大阪都構想の用語解説。二重行政?住民投票?特別区?区割り?都構想に関する用語をわかりやすく解説。

2020.09.25
  • そもそも大阪都構想とは、大阪市を廃止して東京都のように特別区を設置し、行政の効率化を図ることである
  • 特別区設置の最大の理由は最大の理由は、二重行政の解消である
  • 大阪都構想に関する専門知識を理解し正しく判断をして、住民投票へ
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2020年11月1日に実施が予定されている大阪都構想の住民投票ですが、関西のマスコミでも大阪都構想に関する報道がなされています。
ただ報道の中で二重行政や特別区、区割りなどの言葉が説明もなく飛び交っているのが現状です。
大阪都構想に関係する言葉を1つずつ知ることで、大阪都構想に対する理解度も深まり、マスコミの報道も理解できるようになります。

大阪都構想に関する用語について解説を行います。

まず知りたい!大阪都構想とは何か

そもそも大阪都構想とは何かですが、大阪市を廃止して東京都のように特別区を設置し、行政の効率化を図ることを指します。

現在東京都は23の特別区があり、それぞれの特別区で区長がいて、区議会があります。

区長も区議会も選挙によって選ばれるため、特別区の中のことはそこに住む住民が決められるようになる、それが大阪都構想です。

正式には「大阪都構想」ではないってどういうこと?

大阪市のホームページでは大阪都構想に関するページがあり、そこにはQ&Aが掲載されています。

しかし、そのページのタイトルを見ると「特別区制度(いわゆる大阪都構想)」と書かれており、正式には大阪都構想とは呼びません。

マスコミの報道などで「大阪都構想」が前面に出てそれが定着したため、「特別区制度(いわゆる大阪都構想)」という表現が作り出されました。

大阪都構想に登場する特別区って何?

大阪市には24の区がありますが、これを4つの特別区にするのが大阪都構想です。

では、現在の区と特別区では何が違うのでしょうか?

現在大阪市にある区は行政区と呼ばれ、政令指定都市に設置されます。行政区は市長が選んだ区長が業務にあたるのに対し、特別区は区民を対象にした選挙で区長が決まります。

現状の大阪市は大阪市長が24の区長を選んでいますが、大阪都構想で特別区を設置するとそれぞれの区で区長が選ばれ、行政サービスを行います。

大阪都構想によって特別区の権限は中核市レベルに

大阪都構想で特別区が誕生すると、特別区が行う仕事の幅は広がってその権限は中核市レベルとされています。

中核市とは大都市制度の1つとされ、保健所の設置などが行えるようになります。

中核市が行える業務を大阪の特別区でも行えるようになり、結果的に特別区の権限は中核市と同じ、もしくはそれを越えると考えられます。

大阪都構想における特別区の区割りの中身は?

大阪都構想により、4つの特別区の誕生が想定されます。では、現在ある24の区をどのように4つの特別区に分けるのでしょうか。

新たな区割りの決め手は1回目の住民投票の失敗にあった

大阪都構想に関する住民投票は2015年にも行われましたが、この時は5つの特別区に分けていました。

ところが、「特別区の中でも経済格差が出る」、「新しい特別区の名前に馴染みがない」など特別区に対する抵抗が生じて結果的に1回目の住民投票は否決に終わります。

そこで今度の大阪都構想では、4つの特別区それぞれに中心地を定めます。

淀川区は新大阪北区は梅田中央区はミナミ天王寺区は天王寺です。名前もそれぞれ馴染みのある名前にして将来的な人口推計も加味し、区割りが進みました。

大阪都構想の肝とされている「二重行政」ってなんのこと?

ここまで特別区について詳しく解説を行いましたが、そもそもなぜ特別区を設置しないといけないのか。最大の理由は二重行政の解消です。

二重行政とはそれぞれの考えで行政サービスを行う状態を指します。

大阪府と大阪市がそれぞれに行政を行うことで無駄が生じているのではないかという声が高まり、二重行政の解消が叫ばれるようになります。

大阪府と大阪市の二重行政の例とは?

大阪府と大阪市の二重行政の例として度々取り上げられるのが、「大阪市立住吉市民病院」です。

小児科と産婦人科の2つのみの病院ですが、地域のセーフティーネットになりえる存在として、なくてはならない病院とされていました。

しかし、「大阪府立急性期・総合医療センター」が近くにできたため、二重行政の弊害であると批判が集まり、このセンターに母子医療センターを建設するのと引き換えに大阪市立住吉市民病院は閉鎖されます。

一見すると二重行政の解消につながった好例に見えますが、これまでの福祉的でセーフティーネットのような役割が望み薄となり、民間病院の誘致も失敗に終わりました。

大阪都構想が成立すると、第2の住吉市民病院が出てくるかもしれないと、反対派は警戒します。

大阪府も大阪市も借金まみれに

ハコモノ行政の結果、大阪府と大阪市はそれぞれに力を入れ、軒並み失敗に終わります。

最終的に大阪府も大阪市も莫大な借金を重ね返済するのに精いっぱいとなり、新たな公共投資を行うのも大変な状況になりました。政策の失敗であり、この事実は橋下徹氏も認めるところです。

大阪都構想を可能にさせた大都市法って何?

