大阪都構想の本当の目的は?真の狙いは二重行政の解消ではない? 都構想の危険と罠、デメリットを解説。

2020.09.29
  • 大阪都構想の本当の目的は大阪の財政黒字化で二重行政解消が目的ではない
  • 二重行政の「ムダ」を解消するという言葉が危険な罠でデメリットをはらむ
  • 都構想のデメリットはサービスの低下と住民同士の争いを生む
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「大阪都構想」を大阪だけの問題だと思っているあなたは、この記事を最後まで目に焼きつけてください。

2020年11月1日「大阪都構想」を賛成するか反対するか、大阪市民への住民投票がついに行われます。 

まさしく大阪の未来が決まる日となるでしょう。あなたは、「大阪都構想」が私たちのこれからの生活に、どれだけ重大な影響を及ぼすかを語れますか。 

他人事では済まされない「大阪都構想」の本当の目的や真の狙い、都構想の危険と隠された罠を、政治が分からない方向けにやさしく解説します。 

この記事の最後に大阪都構想がなぜ今後の日本国民全体の問題なのかをお伝えします。 

大阪都構想のメインテーマ「二重行政の解消とは」  

 大阪都構想とは府と市の行政の二重構造を一本化すること 

そもそも、大阪都構想は「大阪府」を「大阪都」にすることではありません。 わかりやすくお伝えすると、大阪都構想とは「大阪府」と「大阪市」それぞれの担当する政策をまとめて一本化しようという試みです。 

 大阪市を解体し、特別区として設置 

具体的には、大阪市を4つの「特別区」に分けます。事実上、大阪市はなくなり、特別区は大阪府の一部として機能することになります。 

それまでの「府」と「市」の行政上の重なりあうムダをカット 

大阪府と大阪市が担う行政は、これまで手続き上のムダが多いと言われ続けてきました。

大阪都構想をすすめることで、大阪府と大阪市の行政のムダ(二重行政のムダ)をカットし、行政の決定が今よりも早く行われてスピード感ある構造になると、大阪都構想推進派を中心に声高に主張されています。 

イメージの良い制度に聞こえるが・・ 

ここまでの内容で、大阪都構想を反対する人はまずいないでしょう。 

大半の大阪市民の方々は、この程度の情報と「ムダ削減=クリーンな大阪」 みたいなイメージで「何となく」よく見えています。記事を見たあなたも、 実際そう感じませんでしたか。

しかし、大阪都構想の住民投票は過去に否決されています。「なぜ」否決されたのか、「なぜ」また復活したのか、次の部分で解説します。 

大阪都構想の歴史まとめ〜死してもよみがえる都構想〜  

「大阪が世界とわたりあう都市」を目指すことで、将来的に経済効果が4000億円見込めるとまで言われ、強烈なインパクトをもたらした大阪都構想が、2015年の1度目の住民投票で実は否決されました。 

どうしてこれほどインパクトのある制度が否決されるに至ったのでしょうか。 

住民投票で否決された理由~甘すぎた経済効果~ 

なぜ否決されたか、その理由は4000億円の経済効果があったとされるシミュレーションが間違っていました。驚くことに大阪都構想に関係ない事業まで、4000億円の経済効果に含めていたことが明るみになったのです。 

具体的には、地下鉄の民営化に伴う経済効果や各種公共施設の民営化による経済効果が含まれていました。 

大阪市ではすでに地下鉄や公共施設の民営化が進んでいたため、シミュレーションの信ぴょう性そのものが欠けており、いい加減なイメージだけの都構想に疑問を持った有権者が、直前で増えたこともあり否決に至りました。 

大阪都構想は最後の住民投票だったはずなのに、2度目の住民投票 

希望に満ち溢れた都構想のイメージが徐々に崩れてしまった結果、2015年住民投票では否決され、都構想の是非をめぐる住民投票は以後行わないと当時代表だった橋下徹氏が宣言し、大阪都構想は幻の計画になりました。 

しかし、2020年に2度目の住民投票を行うとして、再復活したのです。 

大阪都構想は大阪維新の会の政党理念 

ではなぜまた住民投票が行われるのか、理由は「大阪維新の会」が掲げる政策目標が「大阪都構想の実現」だからです。都構想が否決されたままでは大阪維新の会は、政党をたちあげた大義名分を失うことになります。 

大義名分を失えば、政党は解党するしか道はありません。大阪維新の会が大阪府や大阪市の議会で最も議員数の多い、いわゆる第一党として君臨し続けている限り、幕引きさせるわけにはいきません。

政策目標が「大阪都構想の実現」である限り、この問題は残り続けるでしょう。 

イメージ先行の大阪都構想~都構想の先に待つ罠とは~ 

大阪市をなくすと政策決定のスピード感が増すといわれる罠 

「府」は大阪全体の行政について、「特別区」は区内の細かい行政について役割を分担してスピード感ある政策決定ができると言われています。 

しかし、実態はこのイメージとは異なります。その理由が、一部事務組合が存在しているからです。一部事務組合とは、複数の特別区がインフラ事業や公共サービスを共同利用する仕組みです。

しかし、この一部事務組合が存在することで、各特別区が特別区内で意見を主張した際に、各々の特別区内で話し合い調整することが求められ、区内の意見をすぐに反映させられません。 

