大阪都構想の住民投票が2020年に実施決定。結果の予想は?なぜ2回目も行われることになった?

2020.09.28
  • 2020年11月1日に大阪都構想2回目の住民投票
  • 現状は、吉村知事の人気を支えに賛成派が多数
  • 2回目の住民投票が実現したのは大阪知事・市長ダブル選挙圧勝が引き金
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大阪市を4つの特別区に分ける事を基本とする大阪都構想の住民投票が目前に迫っています。世論調査の結果現在は賛成派が多数となっていますが、今後の動きによっては変動する可能性もあります。 

そこでこの記事では大阪都構想の住民投票の結果予想とそれに関わる要因、そしてなぜ2回目の住民投票をすることになったのかの経緯を分かりやすく解説していきます。 

2020年11月1日に2回目の住民投票 

大阪都構想の是非を問う住民投票が2020111に行われます。結果は即日開票され、もし賛成多数であれば、大阪都構想は可決され2025年1月1日から大阪市は4つの特別区に再編されることになります。 

逆にもし、反対派多数で否決されれば大阪都構想は住民から2回目のノーを突きつけられ、廃案ということになります。 

大阪都構想を推進する吉村知事や松井市長はこの住民投票で大阪都構想が可決となるよう積極的に活動しています。その理由は2025年に大阪万博が開催されるからです。 

大阪万博までの実現に向けてラストチャンス

2025年に大阪では万国博覧会の開催が決まっています。この大阪万博の時に大阪を訪れる人にとって快適な環境を整備して、大阪の魅力をアピールするためには大阪都構想が不可欠というのが推進派の人の意見です。 

ただし、これまで運用してきた行政制度を根本から変化させる制度なので、実現までには4年の時間を要します。 

つまり、この住民投票は大阪都構想を大阪万博までに実現させたい推進派にとって2020年末のこのタイミングがラストチャンスといえるのです。 

住民投票の結果を予想

その住民投票ですがメディアによる世論調査をもとに結果を予想してみましょう。 

現状、賛成派がわずかにリードも…

ABC朝日放送とJX通信社が共同で行う大阪都構想に関する世論調査では、告示日の時点で賛成派がわずかにリードしています。

しかし、そのリードの幅は告示日に近づくにつれ小さくなっており、9月中旬の時点で14ポイントほどあった賛成派のリードが、3週間後にわずか3ポイント差まで縮んでいます。

また、住民投票に必ず行くと答えた層に限った賛成反対の割合はほぼ互角になるなど、 投開票日まで予断を許しません。

2015年に行われた住民投票の結果を見ると、 

「2015年5月17日に行われた住民投票の結果、反対705,585票が賛成694,844票を上回り、わずか0.8ポイントの僅差(Wikipediaより引用)」 

とかなり僅差でした。

この時も賛成派がリードし、反対派が徐々に増えて最終的に逆転した形です。 

吉村知事の人気が賛成派拡大に貢献してきたが

9月中旬までは賛成派が多かったですが、増えた要因の1つに吉村洋文大阪府知事の人気が高まっていることが挙げられます。 

2020年3月から続く新型コロナウイルスの感染拡大に対して、吉村知事は国に先駆けた府立学校の臨時休校措置や、府独自の支援金制度の創設、府独自のモニタリング指標を作り太陽の塔をライトアップするなど様々な対策に力を入れてきました。 

そして、日々の情報発信でも多くのメディアに取り上げられ、国民全体に認知されるまでになりました。 

そうした吉村知事のコロナウイルス対策を住民はとても評価しており、ある世論調査では吉村知事のコロナウイルス対策を評価するという意見が全体の約90%を占める結果となりました。 

先ほどの世論調査では、吉村知事を、強く支持する・どちらかと言えば支持すると答えた人は全体の3分の2に達しています。松井市長がわずかに過半数に届く程度であることを考えれば、支持率の差ははっきりとしていることが明らかです。 

ただし、大阪都構想への賛成反対ではなく、「大阪市廃止・特別区設置」への賛成反対であることが広まっていく中で吉村知事の人気はさほど影響していない可能性が出ています。

現在も影響力を残す橋下徹氏が市長を務めていた時代に1回目の住民投票で失敗しており、吉村知事の人気は最終的に関係しないのではないかという見方もできそうです。

バーチャル都構想の成功

住民投票の結果予想が9月中旬まで賛成派に傾いてきた要因としてもう1つバーチャル都構想の成功というのが挙げられます。 

バーチャル都構想とは吉村知事と松井市長が連携して二重行政を解消、仮想的に都構想が実現した状態を作ったものです。 

その結果として、淀川左岸線道路の延伸といったこれまで必要とされてきたが進まなかったインフラ整備を進めることができ、他にも梅田から関西国際空港までの直結の鉄道工事の着工など様々な成果を上げています。 

