法定協議会とは?任意協議会との違いとは? 大阪都構想の制度案が賛成多数が可決。住民投票は11月1日。

2020.09.29
  • 大阪都構想における法定協議会は議会の議席割合で構成される法的拘束力のある議会
  • 法定協議会と任意協議会との違う点は「法的拘束力」と「承認や報告の必要性」の2点
  • 大阪都構想の制度案が賛成多数で可決したが、もはや出来レースに近い
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大阪都構想をめぐる法定協議会の変遷 初心者向けに詳しく解説 

大阪都構想をめぐる法定協議会は、最も重要な意味を成す協議会といえます。これまで紆余曲折ありましたが、あなたはなぜ大阪都構想が2度目の住民投票を行うことが決まったのかをご存知でしょうか。 

この記事を見れば、なぜ大阪都構想が再び住民投票を行うに至ったかがわかります。 

大阪都構想がどのようにして決められているのかよく知らない初心者の方向けにやさしく解説していきます。 

法定協議会とは 

法定協議会とは市町村合併の協議と計画作成のための会 

法定協議会とは市町村合併に関する話し合いを行う会であり、全国の市町村で合併が必要になった場合は必ず設置する必要があります

法定協議会で主に行う役割として、「合併しようとする市町村同士の合併をするかしないかを決める協議」や「合併をする場合の計画を作成」といった役割があります。 

法令によって定められている 

法定協議会は地方自治法の第252条により設置を必要としています。法定協議会を設置するには、各議会での議決が必要となります。

各都道府県への報告も必要となることからも、手続きや対応をきちんとした手順で踏む必要があるといえます。 

大阪では都構想について法定協議会にて協議されている 

大阪都構想で注目を集める大阪府と大阪市も、法定協議会が設置されております。 

大阪都構想のテーマ自体が「大阪市を撤廃し大阪府に統合する」ことを目的にしています。

そのため、法定協議会が持つ性質は、合併を行うか否かの協議を行うための協議会とする性質が強いと言えます。 

大阪都構想をめぐる法定協議会はどうやって構成されている 

知事・大阪市長・大阪市議と20名で構成されている 

法定協議会は大阪府知事、大阪市長、府議、市議の計20名で構成されています。

基本的に、各議会の政党の議席割合に応じて代表者を選任する形になります。 

現在の議席割合は各議会で以下の図の通りです。 

各議会で大阪維新の会が過半数で、大阪都構想に対して賛成の立場をとる公明党も合わせると、市議会・府議会・法定協議会で70%以上の多数派で構成されています。 

  <大阪市議会・府議会・法定協議会の議席割合> 

議決権は19人に付与されている 

議決権がある委員は法定協議会の会長を除く19名です。 

賛成派である大阪維新・公明が過半数のため、法定協議会の議案は可決される状況です。 

任意協議会との違いとは 

任意協議会とは法定協議会とちがい自由に設置がおこなえる協議会 

任意協議会は各自治体が自由に任意協議会を設置することができます。 

合併問題にかかわる調査や将来の合併における新しい都市の構想を練る役割を付しています。任意協議会を設置するうえで議会の承認は不要で、都道府県への報告も必要ありません。 

任意協議会は地方自治法の法令の定めにはない 

任意協議会は法令の定めはないので、特に法的な拘束力はありません。しかし、基本的には地方自治法の法令に準拠する必要はあるとみなされています。 

法定協議会での大阪都構想の変遷まとめ 

2015年5月に都構想が否決されてから都構想再チャレンジを表明するまで 

2015年5月に都構想が住民投票され、大阪都構想は否決されました。

都構想の計画はこの時点で白紙となり、同年6月に法定協議会も廃止され、大阪都構想の計画は一旦中断されました。

しかし、同じ年の8月に大阪維新の会が都構想を再びチャレンジする是非を住民に問うとして、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙を実施しました。 

選挙結果は大阪維新の会所属の松井一郎氏、吉村洋文氏が当選。それぞれ府知事を松井氏が、大阪市長を吉村氏が担いました。 

都構想再開を目的に法定協議会の再開催から公明党との決裂まで 

2017年6月に都構想を再度チャレンジするための法定協議会を再度設置して協議を再開しました。

大阪維新の会以外にも公明党が都構想の支持政党でした。公明党の都構想案は大阪市をそのまま残し、8区の編成並びに各区の権限強化を行うことを主張していたため、大阪維新の会との制度設計にズレが生じていました。 

都構想計画には賛成の立ち位置だったため、大阪維新と公明で協議会で議論を重ねていました。

しかし、2019年に公明党が住民投票の時期をめぐり大阪維新の会と対立する形になりました。

この時点で大阪維新の会と他政党で府・市・法定協議会で大阪維新VS反大阪維新の対立構図が生まれることになりました。 

再び民意を確認するために行われた2019年入れ替え選挙 

大阪維新VS反大阪維新の構図のなか、任期途中で松井一郎(当時大阪府知事)と吉村洋文氏(当時大阪市長)が辞職し、それぞれ2019年の4月にお互いの立場を変えて入れ替え選挙が行われました。結果は両者ともに圧勝しました。 