つまり「二重行政がムダだ」と主張している構造と、実態が変わらないと指摘されていることから、抜本的な改革になっていないと言えるでしょう。 

大阪市をなくすことで得られる「府政」としてのメリット 

大阪府は、明確なメリットがあるから都構想実現に向けて必死に推し進めようとしています。

大阪府側のメリットとは、大阪府全体が使用する財源に、大阪市が所有している財源を吸収し、財政健全化を図ることです。 

大阪府は、府債(府の借金)残高をH26年度以降、徐々に減らしており、府債残高の減少(府の借金返済)に努めてきました。負債残高を各年でみると、ピーク時だったH27年度は6兆3751億円ほどであったのに対し、H30年度は約2000億円すくない6兆1400億円ほどでした。

ただ、H20年度の府債残高は5兆8400億円と、10年前と比較すると、府債残高はおよそ3000億円増えています。 

大阪市は財政健全化がすすんでいる 

大阪市は大阪府と対照的に、H20年度で5兆以上あった市債残高が、H30年度はおよそ3兆5000億円程度まで減らしています。大阪府からすると、赤字財政をさらに健全化(黒字化)させるためには、大阪市の財政を府に吸収させたほうが、メリットが大きいといえます。 

以上から、府は都構想を推し進めて財政を健全化しようとしているのです。 

二重行政の解消で大阪府民が受ける危険なデメリットとは  

二重行政の解消で公共サービスの品質は低下する 

まず、公共サービスの品質は低下します。二重行政を行っている場合、「府」あるいは「市」がそれぞれで必要だと判断した公共財や社会インフラ(図書館、保育園、水道等)には、必要なサービスを適切に提供するため、一定の人員と経費を投資して、市民の生活をより便利にしていました。 

しかし、二重行政の片方である大阪市が特別区になると、大阪府があらゆる優先順位を考慮しながら政策が決まります。 

そのため、特別区がいくらインフラ事業や公共サービスを拡充するように区内で訴えかけても、最終的には大阪府が優先すべき事案として進めるか折り合いがつかなければ、実現しないと指摘されています。 

インフラ事業や公共サービスにお金が回されないと、特別区内でも財源の格差が発生してしまい、経費切り落としのため自治体職員数は縮小され、結果インフラや公共サービスの質は低下します。 

特別区同士で財源を奪いあう争いに発展し、共同体の崩壊 

1つの共同体だった大阪市民が4つの区にわけるので、大阪市民は4つの区民に分断されます。当然、区ごとで財源に格差が生まれたとき格差是正をしなければなりません。

そのたびに各区で議論という名の争いが生まれ、住民も隣の区民を助けるためになぜ税金を納めないといけないのか、利己的に考えてしまうことが懸念されています。 

わからないことだらけの大阪都構想、真の狙いとは 

真の狙いは大阪府の財政黒字化!? 

大阪都構想の真の目的は、はっきりとはわかりません。

しかし、ここまでの内容を見る限り、大阪府全体の財政を黒字化するという大義名分のために、赤字財政から引き締めを図ることが目的だと指摘する声が多いです。大阪府の統治機能を強化し、大阪市独自の政策で余計な財政出動を抑えたいことが狙いでしょう。

大阪都構想の真の狙いは、住民の自治権を剥奪し、また住民一人一人の格差を拡大させ、各特別区の格差を拡大させ、代償として財政を健全化させることが狙いと考えて間違いないでしょう。 

他人事では済まされない、大阪都構想と国政の関係とは 

大阪都構想に近い「道州制」の採択が加速される 

もし、大阪都構想が賛成多数となった場合、今後大阪以外の各都道府県で大きく地方政治のあり方が変わってくると考えられます。

最たる制度の1つとして「道州制」が挙げられています。道州制とは、従来の都道府県ごとに単独でもうけられている政治機能を解体し、近隣の府県を1つにまとめてより広範囲に政治機能を付与することです。 

道州制の導入は大阪都構想のデメリットと同じ効果が生じる 

都道府県の集合体を1つの統治機構とすることで、独立して存在していた各都道府県が、それぞれ1つの共同体として並列化されます。 

大阪都構想で、大阪市を4つの特別区に分け、大阪府として管轄される構図と酷似しています。大阪都構想のデメリットとして、特別区内の格差拡大が挙げられましたが、道州制を挿入すると各都道府県で同じように格差がさらに拡大することになります。 

強い地方と弱い地方 格差が拡大されてしまう 

たとえば、東北地方を1つの州として捉えた場合、仙台市のような既にインフラ基盤が整っている地方には積極的な政策が行われ、他の地方は選択されずに見捨てられどんどん格差が拡大することになります。 

都構想は道州制の導入への足掛かりにされてしまう懸念がある 

大阪都構想が賛成されると、各都道府県も道州制のもとで地方自治を行う流れへ、政府もかじ取りを行いやすくなります。 

地方自治の根幹を崩される「大阪都構想」と「道州制」 

都道府県単位で独自に地方自治が行えている現状から、自分たちの意見が反映されにくい道州制の導入は、大阪都構想と同じく、根本から地方自治の価値を崩されかねない状況になります。 

まとめ

ここまで大阪都構想について説明しました。最後に大阪都構想が今後の日本の政治にどのように影響があるかもお伝えしました。

皆さんはこの大阪都構想がどういった政策なのかもう理解できているはずです。 

これまで「何となく」イメージで政治や政策を評価していませんでしたか。 

この記事があなたの政治や政策への関心を深めるキッカケになり、1人の主権を持つ国民であることの責任を改めて自覚してもらい、自治意識をもって日々過ごして頂きたいと願います。