大阪都構想の実現で水道事業はどうなる?民営化される?料金が変わる?特別区制度についても解説

2020.09.27
  • 今回の大阪都構想案では、大阪市の水道事業は大阪府に引き継がれる
  • 大阪都構想案の実施において、水道料金の変更予定はないし、民営化の予定もない
  • 大阪と構想案では、大阪市は廃止され、4つの特別行政区が設置される
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大阪都構想案は大阪府議会に続いて9月3日に大阪市議会でも可決成立して11月1日の住民投票実施が決まりました。

この大阪都構想案では、大阪市民の生活に大きな影響を与える水道事業がどうなるのか心配されている方も多いのではないでしょうか。

この大阪都構想案における水道事業が民営化も含めてどうなるのかという点や、新たに設置される特別行政区についても解説します。

大阪都構想案の住民投票日程が決まったが、水道事業はどうなる

6月23日に法定協議会で決まった大阪都構想案は、総務省の無条件の認可がおり、8月28日に大阪府議会が可決しました。

それに続いて9月3日に大阪市議会でも可決され、成立したことから住民投票は11月1日の投開票が決まりました。

今回の大阪都構想案では大阪市の廃止と4つの特別行政区の設置が決まっています。

大阪都構想案では水道事業についてはとくに触れられず

今回の大阪都構想案では、水道事業などの大阪市の事業がどうなるのかは記載されていません。唯一決まっているのは、大阪市の廃止と4つの特別行政区の設置だけです。

そのため、水道事業は民営化されるのではないか、水道料金が値上げされるのではないかなど、心配されている大阪市民の方も多いのではないかと思います。

大阪都構想実現の場合の水道事業はどうなる?

今回の大阪都構想案では、大阪市の廃止と4つの特別行政府の設置が中心になっており、賛成多数で実現されることになった場合の大阪市の水道事業などについては何ら触れられていません。

そのために、実際に実現したときが心配だという方も多いのです。今後、大阪市の説明会などが7回ほど予定されており、そのなかで説明がおこなわれる予定です。

そこで、新しい大阪都構想案で廃止の決まっている大阪市のホームページから水道事業が大阪市の廃止以降についてどのように考えられているのかを見てみます。

大阪市の水道事業は大阪府に引き継がれる

大阪市のホームページを見ますと、新しい大阪都構想における水道事業については、次のように記載されており、負担増も民営化もないとしています。

「特別区制度における水道事業については、大阪府で担うこととしておりますが、事業が移管されることによる水道料金の値上げはなく、また、特別区ごとに水道料金のばらつきも生じることはありません。」

「水道事業の民営化についてですが、本市では、事業全般の運営を民間事業者に委ねる予定はございません。」

大阪市ホームページより引用:https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000511764.html

この大阪市のホームページによると、現状では大阪市民の方が大阪都構想案において心配していることはおこらないといえるでしょう。

大阪市民の水道料金の負担増はない見込み

このように現在のところは、大阪市の水道事業は大阪府が引き継ぎ、水道料金も現状から変わることはないことが記載されています。現在のところは、大阪市の水道事業は不採算事業となっておらず、値上げの必要はないようです。

したがって、大阪市民の水道料金における負担は現在と変わらず、値上げはないといえます。

大阪都構想によって将来的な水道事業の民営化の可能性は?