この選挙結果を受けて、大阪維新の会が大阪府議会議員定数で過半数を取得し、大阪市議会議員定数も過半数を伺う状況になりました

その結果、法定協議会でも大阪維新の会が過半数となるため、自力での都構想計画が進められる基盤が整いました。 

2019年4月選挙後から2020年11月の住民投票まで 

2019年4月の大阪維新の会の圧勝劇をうけて、それまで都構想反対にまわっていた公明党が一転して賛成の立場を表明しました。

法定協議会での立ち位置をさらに優位にすすめられる形になった大阪維新の会は、2020年6月に総務省に大阪都構想における特別区設置協定書(案)を送る法定案を提出。法定協議会でも19人中16人の賛成で可決し、総務省も認可する運びとなりました。

2020年8月に大阪府議会、9月に大阪市議会でそれぞれ賛成多数で都構想制度案が可決されました。 

予定通りに大阪都構想をめぐる住民投票が11月1日に行われることになります。 

都構想をめぐる法定協議会の制度の欠陥とは 出来レース化した法定協議会 

法定協議会は大阪都構想を議論するという本来の意味をもちあわせいない 

住民投票を残すだけになった大阪都構想ですが、いままでの都構想を推し進める法定協議会の在り方そのものが、協議会の本来の目的に沿っていないと批判されています

基本的に、法定協議会は市町村合併の是非を議論しながら、最終的に合併が必要か不必要かを議論します。そのため協議した結果、合併を行わないという選択を取る可能性もあるため、議論に反対の意見を出すことは否定してはいけないのです。

しかし、こうした法定協議会の在り方に大阪維新の会は「反対意見を言う場ではない」として反対派を排除していくような姿勢をみせていました。 

「反対意見を言わない・言わせない」法定協議会は、もはや「大阪都構想が賛成されることありき」で協議されていくことになります。 

そのため、こうした協議会そのものに必要性がないと指摘を受けています。 

協議した回数のわりに中身がないーもはや形だけの法定協議会 

法定協議会は合併にあたっての議論を行い、合併後の新都市をより良くする構想を計画することが目的です。

しかし、大阪都構想は協議してきた回数のわりに、中身が深く検討されていないとする声もあります。実際、法定協議会はこれまで計30回以上行われましたが、具体的な都構想の改革は住民投票後に詳細を決定していくとしているため、後発的に物事を決めていくことになるでしょう。

また、都構想の内容自体が前回の都構想の中身とさほど変わりがないため、もはや形だけの法定協議会だったと言わざるをえないでしょう。 

法定協議会は事実上大阪都構想が可決されるまで消滅しない 

法定協議会の規約に記載されている、法定協議会を廃止するための方法は、知事と市長が大阪府議会と大阪市議会に法定協議会の廃止を提案し、過半数の同意を得ることと明記されています

しかし、現状の大阪府知事と大阪市長はともに大阪維新の会から当選していて、議案を提案すること自体は考えられません。 

また、万が一提案されても府議会と市議会ともに過半数を超えているか過半数ラインに迫る議席割合のため、提案が否決される見通しが高いです。 

つまり、現在の法定協議会を消滅させるためには「知事・市長クラスが大阪都構想を反対して」かつ府議会と市議会の過半数以上が大阪都構想を反対する状況が生まれない限り消滅しないことになります。このような状況が生まれることは現状では考えにくいです。

なぜなら、大阪維新の会以外の党が連立しても過半数ラインを超えられないためです。その結果、

今回の住民投票で大阪都構想が否決されても、また同じように法定協議会で都構想を実施する協議案が提出されることは明白です。 

このようにゾンビのごとく都構想が可決されるまで、消滅せずに残り続けることになるでしょう。 

法定協議会まとめ 

法定協議会は「合併を行うかどうか」を議論する場 

法定協議会は地方自治法に定められている「市町村合併」における協議会です。 

協議会のメンバーは、都市計画の作成や合併の是非を議論する場として厳正な対応を行う必要があります。 

法定協議会は任意協議会とちがい許可や報告が必要 

法定協議会は任意協議会とちがい、法的拘束力が伴うため、許可や報告が必要です。 

具体的には、法定協議会を設置するために議会の議決を行う、都道府県に毎回の協議した内容を報告するなどが必要になります。

任意協議会は法定協議会とちがい、特に法的拘束力はありません。 

法定協議会は各都道府県議会と市町村議会の選任で構成される 

法定協議会は各議会の代表者が選任されます。基本的には議席割合に応じて人数の調整が行われます。

基本的には知事と市長も参加し、協議会のメンバーの議決権は、協議会会長以外のメンバーが有します。 

大阪都構想をめぐる法定協議会はそもそもの目的を見いだせていない指摘もある 

大阪都構想をめぐる法定協議会は、法定協議会が持つ本来の目的を果たせていないとされています。

理由としては「反対の意見が述べられないため」「住民投票で都構想が否決されても、法定協議会は消滅できないように規定されているため」です。 

最後に一言 

ここまで大阪都構想による法定協議会を伝えてきました。

法定協議会を構成しているメンバーは都道府県または市町村の議員です。

11月1日に大阪市民がどのように決定を下すのかはまだわかりませんが、大阪都構想だけでなく今回の記事をキッカケに地方自治の合併や法定協議会の在り方を知って、自分たちにとってメリットのある協議案かどうかを見極めていただくことを願います。