特別区とは?大阪都構想により特別区が設置されると何が変わる?デメリットはある?わかりやすく解説

2020.09.25
  • 大阪都構想案の特別区は大阪市を廃止して新たに行政窓口を4つ設けることになる
  • 大阪都構想案の特別区が実現すると、現状では行政窓口が減り、御製サービスレベルが経過する可能性がデメリットである
  • 大阪都構想案が実現して特別区が実現すると将来的には充分な行政サービスが確保できる
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大阪都構想案は府議会と市議会で可決成立して、11月1日に住民投票がおこなわれます。この大阪都構想案の住民投票では、大阪市が特別区制度案といっているように、大阪市が廃止され、4つの特別区が設置されることの是非を問う形となります。 

この特別区について、それがどういうものなのか、設置されると何が変わるのか、さらにメリット、デメリットは何なのかについて解説します。 

大阪都構想案は11月1日に2度目の住民投票が決まる 

新しい大阪都構想案は、6月の法定協議会で可決され、総務大臣の了承を経て、大阪府議会と大阪市議会の賛成多数による可決成立によって、いよいよ111日に最終関門の2回目の住民投票がおこなわれることになりました。 

今回の大阪都構想案の住民投票の争点は4つの特別区になる 

今回成立した大阪都構想案での重要な争点は、4つに区割りされた特別行政区です。

広域行政を目指して政策の一致によるコスト削減を目指す大阪都構想案では、特別行政区の数が少なければ少ないほど効果は大きくなります。 

しかし、大阪市の住民にとっては行政窓口が減ることによる行政サービスの低下の懸念があり、このコスト削減と直接的な行政サービスの低下のどちらを選ぶかが住民投票での争点となるわけです。 

前回の争点も特別区だったが 

大阪都構想案は、元大阪維新の会の代表だった橋下徹氏が大阪府知事になってから本格的に提唱したものです。 

その当時は大阪府も大阪市も不採算事業を抱えて大きな財政赤字が生じており、それとともに大阪の経済は苦境に喘いでいました。 

そのため、大幅な財政赤字の要因になっていた不採算事業の民営化や府と市の二重行政による無駄を省くことを目的に大阪都構想案が提案されたのです。 

結果的には20155月におこなわれた大阪都構想案は住民投票では反対がわずかに上回り、実現は断念されました。 

今回の大阪都構想案では争点が4つの特別区に絞られた 

大阪維新の会が第1党の大阪府も大阪市も財政赤字のために大阪地下鉄・バスをはじめ、多くの不採算事業を売却、民営化しています。大阪府と大阪市で改善の幅は異なりますが、財政赤字に関しては以前より改善している状況です。 

今回の大阪都構想案では大阪市を廃止して、大阪府に統合すると共に、4つの特別行政区を設置して行政コストの削減を恒久的に確保しようと都構想推進派は謳っていますが、果たして大阪市廃止・特別区設置でどれだけの効果が期待できるのか、議論が必要です。

特別区とは何か メリットは? 

政令指定都市では区割りがおこなわれ、区役所が設置されていますが、これは大阪都構想案や実際の東京都などに設置されている特別区とどう違っているのでしょうか。 

特別区を置く理由 

大阪都構想で特別行政区を設置する理由は、大阪そのものの地域の大きさ、人口の多さから見て、大阪府ですべての行政サービスをおこなうことは難しいためです。 

ただ、大阪府は、大阪市以外にも多くの市を抱えており、窓口も限られています。

そのために、大阪市民に対する行政サービスを確保するために特別行政区を設置することにしたのです。 

ちなみに、東京都の23区の人口は約968万人で、周辺市も抱えています。大阪府の場合には人口は総882万人ですが、大阪市は270万人もあり、規模的には1/3以下と東京に劣り、7~8つの特別行政区があってもおかしくない状況です。 

しかし、大阪の場合には財政規模が東京に比べて小さく、赤字の可能性も大きいため、多少大阪市民に対する行政サービスを犠牲にしても今後の財政赤字を抑えるため、4つの特別行政区の設置にしています。 