裏を返せば、大阪都構想をしなくてもできることです。 大阪府と大阪市の連携は、誰が首長であっても行われるべきことであり、都構想を絶対に実現させなくてはならない理由にはならないことが言えるでしょう。

結果を左右するかもしれない今後の動き

そうした中で今後住民投票の結果を左右するかもしれない要素が2つあります。 

それは「住民説明会」と「新型コロナウイルス対策」です。 

住民説明会で理解が得られるか

住民説明会は2020年9月26日から全8回が大阪市内各地で開催されます。今回は現地での参加に加えオンラインでの参加も可能となっています。 

全8回の説明会に吉村知事そして松井市長も参加を予定しており、ここで住民に対して都構想のメリットを理解してもらえるかがカギになります。 

逆に、ここで住民の理解を得られないような説明や質疑応答をしてしまうと、反対派が増えてしまう可能性もあります。 

住民説明会で何が議論されるのか注目が集まります。 

新型コロナウイルス対策

そしてもう1つの要因は新型コロナウイルス対策です。先ほども解説しましたが、賛成派が拡大している要因の1つに吉村知事のコロナウイルス対策が評価されているという点があります。 

現在は大きな感染拡大は見られないものの、今後季節が秋に変化していく中で再度感染拡大が起きその対応を誤ってしまうと吉村知事の人気が低下し、大阪都構想への賛成も得にくくなってしまうと考えられます。 

衆議院の解散総選挙も本来なら大きなポイントになるはずだった

実は本来大きなポイントになるはずだったことがあります。衆議院の解散総選挙です。2020年9月16日に発足した菅内閣ですが、誕生と同時に衆議院の解散総選挙が噂されるようになりました。 

なぜ、国政選挙が大阪都構想の住民投票に影響を与えるのでしょうか。 

それは、投票日と選挙活動に関する規制が関係しています。 

衆議院選挙と同日投票になる可能性があった

衆議院の解散総選挙がもし10月25日投票、もしくは11月1日投票で行われる場合、松井市長は大阪都構想の住民投票も同時に行う考えを表明していました。 

理由としては、1度に2つの投票を行うことでかかる経費を削減すること、そして投票率のアップが見込めるためです。 

また同日投票にすることで反対派の動きに制限をかけることができるのです。 

大阪都構想に反対しているのは自民党や立憲民主党、共産党などで、国会では対立しあう関係です。

いくら大阪都構想で連携を深めても、国政選挙とセットになればなかなか手を取り合う事は難しくなります。

同日投票の場合は反対派がさらに不利に

住民投票が行われる際に賛成派、反対派共に自分たちの主張を訴えるため様々な選挙活動を行います。 

一般の選挙であれば公職選挙法という法律のもと選挙活動には一定のルールが設けられますが、住民投票に関しては概ねこの法律の基準が適用されているが、一部の例外も認められていいます。 

例えば、2015年の住民投票時には大阪維新の会がテレビCMを使って賛成を訴える広告を出しましたが、一般選挙では特定の個人の指示を訴えるテレビCMは禁止されています。 

このように国政選挙と住民投票では選挙活動に少し違いが見られます。もし、住民投票が衆議院選挙と同時に開催となれば、その期間の活動はより厳しい衆議院選挙のルールに基づいて行われることとったはずです。 

もし、そうなれば衆議院選挙に立候補していない人の選挙活動が認められず、住民で組織された反対を訴える団体等が活動できない可能性もあります。 

一見なんの関係もなく見える衆議院の解散総選挙も都構想の住民投票には大きな影響を及ぼすことが考えられました。

しかし、菅内閣は発足直後の解散を回避し、解散総選挙と住民投票の同日選は消えたのです。 

1回は反対派多数で否決された都構想

ここまで大阪都構想2回目の住民投票について予想と今後の動きについて解説してきました。 

ここからはそもそもなぜ一度否決された大阪都構想が再び住民投票をする所まで来たのかを解説していきます。 

2015年に1回目の住民投票

そもそも大阪都構想は橋下徹氏が大阪知事時代に提唱を始めた制度で、橋下知事は大阪都構想を争点とするため、大阪市長選挙が行われるタイミングで知事を辞任して、大阪市長選挙に挑戦しました。 

