大阪都構想の反対派の理由。維新以外の政党は反対している?高齢者や賛成派の意見もまとめて解説。

2020.10.12
  • 大阪都構想の選挙とは、大阪府や大阪都になるわけではなく、大阪市を4区に編成する是非を問う住民選挙
  • 前回から公明党が賛成に転じたことで投票結果に変化が出るか注目される
  • 高齢者層の動向が前回同様、大阪都構想の可否に大きな影響を与えるだろう
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大阪都構想の住民投票が2020年11月1日に投票と迫ってきました。

都構想の住民投票は、2015年5月に続いて2度目、大阪維新の会としては悲願ともいえる大阪都構想、前回は僅差で否決となりましたが、今回はどうなるのでしょうか。

前回は、維新以外の政党が反対でしたが、今回も同様なのでしょうか。また、反対票が多かったとされる高齢者の声や、賛成派の意見などをまとめていきます。

そもそも大阪都構想とは?

そもそもの話、大阪都構想とはどんなものなのでしょうか。直接、投票に関係がない他県の人などは大阪府が大阪都になると思っている人もいますが、そうではありません。

非常に簡単に言ってしまえば、大阪市を東京都23区のようにするものです。

大阪市を「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」の4区に分割

現在、大阪市には大阪市中央区、西成区など23区に分かれていますが、これは横浜市やさいたま市の同様で政令指定都市になっているだけ。

これを大阪都構想が可決されることで、大阪23区が4区に再編、それぞれの区に、今まで以上に権限や予算が振り分けられ、各区で独自の政策やサービスができるようにするというものです。

大阪市を廃止して特別区にする

現在は、大阪府のなかに、大阪市をはじめ各市町村がありますが、大阪都構想の住民投票が可決することで、大阪市を廃止して、住所は大阪府〇〇区となるわけです。

つまり、大阪府そのものがなくなるわけではなく、現状の考えでは、大阪市を廃止し特別区に、東京でいえば、大阪市を東京23区のように分割するものです。

当初の構想では堺市や神戸市も含まれていた?

当初の構想では、大阪市以外に隣の堺市や、隣県にある神戸市までも含んだ特別行政区にする意見もありましたが、堺市の反対などで、今回の大阪都構想では大阪市のみを特別区に分割する案で投票が行われます。

東京にも武蔵野市、西東京市など市町村が存在するように、大阪都構想が可決されても、大阪市以外の吹田市や寝屋川市などの市が無くなるわけではありません。ただ、法律的には、大阪市が廃止・分割され特別区が設置された場合、隣接市も議会の議決のみで住民投票は実施なくても入ることができるようになります。

維新にとって悲願となる大阪都構想

大阪都構想は、維新の会の一丁目一番地、維新の会の創立者である橋下徹氏が、政治家生命賭けて挑んだ2015年の大阪都構想の住民選挙。

下馬評も各メディアで結果が割れるなど最後まで情勢が読めないなか、橋下人気及ばず否決となり、橋下氏は大阪市長を退き政治家人生に終止符を打ちました。

その後、松井-吉村体制となった今も、禁じ手ともいえる大阪都構想再度挑戦を常に掲げており、いわば橋下氏の弔い合戦というわけです。

吉村人気でどこまで票を伸ばせるか

前回の大阪都構想住民投票では、橋下氏人気の追い風はあったものの、いわゆる「橋下エネルギー」で、大阪都構想がどうこうではなく、とにかく橋下氏が嫌いという理由で「否」に投じた人も少なからずいるとされています。

実際、結果を大きく左右した高齢者層のなかで、否定に投票した26%が「とにかく橋下氏が嫌い」だったという結果もあるほどです。

今回は、松井氏は大阪府知事から大阪市長に変わったものの代わり映えはありませんが、大阪府知事に吉村洋文氏が就任。

現在の新型コロナの対応でも、吉村氏の対応に80%以上が支持しているという結果になっており、スマートなビジュアルも手伝って支持率は75.5%と高いです。

この吉村人気が、前回の投票で「橋下嫌い」で「否」に入れた層がどこまで「賛」に転じるのか注目が集まります。・

公明党が賛成に転じる

前回(2015年)の大阪都構想住民投票では、起案した維新の党(大阪維新の会)のみが賛成で、他の党(自由民主党大阪府連、自由民主党大阪市議団、公明党大阪府本部、民主党大阪府連、日本共産党大阪府委員会、社会民主党大阪府連合)すべてが反対という、橋下大阪市長(当時)としては、維新以外オール野党状態でした。