大阪市の現在の水道料金がそのままで、負担増のない要因としては、水道事業の採算はとれていることがあるからです。

そのため、水道事業は不採算事業として民営化する必要性がないという結論になっているのです。

ただし、大阪市だけでなく、日本全体で水道事業においては水道管の老朽化による水道管の取り替え工事が2030年頃まで大きな課題となっており、それによるコスト増加の可能性が言われています。

したがって、現状としては水道料金の引き上げの必要はありませんが、大阪府全体で今後コスト増加の可能性があり、その際には値上げがおこなわれる可能性もあると考えられます。

この点については、大阪市のホームページでも触れられており、大阪都構想が実現してもしなくても、将来的には水道管の取り替え事業は必要になり、その際には値上げされる可能性はあるといえるでしょう。

大阪市によると現時点では水道事業の民営化はない

今後発生してくる水道管の取り替え事業は、事業の採算に影響を与え、一時的に値上げがおこなわれる可能性はありますが、それは一時的なものであり、民営化される場合でも必要になるコストです。

したがって、水道事業が一時的にコストが増加するにしても、それによって民営化される可能性は極めて低いといえます。

民営化は失敗例が多い

民営化については、国のゆうちょ事業、電話事業、JR(急国鉄)などを見ても失敗例が多くなっています。

民営化によって利益重視を第一に置いたため、利用者負担が増加したり、サービスレベルの低下や、安全性の軽視による大規模事故などがあったりと欠陥が明らかになり、失敗例が多くなっています。

そのため、必ずしも民営化がよいかどうかはいえない状況になりつつあるといえましょう。

一応、大阪市事業の地下鉄、バス事業などが民間に売却され、利益状況は改善されているものの、将来的に利益重視からサービスレベルの低下、料金値上げ、安全性の低下などにつながる可能性も考えられるのです。

大阪都構想によって事業の方針が変わることはなく、民営化の必要な事業も少ない

現在の大阪府や大阪市は、ここ数年の経費削減、不採算事業の売却による民営化などで、財政赤字の要因は少なくなっています。そのため、大阪都構想案が実現されても、すぐに事業方針が変わったり、民営化が必要な事業が生まれることはないと考えられているのです。

その要因としては、ここ数年は大阪市も大阪府も大阪維新の会から首長が選ばれており、協力して同じ基準で行政がおこなわれていることが挙げられています。

赤字事業はすでに民営化されている

すでに述べたように、ここ数年で、地下鉄、バス事業だけでなく、いろいろな不採算事業が売却され、民営化されて大阪府、大阪市の財政負担は少なくなっています。そのために、大阪都構想が必要なのかという疑問もあるでしょう。

しかし、今後も大阪維新の会から継続して大阪府、大阪市の首長が選ばれる状態が続くという保証はなく、再び赤字事業などがおこなわれる可能性はないとはいえません。それが大阪都構想をおこなう動きにつながっているのです。

大阪都構想案におけるポイント 特別行政区への分割

前回の大阪都構想案でも特別行政区の設置は計画に入っていましたが、当時は5つの特別行政区の設置になっていました。

今回の大阪都構想案では、これが4つの特別行政区に修正されています。前回の場合は7区案と5区案があり、最終的に5区案に落ち着きましたが、今回はさらに1区減る形となっています。そのため、大阪市民にとっての行政窓口はさらに少なくなっているのです。

今回の住民投票では、この特別行政区の設置による行政サービスの低下と大阪の二重行政によるコスト削減のどちらをとるかがポイントになっているのです。

この特別行政区に関してさらに見ていくことにします。

大阪市以外の特別行政区設置は選択できる

今回の大阪都構想では、大阪周辺の市の大阪都への組み込みは選択できる形になっています。

そのため、前回のように政令指定都市になっている堺市が大阪都に組み込まれることを反対して争点になることはなくなっているのです。

この点での争点でなくなったことから、公明党などが賛成に回ることになり、さらに自民党の府議団でも賛成が多くなったといえるでしょう。

4つの特別行政区の区割り案

今回の大阪都構想案で問われることになる大阪市の廃止と特別行政区の設置であり、案では4つとなっています。その区割り案は次のようになっています。

・淀川区   東淀川区、淀川区、西淀川区、此花区、港区

・北区    旭区、豊島区、北区、福島区、鶴見区、城東区、東成区

・中央区   中央区、西区、浪速区、西成区、住之江区、住吉区

・天王寺区  天王寺区、生野区、阿倍野区、東住吉区、平野区

となっており、区のなかで出張所などの設置については決まっていません。

特別行政区の設置が少なくなれば、それだけ住民サービスレベルが低下する可能性もあります。しかし、設置が少ないほど予算的には削減が大きくなり、このサービスレベルの低下と予算の削減がどちらに大阪市民が軍配を上げるかになるのです。

