大阪都構想のメリットやデメリットは?2019年から2020年まで全てまとめて、わかりやすく解説。

2020.09.27
  • 大阪都構想とは「都区制度」に変更し、ムダ削減と経済成長を謳っている
  • デメリットは市民サービスの低下・財源への懸念
  • 維新・公明が賛成したことで、2020年11月には再度の住民投票が行われる
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2020年11月に再度住民投票が行われることとなった「大阪都構想」。2019年に起きた大阪府知事・大阪市長の「ダブル選」から始まり、2020年の住民投票までの大阪都構想に関する激動の流れをわかりやすくまとめました。

また、大阪都構想のメリットやデメリットについても、いま一度整理してご紹介します。 

大阪都構想って何?簡単な概要 

大阪都構想とは、大阪府を東京都のような「都区制度」に変更する構想を指します。大阪都構想が実現すれば、大阪市は廃止となり、4つの特別区に分けられます。 

元々大阪市が持っていたさまざまな行政権や財源については大阪府に譲渡し、残りの行政権と財源は4つの特別区に分割されるというしくみです。 

維新が公開する大阪都構想の大まかな流れ 

大阪維新の会では、大阪都構想についてウェブサイトでも公開中です。 

大まかな流れとしては、二重行政の解消を行い、大阪の成長を促し、税収を確保し、行政サービスの拡充をするという成長戦略であると説明しています。 

大阪都構想のメリットとは 

大阪市が4つの特別区に分けられることで何が起こるのか、「大阪都構想」によってもたらされるといわれるメリットについてまとめました。 

大阪府に一元化し、スピーディーな成長をねらう 

大阪都構想では「二重行政の解消」を謳うなど、大阪府と大阪市がバラバラな動きをしてムダなコストが生じないよう、大阪府に一元化する仕組みがとられています。 

大阪市が廃止となることで、成長戦略などの広域的な仕事は大阪府が請け負うことになるため、大阪府との対立構造は生まれなくなります。 

その結果、意思決定が迅速化し、計画中の鉄道・インフラ整備をスピーディーに進めることができるとされています。 

府と市で費用負担の関係で進んでいなかったという「都市インフラ整備」は、大阪都構想により進めやすくなりそうです。 

「大阪維新の会」のウェブサイトでは、大阪の広域行政を一元化することで、とんでもない潜在能力を発揮し、世界と渡りあえる都市であることが証明されているとも書かれています。 

行政の効率化で歳出削減し、経済波及効果をねらう 

大阪市では、約270万人の人口を抱えています。

一方自治体運営の最適規模は50万人ともいわれており、大阪市では5倍の人口を抱えているために非効率な状態となっているとのことです。 

大阪市を廃止し、4つの特別区に分けることで行政の効率化ができるとされています。 

さらに、行政の効率化をはかることで生み出した5000億円の財源を使い、インフラ設備などの公共投資をして10年間で1兆円もの経済波及効果を、大阪維新の会を中心とした大阪都構想推進派は謳っています。 

特別区になり課題解決スピードの迅速化も 

特別区になることで、管轄となる住民の人数もおよそ4分の1程度まで少なくなります。

そのため、「大阪維新の会」のウェブサイトでは、特別区になると住民の声が届きやすくなると書かれています。 

270万人の市民の声を市長が1人で聞くよりも、4分割した区長がそれぞれ対応したほうが課題解決スピードが早まるとされています。 

大阪都構想のデメリットとは 

ムダを削減し、経済成長をねらうという大阪都構想ですが、一方で懸念されているデメリットについてもまとめました。 

政令指定都市ではなくなることで起こるサービス低下 

大阪市は現在「政令指定都市」であるため、大阪府を通さずに国と直接話をすることができます。政令指定都市である現状であれば、大阪府が動いてくれない時には、大阪市独自で国と交渉し、独自に物事を進めることが可能です。 

しかし、大阪都構想が実現すれば、国との直接交渉はできなくなります。 

昨今ではコロナで国が補正予算を出した際、何と大阪府よりも大阪市の方が対応が先だったケースもありました。 

消毒や手袋の確保等で負担の大きい介護事業者などに対し、国からお金が戻るような仕組みができた際、これに手を挙げることができたのは、大阪府ではなく大阪市の方が先でした。 

しかし、大阪府が大阪市民や大阪市の事業者への対応が難しくなったとき、今までであれば大阪市独自で対応することができましたが、いざという時こうしたことができなくなります。 

特別高度救助隊はどうなる? 