しかし、今回(2020年)の大阪都構想住民投票では、維新と公明党が賛成、つまり与党となり、自民党や共産党など他の政党は反対を表明しています。

公明党が賛成に転じた理由

前回は反対を表明していた公明党。今回は、賛成に転じたことで、前述どおり、維新にとっては追い風になっています。

では、なぜ、公明党は大阪都構想の賛成に転じたのでしょうか。

一言でいえば「民意に寄った」ということでしょう。前回の大阪都構想では、自民党は猛烈に反対を表明していましたが、公明党はもしかしたら賛成に取り込めるかもともされており、結局は反対となりました。

大阪都構想否決後も、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙で維新が圧勝(吉村大阪府知事と松井大阪市長の誕生)など大阪府内では維新は連戦連勝。

このような維新の勢いで、公明党も民意は大阪都構想賛成ではないかという流れから賛成に転じたとされています。

大阪議内内では、(おそらく自民党議員から)「裏切り者」「恥を知れ」とヤジが飛び、公明党員のなかでは、反対が多いという声も多くなっています。

果たして、前回と違い、公明党が賛成に転じた影響は、大阪都構想の結果にどう表れるのでしょうか、注目されます。

自民党が反対にこだわり続けるのはなぜ?

共産党は、橋下時代から、維新とは水と油状態、ことごとく対立を繰り返しているため、維新の一丁目一番地である大阪都構想を賛成するとは毛頭考えられませんが、自民党はなぜここまで猛烈に反対を表明し続けているのでしょうか。

自民党大阪市議団は終始反対にこだわる

情勢を大阪市ではなく国で見てみると、先日発足した菅内閣でも万博担当大臣が新設されるなど、自民党と維新は(憲法改正賛成の件も含めて)蜜月なところがあるといえます。

しかし、大阪市に焦点すると、大阪都構想に真っ向から反対をしている自民党。菅総理と松井大阪府知事や吉村大阪市長、橋下元大阪市長は会食を繰り返す仲というし、国からの意見なら自民党も大阪都構想に賛成してもおかしくないようですが、なぜ猛烈にまで反対するのでしょうか。

自民党は大阪市議会が大事な存在と訴える

自民党大阪市議団としては、政令指定都市のほうが、権限や財源があるため、大阪市が解体され政令指定都市から特別区に格下げされると、いままで市議会に割り振られていた予算や権限がなくなり、住民に沿ったサービスができなくなるという考えなのです。

実際、元大阪市長の橋下徹は都構想の目的として「大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」(読売新聞2011年6月30日付朝刊)と述べています。

自民党が公開討論会を実施

実は、自民党県議団は、2019年12月、制度案の大枠を問う中間採決で反対しましたが、2020年6月の正式採決を前に賛成に転じたのです。

自民党の中でも賛否が割れるなか、自民党は公開討論会を実施しています。

府議団の一部の意見としては、「都構想によって、府市一体で街作りが可能になる。それによって、大阪市偏重ではない大阪全体としての発展が出来る」というものです。

対する市議団は、「リスクが相当高いことから、大阪市民府民双方にとって利益にならない」と述べています。

賛成派と反対派がそれぞれ5人ずつ意見を述べましたが、最後まで議論は平行線をたどり、自民党のなかで一枚岩とはならないようです。しかしながら、その後の自民党大阪府連総務会では全会一致で反対を決議し、自民党大阪府連としては反対で意思表示をすることを決定しました。

大阪市議会の勢力図は?

今回は大阪市民ひとりひとりが投票する住民選挙のため、投票結果に直結はしませんが、大阪市議会の現状の議員数を見てみましょう。

・大阪維新の会大阪市会議員団(維新)(40)

・公明党大阪市会議員団(公明)(18)

=以上、与党(58議席)

・自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団(19)

・日本共産党・市民とつながる・くらしが第一大阪市会議員団(6)

=以上、野党(25)

となっており、公明は賛成に転じたことで、大阪市議会では与党が圧倒的有利な数となっており、2015年の前回の大阪都構想住民選挙時よりスムーズに住民選挙まで持ち込めているといえます。

2015年時の大阪市議会勢力図は?

大阪都構想が否決となった2015年時は大阪市議会の勢力図はどうなっていたのでしょうか。

・大阪維新の会大阪市会議員団(維新)(36)

=以上、与党(36議席)

・自民党(19)

・公明党(19)

・共産党(9)

・その他(3)

=以上、野党(50議席)

このようになっており、各党の議席数だけで見れば、維新が36議席と独り勝ち状態でしたが、他党がすべて反対だったため、反対勢力の方が議席数は多かったのです。

イコールそのまま民意が反映したとまではいえませんが、議席の数で見れば、大阪都酵素の秘訣は妥当だったという意見もあります。

大阪都構想鍵を握る高齢者票

2015年時の大阪都構想では、若者層では賛成票が多く、高齢者層では反対が多かったとされており、「シルバーデモクラシー」なんていわれているほどです。

確かに、比較的若者層の多い北部(北区、中央区など)では賛成票が上回り、比較的高齢者層が多い南部(住吉区、西成区など)では否決票が上回ると、はっきり結果が分かれています。

なぜ高齢者層は反対が多いのか?

