大阪都構想の意味とは?なぜ必要?いつ行われる?5分で読める基礎知識。誰にでもわかりやすく説明。

2020.09.25
  • 大阪都構想、具体的にどのような制度なのか?
  • 特別区制度の二重行政の問題点
  • 大阪都構想住民投票の概要
この記事は18分で読めます

2020年11月1日に大阪都構想の住民投票が行われます。 

それに伴い各メディア、特に関西圏では、大阪都構想に関してのさまざまな情報が飛び交っており、直接投票を行う住民の方はこれらの情報をしっかりと整理しなければなりません。 

ここでは、大阪都構想の意味や必要性、実現した後いつ行われるかを解説していくので、大阪都構想について気になる方や、投票を行う住民の方は参考にしてみてください。 

大阪都構想とは? 

大阪都構想とは、2010年に当時の大阪府知事である橋下徹氏が代表をする地域政党「大阪維新の会」が発表した行政構想のことをいいます。 

大阪府・大阪市による二重行政の解消を大きな目的とした行政改革でもあります。 

東京都23区をモデルとして、それによって二重行政をはじめとする大阪のさまざまな問題点を解消しようとするものです。 

特別区制度 

大阪都構想は、政令指定都市である大阪市を廃止して新たに4つの特別区で再編するというものです。 

現在の大阪は、大阪府・大阪市がそれぞれ独自に行政を行う形になっていますが、大阪市を廃止し特別区を置くことで、大阪を広域で管理することになります。 

行政が1本化することで、都市インフラや行政サービスなどの無駄がなくなる効果が期待され、大阪の大きな問題である二重行政の解消につながると大阪維新の会など都構想推進派は主張します。

ただ、現在は大阪府と大阪市の連携によって既に二重行政は解消され、松井市長も市議会でその事実を認めています。

大阪都構想の必要性 

大阪都構想の推進派からは「大阪が良くなる」「二重行政が解消できる」などの言葉がよく聞かれます。 

ですが、「どのように大阪が良くなるのか?」「二重行政の何が問題なのか?」など、具体的かつフラットに捉えることが大事です。 

二重行政の問題点 

現在の大阪市は政令指定都市であるため、行政への権限が大阪府と同等に与えられています。 

権限が強いということは、その地域においての行政運営も自由に行えるということです。 

そのため、例えば「大阪府のBエリアに大きいビルがあるからそこから近い大阪市のCエリアに同じようなビルはいらないよね」となっても、大阪市が「Cエリアにビルが欲しいから建てる」と決めれば、建てることができてしまいます。 

政令指定都市は大阪を含め全国に20市存在し、二重行政自体が決して悪いというわけではありません。 

現に政令指定都市に大きな権限を持たすことによって、インフラ整備がスムーズに整ったり、行政サービスが充実したりなどの効果、また地方格差を軽減できる効果もあります。 

ですが、二重行政が上手くいくパターンは、あくまでも「道府県と政令市が連携してこそ」だと言えます。 

特に大阪の場合、府と市で「ふしあわせ」と長年揶揄されてきたように、二重行政による弊害が大きく表れており、上記のようなケースが多く発生し、多くの損害や負の遺産を生み出してきました。 

大阪府がビルを建てればそれに対抗し大阪市もビルを建てる、大阪市にある鉄道と大阪府にある鉄道が連結していないなど、過去に無駄が多く発生したのも事実です。

ただ、二重行政によるものというより、政策の失敗と指摘を受けており、二重行政によってもたらされたとは断定できません。大阪都構想の旗振り役であった橋下徹氏も、無駄なハコモノは政策の失敗であったと発言しています。

しかも、都構想の議論の中で、特別区でもハコモノが作れることを大阪府は認めています。大阪市を廃止したとして、無駄なハコモノは時の為政者によって作れてしまうのです。

広域なインフラ整備 

上記にもあるように、大阪には政令指定都市があるため、市と府が同じような権限を持っています。 

現在は大阪府知事、大阪市長がそれぞれ同じ政治団体ですから、連携がとれて無駄のない行政を取組んでいますが、過去にはインフラ環境においても悪循環を生んでいます。 

特別区を置く東京都の場合は、中央環状を中心に効果的なインフラ整備が実施済です。 

ですが大阪の場合、府は府域で、市は市域でそれぞれの権限を持ってインフラ整備を行うため、広域交通のインフラ戦略を実施することができません。 

例えば、道路を挟んで商業施設が2つあった場合、施設と施設の間に大きな橋や渡り廊下があれば、2つの施設を自由に行き来できますが、これらがないと施設を一度出て向かいの施設に移動しなければなりません。 

これは何も道路だけの話だけでなく、鉄道においても同じことで、例えば駅と駅は隣町で近い位置にあるのに、それが府と市にわかれているだけで連結していないなど、住民の暮らしに悪影響を及ぼすこともあります。 