結果的に橋下氏は大阪市長になり、大阪都構想は実現のため前に進んでいきます。 

そして、2015517都構想の是非を問い1回目の住民投票が行われることとなりました。 

僅差だが反対派が勝り橋下市長は政界引退へ

2015年5月17日に行われた住民投票の結果、反対705,585票が賛成694,844票を上回り、わずか0.8ポイントの僅差(Wikipediaより引用)で1回目の住民投票は反対派が上回り、大阪都構想は否決されました。 

そして、当時の橋下市長はその年任期満了に伴い市長を退任し、政界を引退することとなります。 

2回目の住民投票に向けた動き

1回目の住民投票の結果を受け、大阪都構想は廃案となります。その後も、大阪の行政制度を巡ってはいくつかの案が提案されてきましたが、中々議論が進まなかったというのが現実です。 

しかし、201811月に大阪万博の開催が決定したことを受けて、大阪都構想の議論に再び火が付きます。 

吉村知事、松井市長のダブル選挙に勝利

2018年11月大阪万博の招致に成功した当時の吉村大阪市長は再び大阪都構想を議題に挙げるため、翌年4月の統一地方選挙に合わせる形で辞職し、大阪知事選挙に出馬します。当時の大阪知事は松井知事で松井氏は逆に大阪市長選挙に出馬する所謂大阪府知事・市長ダブル選挙が行われました。 

そこでは、大阪都構想を進めたい大阪維新の会と大阪都構想に反対するそれ以外の党という構図の選挙戦となり、結果として維新の会が圧勝を収め吉村大阪知事・松井大阪市長が誕生したのです。 

ダブル選挙で勝ったことの意味

ダブル選挙で圧倒的な勝利を収めた維新の会は大阪都構想成立に向けて再び動き始めます。 

当時、大阪都構想の制度設計について話合われていた法定協議会には維新の会の委員が8名、公明党の委員が4名、自民党の委員が4名、共産党の委員が1名の合計19名が所属していました。 

大阪都構想を実現するためにはまず、この協議会で制度の方向性を採決し、賛成多数になることが絶対の条件でしたが、これまでは8名の賛成のみで過半数を取れずにいました。 

しかし、ダブル選挙の圧勝を受けて国政選挙で小選挙区に維新の会の対立候補が出馬してくることを回避するために公明党が賛成に転じたのです。 

要するに、次の選挙で自分の党の候補者が人気の高い党の候補者と争わないよう人気の高い党を支持する動きをしたということになります。 

公明党が都構想支持したことで都構想は加速

公明党が賛成に回ったことで都構想は現実に向けてスピードアップしていきます。 

協議会で賛成多数となり方針が決まってからはより具体的な議論が進み、2020年6月19日に大阪都構想の制度案である「法定協議書」が大阪維新の会などの賛成多数で可決された(Wikipediaより引用)。 

その後、大阪府議・大阪市議会の両議会を通過して11月1日2回目の住民投票が行われることとなりました。 

反対政党の動き

ここまで、大阪都構想が1回目の住民投票で否決されてから、どのような経緯で2回目の住民投票にこぎ着けたかを解説してきました。 

制度自体の議論もありますが、選挙での利益というものも深く絡んでいるというのがお分かり頂けたかと思います。 

これまでは、大阪都構想を推進する大阪維新の会と賛成に転じた公明党を中心に解説してきましたが、他の政党がどんな行動をとっているかも最後に解説します。 

自民党は一時迷走、共産党は反対

自民党は橋下市長時代から大阪都構想には反対の態度をとってきました。松井市長になって以降も一貫して反対の姿勢を崩さず、2019年の方針決定の際にも委員4名が全員反対票を投じました。 

しかし、2020年になると意見が別れ一部議員は6月19日の法廷議定書の決議には賛成するなど、大阪府連の中で賛成と反対の意見がぶつかり合うなど混乱が生じました。

賛成に回った一部の議員の思惑は不明ですが、やはりダブル選挙圧勝の影響を受けていると考えられます。 

大阪府連は最終的に都構想反対を打ち出し、都構想賛成の意見を発信してきた大阪府連幹事長に厳重注意を出します。党本部も大阪府連の動きを冷静に見守っており、一時的に迷走はありましたが、現状は反対の姿勢をとっています。

共産党は協議会、市議会、府議会すべてで反対の姿勢を崩していません。 

まとめ

大阪都構想2回目の住民投票に関して現状の予想や今後のポイント、そして2回目の住民投票に至った経緯を解説してきました。 

選挙は投票箱の蓋が閉まるまで分からないとう格言もある通り、どのような結果になるかはわかりません。

今後、住民投票に関するニュースなどを見る際に解説したポイントを含めて見て頂くとより理解が深まるかもしれません。