大阪都構想の賛成派の理由とは?賛成率や学者の意見は?反対派の理由も含めて世論調査結果をまとめる。

2020.10.12
  • 大阪都構想には2020年9月時点で42%が賛成しており、前回の世論調査より上回る
  • 「二重行政の解消」を謳っているが実は「二重行政ではない」?
  • 学者や反対派からは「市長の発言の矛盾」や「市民サービスの低下」を指摘する声も
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賛否両論巻き起こる大阪都構想ですが、大阪の経済成長に期待する声から賛成派に回る声と、市民サービス低下を心配する否定派の意見など、さまざまな立場に分かれているようです。

そんな大阪都構想の賛成率や学者からの意見、反対派の理由も含めて世論調査結果をまとめました。 

大阪都構想とは 

大阪で検討している行政制度改革で、大阪府と大阪市を東京都のような「都区制度」に変更するというものです。 

大阪府を廃止し、4つの特別区に分けることで大阪市の持つ様々な財源や行政権を大阪府に譲渡し、残りの財源と行政権は特別区が分割するという仕組みです。 

二重行政を解消し、大阪府へ一元化 

大阪都構想では、大阪府と大阪市でバラバラの動きをして無駄なコストが生じないよう、「二重行政の解消」を謳っています。 

大阪府へ一元化することで、インフラ整備や万博開催への準備といった流れをスムーズにし、大阪の成長をよりスピーディーにするためとのことです。 

特別区になることで課題解決のスピードが速まる? 

大阪維新の会のウェブサイトでは、特別区になることで住民の声が届きやすくなると書かれています。270万人ほどの人口を抱える大阪市長の場合、市長の判断が必要な課題にはどうしても時間がかかってしまいがちになります。 

特別区に分けることで、270万人を一括するリーダーである市長ではなく、4分割したそれぞれの区長が判断することができます。

1人の市長が行うよりも、4人の区長がそれぞれに意思決定を行うほうがスピーディーに解決が図れると、都構想推進派は主張します。

大阪都構想一つのはずが「二重行政はない」? 

大阪都構想の一つとして掲げられているのが「二重行政の解消」。しかしこれについては、大阪市長自身が「二重行政はない」と公言されています。 

大阪市庁本会議で発言 

2020年8月21日に行われた大阪市庁本会議では、大阪市の松井市長が「今、二重行政は無いんです。」と発言する一幕がありました。 

Twitterでも「二重行政はありません」とツイート 

さらに松井市長は自身のTwitterでも「2011年11月から大阪府との二重行政はありません」とツイートされています。 

「府市統合本部」「副首都推進本部」とそれぞれの担当事務局を設置したことで、現在は二重行政がないとのことです。 

つまり大阪都構想のメリットとしては「二重行政の解消」は当たらないともとれますが、その他の大阪都構想のメリットについて見ていきたいと思います。 

大阪都構想に賛成派の理由とは? 

行政のムダ減らしにつながるから 

「二重行政の解消」として、市と府がそれぞれに莫大な資金を投じることで建設したビル等の破綻などといった、ムダをふせぐと都構想推進派は謳っていることもあり、今まで行ってきた行政のムダが解消されるのではといった期待の声があるようです。 

しかし、本来の二重行政は福祉サービスに関するものも含まれており、これらに対する都構想推進派の主張があまり見られないのが気になる部分です。

大阪の経済成長につながるから 

「大阪維新の会」のウェブサイトでは「大阪都構想」の経済効果について言及しています。 

内容としては、都構想の歳出削減で5000億円の財源を生み出し、その財源でインフラ設備等の公共投資を行い、1兆円超えの経済波及効果を生み出すとされています。 

こうした経済効果を期待する気持ちから、賛成派に回る方もいるようです。 

ただ都構想に関する試算では、データの誤りが指摘されるケースが多く、試算そのものに問題があるという見方もあります。

賛成率はどのくらい? 

朝日新聞社と朝日放送テレビが行った世論調査では、賛成派が43%となっています。 

2015年の都構想前に行われた世論調査では賛成派が33%だったのに対し、今回の都構想では賛成率が高くなっているようです。

ただし、朝日放送とJX通信社が行った世論調査では賛成派45%、反対派42%とわずか3%の差しかありません。 

大阪都構想に関する学者の意見は? 

財政学や環境学、行政学、政治学などに携わる全国の学者からは、大阪都構想に関する危険性を危惧する声が上がっています。 

全国の教授らがコメントを寄せた「『大阪都構想』の危険性に関する学者所見」が発表されていますが、その中では、多くの学者の方が「大阪都構想が市民サービスを低下させる」と危惧しています。 

なぜ市民サービスが低下してしまうのか? 