また、人や車の行き来が不自由になると経済的効果も期待ができません。 

大阪都構想が実現すれば、大阪府主導でインフラ整備が行えます。大阪府と大阪市が対立する構図もなくなります。ただストッパーがいなくなることの弊害があるのも確かでしょう。

大阪都構想による成長戦略 

大阪都構想は今ある大阪の問題点を解消すると同時に、大阪の成長戦略にも必要な制度とされています。 

大阪維新の会の戦略 

大阪都構想の立案・推進する大阪維新の会は、以下の流れによって成長戦略を大阪都構想実現によって目指すとしています。 

  1. 二重行政の解消 
  1. 大阪の成長 
  1. 税収の確保 
  1. 行政サービスの拡充 

広域行政一元化により二重行政を廃止し、基礎自治行政を再編された特別区が担うことで徹底した役割分担を行います。 

無駄を無くし効果的な行政を行うことで大阪全体を成長させ税収を確保し、その先の行政サービスを拡充させるというものです。 

ポイントになるのは、広域行政は大阪府が担い、地域レベルの細かい行政は特別区が行い、また民間にできることは民間で行うという、徹底した役割分担が大きなポイントです。 

自民党府連による批判 

自民党大阪府連、いわゆる大阪都構想に反対する側は、 

「既存の自治体を複数の特別区に分割することは、基礎自治体の財政力・行政能力向上を目的とした平成の大合併に逆行する。府下の基礎自治体数が43から50程度に増加することで、府内全体で行政効率が悪くなり、施策の整合性も取りにくくなる」 

としています。 

また、対案として、今ある大阪市をそのまま残し、権限を中核市に格下げし大阪市を存続させる「大阪市1区案」が、2018年には自民党府連から提出されました。 

成立後いつ行われる? 

2020年11月1日に行わる住民投票によって、大阪都構想が可決されれば、2025年1月1日から実施されます。 

大阪都構想が可決されれば、大阪はもちろん、全国の各都道府県にも大きな影響を与えることは間違いないので、住民投票を行う住民の方は、大阪都構想の本質をできるだけ理解し、自分の生活にとってどのような影響を与え、またメリットやデメリットは何かを見極めて投票することが大事です。 

大阪都構想のメリット・デメリット 

大阪都構想の是非を判断する上で、特別区制度の長所と短所を知っておくことは、大きな判断材料になります。 

長所と短所をそれぞれ理解し、自分の生活にどのように影響が出るのかをしっかりとイメージしておきましょう。 

特別区制度のメリット・デメリット 

メリット 地域行政がより身近になる 地域の成長がよりスピーディーに 
デメリット システム改修によるコスト 庁舎改修によるコスト 

特別区制度に関してのメリット・デメリットにはこれらのことが考えられます。 

特別区を設置することでそれぞれの区に区長が必要となり、区長は選挙によって選出されるのが基本的なスタイルです。 

今までより住民の声が反映されやすい仕組みになるので、地域の成長がよりスピーディーに取り組める体制ができ、住民にとって地域行政がより身近になる、それがメリットとされています。

その反面、制度実施にはシステム改修や庁舎改修が必要となり大きなコストが必要になります。 

この必要となるコストを大阪に対しての投資と捉えるか、また無駄と捉えるかは、住民の考え方で大きく変わります。 

財源のあり方についての懸念 

特別区制度を設置することで常にフィーチャーされているのが、財源に関しての意見です。 

都構想を批判する側からは、「特別区は区民から集めたお金をすべて使えるとは限らない」と主張されています。 

大阪府は大阪市以外にも市が多くあり、政令指定都市以外の市は大阪に限らず府や県が行政において権限を持っています。 

つまり「政令指定都市は権限を持ってその都市の行政を担い」「それ以外の市町村の権限は府や県が持っている」ということになります。 

ここで都構想が成立し実施された場合、政令指定都市である大阪市が廃止されるため、特別区で得た法人住民税や固定資産税などは特別区ではなく大阪都に税金が入ることになります。 

政令指定都市の場合は、大きな権限を持っているため法人住民税や固定資産税などは、政令指定都市の権限で使うことができますが、特別区の場合はそうはいきません。 

一度大阪都に集められた税金は、特別区を含むその他市町村にも分配されるので、「特別区は区民から集めたお金をすべて使えるとは限らない」という理屈になるということです。 

大阪都構想に対しての懸念は? 