政令指定都市の区は市の下部窓口で区長は市が指名 

通常の政令指定都市の場合の区には行政窓口はおかれていますが、区長は市長が指名し、選挙では選ばれません。 

また、予算も区としての独自予算ではなく、市の予算を割り振られているだけです。 

東京都では各区の区長は選挙で選ばれ、議会もあり、予算を持っている 

東京都の場合には、各特別行政区の区長は選挙で選ばれ、各区に議会も設置されています。

また、各特別行政区でも独自の予算を持っており、今品川区や中央区などは区独自でコロナ対策として一時金を支援しています。 

このように特別区は市と同じように予算や窓口権限を持っていますが、基本的に大阪府の下部組織という点では現在の区と同じ立場になります。 

大阪都構想案でも東京都と同じ特別区の形態がとられる 

大阪都構想案でも、大阪市の廃止に伴う大阪市民に対する行政サービスを確保するため、東京都と同じように特別行政区の設置を決めています。 

ただし、大阪市の財政規模を勘案して今回の特別行政区の数は4つに絞ることになりました。

企業の多くは東京に本社が置かれているため、税金などは東京のほうがたくさん納められており、それゆえ財政規模も東京のほうが大きくなっているのです。 

特別区を置く意味とそのメリット 

大阪維新の会など都構想推進派は、大阪市廃止に伴う特別区移行で、現在24ある区に代わって行政サービスを確保することができるとともに、行政としての維持コストは大きく削減できることになり、大阪都構想案の大きなメリットであると宣伝しています。

法定協議会の場でも、いくつもの区割り案が検討され、6つの特別区の案もありましたが、最終的には今回の4つの区割り案に落ち着きました 

大阪市を残した場合に、今後また財政赤字が拡大すれば大阪市民に負担がいき、行政サービスも結局削減することになる可能性があることも考えられます。

大阪都構想で特別区の設置を4つにとどめた理由であり、メリットにもなっていると、大阪維新の会など都構想推進派はアピールします。

大阪都構想案の住民投票での争点は4つの特別区になっている 

今回の大阪都構想案では、すでに不採算事業はほとんどが売却、民営化しており、現実の財政赤字を削減するという視点は少なくなり、区割りを少なくして長期的に財政赤字を抱えなくてすむようにしているのが特徴です。 

今回は特別区を4つに抑えており、行政サービスは低下しても赤字要因を極力少なくしようとしている点にあるのです。 

都構想が実現することで、行政窓口が減って行政サービスが低下する可能性が考えられます。それでも、将来的に赤字にならないことによって大阪市民に大きな負担や行政サービスの縮小をしないで済むようにする、それが都構想推進派が主張する点です。

前回の大阪都構想案における特別区は5つだった 

前回の大阪都構想案においては、住民投票にかけられたのは5つの特別区の設置になっていました。 

しかし、法定協議会の段階では東京都を参考に7つの特別区の案も検討されていましたが、実際の予算規模が小さい点が考慮されて5つになったのです。 

区割りが少ないほど行政コストは安くなるのが大きなメリット 

区割りが大きいほど、区役所や職員数が必要になり、限られた税収や国からの地方交付税交付金のなかでは財政赤字になる可能性が大きくなります。 

現全国的に見ても財政赤字になっている自治体は多く、夕張市のように破綻している例もあるのです。 

区割りを少なくするほど行政コストは安く済み、将来的にも赤字要因は小さくなるといえ、大阪都構想案の大きなメリットになると都構想推進派は主張します。

大阪都構想案における4つの特別区の区割り案 

今回の大阪都構想案では、行政コストを抑えるために4つの特別区による提案となっています。

この大阪都構想案における実際の区割り案を見てみることにします。 

今回の大阪都構想案の区割り案 

大阪都構想が実現した場合の、現在の大阪市の区の再編は、法定協議会では6つに分ける案や同じ4つの区でもその区割りをいろいろ変えて検討した結果、次のようになります。 

・淀川区   東淀川区、淀川区、西淀川区、此花区、港区 

・北区    旭区、豊島区、北区、福島区、鶴見区、城東区、東成区 

・中央区   中央区、西区、浪速区、西成区、住之江区、住吉区 

・天王寺区  天王寺区、生野区、阿倍野区、東住吉区、平野区 

ただ、区のなかで出張所などの設置については明確になっていません。 

4つの特別区が設置されると何が変わるの? 