大阪市を特別区に分けることで、まず政令指定都市では無くなってしまうという状況が生み出されます。 

政令指定都市だったからこそ義務づけられていた「特別高度救助隊(消防の専門部隊)」は、非常時にはエリアに関係なく出動し、周辺地域への安全確保に役立ちますが、こういったことが義務ではなくなってしまいます。 

また、特別区になることで予算がおよそ2000億円減少するともいわれていますが、人件費・公債費・投資的経費の予算削減は難しいため、予算減少分は「市民サービス」を削減することで補うほかないという点が危惧されています。 

病院の補助金やゴミ収集の人件費も削減 

さらに、大阪市の財政シミュレーションの改革効果額の中では「病院の補助金の削減」「ゴミ収集の人件費の削減」が挙げられることがあるなど、こういったことも市民サービスの低下につながるおそれがありそうです。 

大阪都構想に反対派の理由とは? 

反対派の理由としては、上記でご紹介した学者の意見にも含まれる「市民サービスの低下」のほか、政令指定都市ではなくなることでのデメリットを指摘する声が上がっていました。 

コストのわりに経済効果に疑問点? 

大阪府・大阪市はこれまで「10年間で1.1兆円」の効果額とうたっていましたが、2020年6月には最大378億円縮減すると発表しました。この時点で効果額の誤記載は2度目となり、訂正箇所は約130箇所となっています。 

さらに学者からは2020年度のインバウンドが蒸発した税収額について「大阪府税227億円」と算出する声もあり、インバウンドに依存しがちな都構想の経済効果を疑問視する声が上がっています。 

大阪市を廃止にするだけでコストが1300億円かかるともいわれているものの、経済効果が見込めるのかと不安視する声があるようです。 

2000億円分の使い道について大阪市民が関与できない懸念も 

都構想が実現すると、およそ2000億円分の財源が大阪府にわたることになります。この財源については大阪市のために使うとされていますが、決定権は大阪府にあるため、どう使われても大阪市民が関与しづらいという点が懸念されています。 

大阪市民の為に使うという名目でありながら、大阪市に根付いていない企業への投資に流れてしまうということを不安視する声もあります。反対派からは、カジノ関連企業への投資等に使われる可能性を危惧する声が上がっています。 

国との直接交渉ができなくなる 

政令指定都市では、市が国と直接交渉することが可能となります。これにより施策の決定スピードが速くなりますが、大阪市が特別区になると、こういったことは出来なくなります。 

財源が減る可能性も… 

また、政令指定都市では「宝くじの発行」が可能となり、宝くじの収益を市民生活の向上に充てることができましたが、こういったことも出来なくなってしまいます。 

世論調査はどうなってる? 

前回の都構想の住民投票前の世論調査では、3回行われいずれも反対派が多い傾向にあったことが分かっています。2015年5月では賛成が33%、反対が43%でした。 

2020年の世論調査は? 

大阪府民935人を対象に行った世論調査では、回答率は59%、賛成が42%で反対が37%となり賛成派が上回っています。 

賛成派の中では「行政のムダ減らしにつながるから」と答えた人が48%に上り最も多かったとのことです。 

また、反対派の中では「住民サービスが良くならないから」と答えた人が29%で最も多かった形となっています。 

住民投票へ行く?行かない? 

2015年度の世論調査と2020年度ものでは、「行く」と答えた人の割合が68%と全く同じ状態でした。 

「行かない」と応えた人も前回3%、今回4%とほぼ同じ割合になっています。また、「たぶん行かない」と応えた人は前回5%で今回8%となっていて、今回の方が若干「行かない」と考えている人が多いのかもしれません。 

しかし前回、今回ともに「行く」と解答した人が68%となっているので、世論調査に応じた7割の人が関心を示しているという結果となったようです。 

都構想の中身を知っている?知らない? 

世論調査によると、都構想の中身について「よく知っている」と応えた人は2015年度、2020年度ともに6%ほどに留まっています。 

「ある程度知っている」と応えた人は前回51%、今回54%ということで、都構想についてある程度理解している人は全体の半数程度ということになるようです。

前回の住民投票から5年経った現在、いまだ「知っている派」のパーセンテージが上がっていない事をみると、都構想への理解度が5年間深まっていないともいえるかもしれません。 

都構想の中身を「まったく知らない」「あまり知らない」と答えた人は前回42%、今回40%とどちらも4割程度となっています。 

この4割の人が中身を知った時、投票率や投票結果の変化につながる可能性もありますね。 

2015年のアンケートでは「大阪市廃止を知らなかった」人も 

2015年に大阪市で行われた「都構想で大阪市はどうなるか?」というアンケートでは、「大阪市が廃止される」と理解していた人は全体の8.7%だったとされています。 

中には「政令指定都市のまま残る」と思っていた人もいるなど、都構想への理解を深めることはなかなか難しいという現状もありそうです。 

まとめ 

世論調査を見ると、行政のムダを減らしたいと考える人が賛成派に回り、住民サービスに重点を置く人が反対に回っていると見ることができるのかもしれません。 

また一方で、まだ都構想の内容が浸透していないという点も懸念されています。都構想のメリットとデメリットを踏まえながら、しっかりと都構想について理解を深めていきたいですね。