大阪都構想は、今後の大阪の行く末に大きな影響を与えます。 

そのため、賛成・反対の意見も多く、その意見の質も幅広いです。 

住民投票を行うにあたり、賛成・反対どちらの意見であっても大阪都構想に対してどのような懸念があるのかを知っておくとは大事だといえるでしょう。 

住民サービスの低下 

住民に近い行政ができることをメリットのひとつにした大阪都構想ですが、特別区を設置することで、「逆に住民サービスが低下してしまうのでは?」といった懸念もあります。 

現在の大阪市は政令指定都市ですから、財源と行政に大きな権限を持っています。 

ですが、都構想が実現した場合、今ある大阪市を廃止し、4つの特別区で再編するため、各特別区は政令指定都市よりも一段階低い中核市レベルの権限と財源に縮小されます。 

自主財源が少なくなってしまうと、区独自の施策を行うことが難しくなるので、そのため「都構想が実現すると住民サービスが低下する」というのが、大阪都構想に対しての懸念のひとつです。 

大都市機能の弱体化 

大阪では長年二重行政が行われており、それを弊害としてさまざまな問題が生まれたことは事実です。 

ですが、政令指定都市を置くがゆえに大都市として機能してきたことも間違いなく、都構想が実現すると「大都市としての機能が弱体化するのでは?」という懸念もあります。 

大阪都構想が実現した場合、これまで大阪市が担ってきた「都市計画の権限」はすべて大阪府に移ることになります。 

大阪府は大阪市に比べると都市計画のノウハウ、技術力、経験などがないとされているため、「大都市機能が衰える可能性がある」といわれています。 

住民投票によって決定 

大阪都構想は、新たな制度の設置ですが、法律や条例のように国会内や市議会内で決められるのではなく、そこに住む住民の方の投票によって決まります。 

つまり、「自分の生活に大きく関わる制度を自分たちの投票で決まる」ため、普段行わる選挙とは色合いが大きく異なります。 

ここからは、住民投票の概要や投票日について詳しく見ていきましょう。 

住民投票の概要 

大阪都構想住民投票の対象は、日本国籍を持つ18歳以上の大阪市民220万人です。 

住民投票の告示は10月12日に行われ、その翌日から期日前投票もできるようになっています。 

因みに前回の大阪都構想住民投票は、2015年5月に実施され、反対70万票、賛成69万票の僅差で否決されました。 

10月12日告示、11月1日投開票、賛成多数であれば25年1月から新制度に移行する予定です。 

大阪都構想のチェックポイント 

ここからは、これまでの情報を踏まえて、住民投票における大阪都構想のチェックポイントをまとめていきます。 

ポイントとなるのは、本質となる争点は何か、都構想によって自分の生活はどのように変わるのか、否決された場合今後大阪はどのようになるのか、これら3点だといえます。 

先のことを考えて投票を 

争点の本質はやはり「二重行政解消の是非」といえます。 

「二重行政による損失と負の遺産」が問題視され、特に大阪維新の会などが主導権を握るようになってからは、「二重行政解消の是非」がことさらに問われるようになっています。 

二重行政であっても、例えば大阪府と大阪市が健全な関係であればここまで大きな損失を生むこともなかったかもしれません。 事実、二重行政は解消されたと松井市長が発言するなど、大阪市をわざわざ廃止する必要はあるのかと疑問に持つ方が出てきてもおかしくないです。

一方、二重行政が解消できているのは府知事と市長の人間関係によるものと維新の会は主張します。

現在の府と市はどちらもトップが同じ政治団体の首長であり、連携がはかられています。コロナ禍の対応でもそれは明らかです。 

つまり連携がとれる制度を整えれば都構想を実現できなくても二重行政は解消できるということです。 

これら先のことを見据えた上で、「現状の大阪で良いのか?」「仕組みそのものを変える必要があるのか?」を考えて投票することが大事です。 

大阪以外も行政改革は活発化 

大阪都構想は良くも悪くも大いに盛り上がっています。 

2015年当時もそうでしたが、それを受けてか大阪以外でも統治機構改革の動きがみられるようになっています。 

愛知県では、愛知県を廃止し新たに「中京都」を設置し名古屋市と一体化を進めることで、権限強化と行政効率化を図る「中京都構想」が提唱されたことがあります。  

地方分権の必要性がいわれる現在、大阪都構想が実現すれば、上記以外のエリアでも同じような動きが多くみられる可能性は大いにあるでしょう。 

まとめ 

大阪都構想の住民投票は今後の大阪の行く末を左右する重要な投票です。 

大阪都構想に関しての賛否は幅広く存在しますが、実際に施行してやってみないとわからない部分は多くあります。ただし、一度施行してしまうと元にもどすことは法律的に不可能です。 

ですが、今ある多くある情報を賛否に限らず柔軟に吸収し、自分にとってどのような影響を与えるかをしっかりと考えて投票することが何よりも大事です。 

一般の方はプロの専門家でもなければ政治評論家でもないので、完璧に分析し投票する必要もありませんが、「自分にとってどちらの選択肢が良いのか?」は優先的に考えるようにしましょう。