大阪市を廃止して特別区を新設するのが大阪都構想ですが、実はこの特別区は地方自治法第281条第1項において「都の区」と規定されています。

都は東京都にしかないので、特別区は本来東京都のみが設置できる地方公共団体でした。

これを東京都以外でも設置できるようにするためにしたのが「大都市地域特別区設置法」、通称大都市法です。

当時の与野党議員らの議員立法で成立

2011年の大阪ダブル選挙で大阪都構想推進派がダブルで勝利したことにより、当時の国政政党がそれぞれに大都市法に関連する法案を提出します。

最終的に議員立法という形で与野党7会派が共同提出し国会で可決、成立しました。

この大都市法では特別設置協議会の設置や協定書の作成、議会での承認と住民投票での過半数の賛成によって市町村廃止後に特別区の設置というプロセスを構築します。

大阪都構想が議論されている法定協とはどんな組織?

大都市法の項目で登場した「特別設置協議会」ですが、大阪都構想に関する報道では「法定協」と呼ばれています。法定協では特別区設置についての協定書を作成します。

法定協が大きな壁となった時期

大阪都構想における法定協では大阪府知事と大阪市長、大阪府議会と大阪市議会の議員20名で構成されます。

議決権は会長以外の19人に与えられるため、10人が賛成しないと協定書は作れません。

委員の振り分けは議会での会派の人数によって決まるため、当初大阪都構想推進の大阪維新の会は過半数を握れずになかなか前に進めなかった経緯があります。

2014年には当時の大阪市長だった橋下徹氏が大阪維新の会以外の委員を追い出して大阪維新の会の委員に入れ替えて協定書を成立させたこともありました。

変わらぬ維新への期待が状況を動かした

大阪都構想は2015年の住民投票の否決によって1度は頓挫します。しかし、大阪維新の会への熱狂的な支持は変わることはありませんでした。

結果的に議会で過半数の議席を得るようになり、法定協でも自然と大阪維新の会で過半数の委員を出せました。

市政や府政での野党らに配慮をする必要がなくなり、円滑に法定協での話し合いは進んでいき、2020年6月19日に協定書が可決されます。

大阪都構想の協定書って何?

法定協の項目で登場した協定書ですが、これは大阪都構想における設計図のようなものです。

協定書が可決すると大阪府議会と大阪市議会で承認を得る前に、総務大臣に協定書を見せて意見を求めなければなりません。

2020年に実施予定の住民投票に向け、協定書は既に総務省に提出しています。そして総務大臣から「特段の意見はない」という回答を得たことで協定書が正式に決まりました。

協定書には何が書かれているのか

大阪府のホームページの中に協定書のページがあり、そこでは協定書の中身をチェックできます。

最初の項目には令和7年1月1日に特別区が設置されることや特別区の名称や区割りなどが記載されています。

また特別区の議会定数や議員報酬、特別区と大阪府の事務分担の中身なども書かれており、これを読めば大阪都構想の中身がチェックできます。

大阪都構想の住民投票はどのように行われる?

大都市法に基づき、大阪都構想は是か非かを問う住民投票が行われます。18歳以上の大阪市民が対象で、前回は20歳以上だったため有権者数は増えることが想定されています。

住民投票の中には投票率が50%に達しなければ結果は無効になるものもありますが、大都市法では投票率は関係ありません。

あくまでも賛成か反対か、いずれか多かった方の結果に法的拘束力がもたらされます。

国政選挙と住民投票のここが違う

大阪都構想の賛成と反対双方の呼びかけのルールは公職選挙法に準じるものの、投票運動に対する活動費用やビラ、ポスターなどは自由に作れます。

国政選挙であれば投開票日には選挙運動をしてはいけないですが、住民投票に関する街頭運動は投開票日にも行えます。

2015年の住民投票では当日まで賛成派と反対派の激しい投票運動により、世論は大きく揺さぶられます。最終的にわずか1万票の差で反対派が上回り、大阪都構想は頓挫しました。

第1回目の住民投票の投票率や得票数は?

2015年に行われた住民投票の投票率は66.83%と、高い関心が集まりました。

賛成票はおよそ69万5000票、反対派70万5000票でだいたい1万票ほどの差があり、ポイントにすると0.8ポイントの僅差です。

大阪市24区のうち最も賛成率が高かったのが大阪のマスメディアなどが集まる北区で、反対率が最も高かったのが大阪市の区の中で人口が最も少ない大正区です。

ただ有権者の数が1番多い平野区と2番目に多い住吉区で反対率が多く、特別区設置に対する温度差が浮き彫りとなりました。

まとめ

大阪都構想の報道では様々な専門用語が飛び交っています。その1つ1つを知るだけでも、大阪都構想に関する理解は深まることでしょう。

今回登場した用語を他の人に説明できるようになれば、大阪都構想の中身をある程度は理解したことにもなります。

大阪都構想に関する情報を正しく理解するとともに、大阪都構想に賛成する勢力と反対する勢力双方の意見を参考にして一票を投じることをオススメします。