘を受けるなど、いささか不透明です。

大阪都構想は必要か? 

大阪都構想が必要かどうかは、短期的に現在の行政サービスレベルが継続するのを希望する場合には必要ないといえますが、将来的に行政サービスレベルが低下するのを避けたいという場合には大阪都構想は必要ということができます。 

将来的にはデジタル化で行政窓口は必要でなくなる可能性がある 

また、すでに述べたように、現在の行政サービスを提供するのに、いつまでも実際の行政窓口が必要かという点も考える必要があります。 

現在でも、住民票などは窓口にいかなくても、インターネット上で取得が可能ですし、今後さまざまな手続きが窓口に行かなくても可能になる可能性が高いのです。 

また、公共料金も現在ではクレジットカードやネット上で支払うことが可能になっている自治体も多くなっています。 

このように、大阪市が存続した場合には、二重に一時的なシステム開発費が必要になるだけでなく、行政窓口も減らさざるを得なくなる可能性も高いといえます。 

大阪都構想案は長期的な視野で見る必要がある 

大阪都構想の推進派の意見ばかりを聞くとメリットばかりに思えて、長い目で見ずに賛成の意思表示をしてしまうかもしれません。

都構想に賛成すれば、バラ色の未来が待っているとでも言いたげな推進派の方も少なくありません。

大阪都構想に関しては移行の初期コストがかなり圧縮された形になるなど、多くの人が批判することでブラッシュアップされる部分もあります。

そのため、長期的な視点に立った批評をしていくことが求められる時代になってきました。 

いつまでも大阪維新の会が府と市の首長であることはできない 

いつまでも大阪維新の会が府と市の首長を占めるとは限りません。赤字が出ないように同じ方向を向いた政策がいつまでもおこなわれるとは限りません。だから大阪都構想を実現させようと推進派は考えます。 

確かに、過去も自民党の推薦の府知事、市長の時代が長くありましたが、政策が違うため、その期間に大阪府と大阪市の財政赤字は拡大していたのです。 

しかし、大阪維新の会が仮に知事選などで負けても、行政への監視は大阪維新の会の支持者などが行われるので、首長はムダの削減を目指しながら動かざるを得ないでしょう。 

大阪都構想についてのまとめ 

大阪都構想案は、いよいよ最終関門の住民投票がおこなわれようとしています。

この大阪都構想案には自民党大阪市議団や共産党などが、デメリットでしかないとの首長を崩さず、反対をしているのです。 

よく大阪都構想の必要性を考えた上で投票してください。