大阪都構想によって窓口業務の行政サービス以外の負担増はない見込み

今回の大阪都構想案では、水道事業だけでなく、ほかの不採算事業の民営化などは争点になっていません。

そのため、今回の大阪都構想案の住民投票でもその是非が問われることはなく、論議は4つの特別行政区の区割り案に絞られています。

財政悪化の原因になった不採算事業はすでに民間に売却済み

すでに述べたように、大阪市並びに大阪府の財政悪化の原因となっていた不採算事業はほとんど売却などがおこなわれており、住民投票でも論議される余地はなくなっています。

そのため、今回の大阪都構想案では大阪市と大阪府の二重行政費用の是非が唯一の争点となっているといっても過言ではありません。

今後の市民の負担増はない見込み

このように、不採算事業がなくなり、財政悪化要因がなくなっていることから、水道事業を含めて今後の大阪市民の負担は増加しないことになっています。

ただ、大阪市が存続した場合、負担増がないかは言い切れないところでしょう。

大阪都構想が必要な理由

今回の大阪都構想案では、すでに財政負担がなくなっているにも関わらず、なぜ政令指定都市として大阪府とは別に国から大きな補助金の出る大阪市を廃止して、大阪府に統合する必要があるかが問われています。

松井市長は、二重行政は解消していると発言するなど、話し合いを重ねて事前調整を行うことで二重行政の解消を図っています。

今のシステムでそれができている以上、わざわざ都構想を実現させなくてもいいのではないかという声が出ているのが実情です。

大阪市と大阪府の財政赤字は市と府の共同歩調がとれなかったことが原因になっていたが

大阪市と大阪府の財政赤字が大きくなった要因としては、大阪市と大阪府が別々に政策や事業をおこない、コストの二重化や事情そのものの採算性が事前によく検討されなかったことにありました。

しかし、ここ数年は大阪府知事と大阪市長は大阪維新の会から選ばれており、共同して不採算事業の売却、廃止などをおこなってきたために、財政赤字は大幅に縮小しています。

そのために、すでに大阪府と大阪市の財政面からの改善は現状では必要ではなくなっており、大阪都構想がなぜ必要なのかと反対派が訴えている状況です。

大阪市と大阪府が同一歩調がとれる保証はない

もちろん、大阪府と大阪市の首長が今後も担当していくかというとそうではありません。大阪府と大阪市のそれぞれの首長は選挙で選ばれており、大阪維新の会がいつも勝つとはいえないのです。

また、過去には自民党推薦の知事、市長時代が長かったにも関わらず、実際には行政、事業は別々におこなわれた結果、大きな不採算事業が生まれ、巨額の財政赤字を生む結果になっています。

そのため、大阪市を廃止して、大阪府から現在の周辺市のように大阪府から予算をおろす形にすれば、別々に事業をおこなうことはできなくなるというのが今回の大阪都構想案の提案趣旨なのです。

ただし、行政に対する監視の目は以前とは比べものにならないほど厳しく、財政赤字を生み出すような放漫経営は行いにくいでしょう。

大阪都構想による水道事業のまとめ

新しい大阪都構想案が、大阪府議会、大阪市議会で成立可決して、11月1日に住民投票がおこなわれることが決まりました。

今回の大阪都構想案では、水道事業などの住民負担は変わらず、民営化の必要もないとなっています。

そのため、今回の大阪都構想案では大阪市の廃止と4つの特別行政区の設置による行政サービスの低下と二重行政によるコスト削減が大きな争点となっています。