また、政令指定都市には義務化されていた特別高度救助隊(消防の専門部隊)が義務ではなくなります

特別高度救助隊は非常時にはエリアを問わず出動できるため、安全確保のために頼れる存在ですが、義務ではなくなるという点も心配な部分といえるかもしれません。 

市民サービスの低下が懸念 

大阪市の財政シミュレーションでは、改革効果額として挙げられる内容の中に「病院の補助金の削減」「ゴミ収集の人件費の削減」というものが含まれていました。

これらを削減することで、市民サービスの低下につながることが懸念されます。 

大阪市の税収2000億円分は決定権が大阪府へ 

大阪市の財源はおよそ8600億円分ですが、そのうちの約2000億円分は大阪府が決定することになります。

大阪市民が納めている税金が、例えばカジノ事業者など大阪市とは関係のない場所へお金が流れる可能性が懸念されています。 

コストと経済効果が見合わない懸念 

特別区に変更する過程でかかるコストは1300億円とされています。大阪都構想では、かかるコスト以上の経済効果が見込めるとされていますが、コロナ禍でインバウンド需要が見込めなくなった今、経済効果の算出は正しい数値に基づいているのかも懸念されています。 

コロナ禍で蒸発してしまったインバウンド需要については、2020年度の大阪府だけで227億円と算出する見方も出ています。 

コロナ禍で混乱が起きる中、インバウンド需要が見込めない状況で、さらに特別区に移行するコストをかけ、それに見合った経済効果が出るのかが懸念材料ともなっています。 

財源が減る可能性も 

政令指定都市では宝くじを発行することができますが、大阪市が特別区となれば宝くじの発行はできなくなります。現状であれば、宝くじの発行による収益を生活向上のための財源に充てること

も可能ですが、政令指定都市でなくなる場合には宝くじの発行による収益は見込めないということになります。 

都構想の流れとは?2019年維新・公明が交渉するも… 

大阪都構想は2015年に一度、住民投票で否決されています。しかし2015年11月には、「大阪都構想に再挑戦する」と掲げた松井さんと吉村さんがそれぞれ知事・市長に当選したことから、議論が再開することとなりました。 

2018年末頃から、再度行われる住民投票の実施時期について公明党と交渉していたという当時府知事だった松井一郎さん。

しかし、公明側からは「スケジュールありきではない」と拒否され、交渉が決裂していました。 

2019年3月7日の法定協議会で折り合えず 

2019年3月7日に行われた法定協議会では、都構想の制度案を協議されました。

再度の住民投票の実施時期について話し合うものの、維新側と公明側で折り合いがつかず、交渉決裂という結果になりました。 

大阪府知事・大阪市長「ダブル選」へ 

「このままでは死んでも死にきれない」と語る松井さんは、法定協議会の翌日午後、当時市長だった吉村さんと共に、辞職願を府市両議会議長に提出します。 

任期途中で府知事・市長が同時に辞職することになり、2019年4月に投開票となる統一地方選では「大阪府知事」「大阪市長」のダブル選を行うという流れが起こりました。 

このダブル選には当時府知事だった松井さんが市長選へ、市長だった吉村さんは知事選へ出馬を発表したため、「入れ替え出馬」として世間の注目を集めました。 

2019年4月知事・市長「ダブル選」で圧勝 

2019年4月に行われた大阪府知事・大阪市長「ダブル選」では、入れ替え出馬を果たした松井さん、吉村さんが共に当選しました。 

松井さん・吉村さん両名が所属する「大阪維新の会」の議席を多く伸ばし、反維新勢力を圧倒する結果となりました。 

2019年5月公明党大阪府本部が「賛成」に転じる 

2019年4月のダブル選で大阪維新の会の議席数が伸びた結果となったあと、翌月には公明党が都構想について賛成へと転じたことが明らかとなりました。 

公明党はこれまで一貫して都構想への反対を主張していたものの、維新の圧勝後に急に賛成へ転じたことから、維新との関係を修復する狙いがあるのではとの声が浮上しました。 

次期衆院選を見据えて、公明現職のいる小選挙区に維新から対抗馬を立てられたくないとの思いから、維新に寄り添う形となったのではと見られています。 

2020年再び住民投票実施へ 

2020年11月1日には大阪都構想の2度目の住民投票が行われます。この住民投票で過半数の賛成を得ることができれば、特別区への移行がスタート。3~4年かけて行うものと見られています。 

「大阪維新の会」は、2025年に行われる大阪・関西万博までには都構想を実現させるとの考えを示しています。 

まとめ 

2019年の大阪府知事・大阪市長の「ダブル選」で大阪維新の会が大きく票を伸ばし、このことが公明党が賛成へ転じる流れへつながりました。 

その結果、大阪都構想が再度の住民投票へ向かう大きな足がかりとなったようです。 

一度目の住民投票では接戦の末否決となった「大阪都構想」ですが、今回はどうなるのでしょうか。

否決・可決どちらにせよ、大阪市民の判断により、大阪府は大きな転換期を迎えることになりそうです。