維新も2015年の大阪都構想で否決となった要因に「全てはこちらの説明不足」を話しています。

確かに維新は、よく言うなら今風のWebやSNSを駆使して都構想のメリット、投票への促しを展開、パソコンやスマホを見ない高齢者層へのアプローチが足りなかったとしています。

実際、高齢者の方が否決になった理由には「住所が変わるのが面倒くさい」「今の生活が変わるのが怖い」などの意見も多く、大阪都構想のメリット、そしてデメリットも理解されていない方が多かったように見受けられます。

2015年では、70歳以上以外の世代はすべて賛成票が過半数だったことからも、やはり今回の大阪都構想でいかに高齢者層を取り込めるのかがカギとなることは間違いありません。

賛成派、反対派のそれぞれの意見は?

2回目の大阪都構想が迫ってきている今でも、SNS上を中心に大阪都構想への賛否の声は多く挙げられています。

大阪都構想賛成派、反対派それぞれの意見はどのようなものでしょうか。

大阪都構想賛成派の意見

大阪都構想の賛成派の意見は、一言で言ってしまうと「借金地獄である大阪の「無駄」を効率化する対策」といえます。

現状は大阪府と大阪市、この2つの権力がぶつかり合い府と市の意見がまとまらず、ビッグプロジェクトが進まないとされています。

今は、大阪府、大阪市ともに維新の会が占めているためだいぶ是正されましたが、一例で言えば、「中央図書館」は府営のものが191億円、市営のものが162億円かかっており、利用者がいるのだから無駄ではないという意見もあるものの、二重行政で統合できれば予算が軽減できます。

事実、大阪市の予算はひっ迫しており、かつて橋下市長が就任時「破綻する」と衝撃的な言葉を発していましたが、これが現実にならないとはいえない状況なのです。

大阪都構想反対派の意見

対する、大阪都構想反対派の意見はどのようなものがあるのでしょうか。

まずよく言われているのが「住民サービスの低下の懸念」です。大阪市を解体して、権限・財源を大阪府に吸収されてしまえば、旧大阪市の予算が足りなくなり、敬老バス廃止、水道料金の値上げ、保育料の値上げ、国民健康保険・介護健康保険の値上げ、学校給食費の値上げなどが考えられると主張しています。

実際、元大阪市長の橋下徹氏は都構想の目的として「大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」(読売新聞2011年6月30日付朝刊)と述べており、大阪市民は財源も自治も失い、行政サービスは低下することを反対派は懸念しています。

上記のような政策を大阪府に移管される予算は約2,000億円、残り7,000億円は4区に分かれる特別区に、それぞれ選挙で選ぶ各区長を中心に使われるため、住民サービスが低下するとは考えられないとされていますが実際はどうなのでしょう。

この約2,000億円が大阪市の予算だったものが大阪府に移管されることで、平たく言えば、大阪市民の税金が大阪の他市に流れてしまうと懸念する声もあります。また、4区に分割することによって大幅に間接経費が増大し、同様の住民サービスが維持されるとは考え難いとの懸念する声もあります。

コロナ禍の影響はあるのか?

あと2か月余りとなった大阪都構想、現状での世論調査はどうなっているのでしょう。

読売新聞:賛成48%、反対34

朝日新聞・ABC:賛成47%、反対33

毎日新聞:賛成49.2%、反対39.6

産経新聞:賛成49.2%、反対39.6

というように、どのメディアの世論調査でも賛成派が優勢となっています。

コロナ禍の影響は?

現在のコロナ禍で生活様式が一変したとされる今、11月の大阪都構想住民選挙にも影響を及ぼすのでしょうか。

今は、以前感染者数は下げ止まりしているものの、go toキャンペーンなど経済の立て直しに重きがあるように見えますが、寒くなると感染が拡大すると予想されていることもあり、11月にどこまでコロナを抑えているかが大きく左右しそうです。

高齢者のほうが重症化すると周知されていることもあり、今以上にコロナが拡大すると高齢者層の投票率に影響が出るでしょう。

1回目の大阪都構想で高齢者層のみ反対票が過半数だったことを考えると、高齢者層の投票率が下がれば賛成票有利ということになりますが果たしてどう転ぶか注目されます。

まとめ

今回は「大阪都構想の賛成派、反対派の声や各政党の動向」についてまとめてみました。

大阪都構想は、通常の選挙同様、近未来の自分たちの生活を決める大事な投票。

単に人気投票になってしまう、住所が変わるのが面倒臭いなどの意見で決めるのではなく、明日の自分たち、そして子ども、孫世代も笑顔で暮らしていけるかという視点で一票を投じて欲しいと思います。