では、大阪市が廃止されて特別区が設置された場合、大阪市民にとって何が違ってくるのでしょうか。 

大阪市などのホームページでは、大阪都構想案という代わりに特別区制度と呼んでいます。それだけに、今回の大阪都構想案においては4つの特別区の設置が非常に大事だということがわかります。 

この特別区の設置によって何が変わるのかという点について見てみましょう。 

住民にとっては選択できる行政窓口が少なくなるデメリットがある 

大阪都構想が実現して特別区に移行した場合、行政窓口が少なくなります。住民票や印鑑証明を取りに行く、福祉の相談に訪れるなどをした行政窓口は、特別区設置で少なくならざるを得ません 

現在大阪市には24の区があり、それぞれに窓口があります。特別区設置でその窓口が少なくなり、相談や手続きのために現在よりも遠くまで行く必要が生じる可能性も出てきます。 

特別区の移行に必要なもの 

大阪都構想で特別区が設置される場合には、現在の大阪市と大阪府のコンピュータシステムなどを改修したり、新しい区役所の庁舎改修が必要になったりします。

それらの費用は一時的なものであり、将来的な低コストな行政を目指す上では不可欠なものだと都構想推進派はアピールします。

ただ、情報システムの運用経費や特別区設置に伴う職員の増加で、年間50億円のランニングコストが試算されています。 

新たな庁舎を立てる予定があったものの、既存の庁舎をフル活用することで特別区設置のコストは大きく縮減されました。都構想反対派が初期コストの高さを問題視したことも影響した形です。

大阪都構想案における特別区への移行の時期 

大阪都構想案が住民投票で賛成が過半数を超えた場合には、2025年1月1日に大阪市は廃止されて特別区に移行するスケジュールになっています。 

ただし、大阪周辺市などは希望すれば特別区への組み込みが可能になっており、その調整によっては時期が遅れる可能性もあります。 

4つの特別区のデメリットは? 

大阪都構想案で設置される4つの特別行政区のデメリットにはどのようなものがあるのかをもう一度確認してみます。 

大阪市が廃止され、4つの行政区が置かれることによる行政サービスの低下の可能性 

住民票を取りに行く際には自治体の窓口に行き、行政サービスを受けます。また、介護保険、健康保険などの福祉事業の窓口にもなるなど、身近な存在です。 

その身近な存在は、自宅からそれほど離れていない場所にあるからそうなるのであり、今までより遠くなるのは不便でしかありません。全部で24ある区が4つに統合されると、いつでも行ける行政窓口が遠くなり、市民の手間が増えることになります。 

これは市民にとって、大阪市を廃止して特別区を4つにしてしまうデメリットということができます。 

大阪市廃止で住所が大きく変わる

例えば住之江区にお住まいの方であれば、大阪府大阪市住之江区と住所が続きます。これが大阪市廃止・特別区設置となれば、大阪府中央区住之江になる可能性が出てくるのです。

現在も大阪府中央区があり、2025年までの移行期間があるとはいえ、これまで慣れ親しんだ住所、区割りが変化して混乱が生じる可能性が考えられます。

また現在の大阪府大阪市阿倍野区天王寺南にお住まいの方は、大阪府天王寺区阿倍野天王寺南になる可能性が指摘され、地名に変化が生じる可能性が出ています。

新たな地名は2025年までに検討されるとはいえ、地名を巡る騒動が各地で起こることは避けられず、そのあたりもデメリットと言えるでしょう。

住民投票で大阪市民は4つの特別区のメリットとデメリットを評価 

大阪市を残すのであれば、隅々に行き届いた行政サービスを確保するために、財政運営がスムーズに進んでいることが前提になります。

将来的に、財政が苦しくなれば、窓口を削減したりしなければならなくなる可能性があるのもまた事実です。 

行政コストを削減することにより、将来の赤字要因を失くし、システム面での合理化を図ることにより、行政窓口に行かなくても、ネットを通じて充分な行政サービスが受けられるようになる可能性は高いでしょう。 

ただそれは大阪都構想に賛成しなくても、現状の大阪市でもできるのではないかという疑問は、持っておくべきでしょう。

現在の行政サービスを残すのか、新たな仕組みの行政サービスか、この決断が大阪市民に求められており、大阪都構想案における住民投票の肝です。 

 わざわざ大阪市を廃止してまでやることなのか、この視点に立った大阪都構想に関する情報収集が求められます。

大阪都構想の特別区のまとめ 

大阪都構想案は大阪府議会、大阪市議会で可決成立して、11月1日に住民投票がおこなわれることになりました。

この住民投票では、大阪市を廃止して4つの特別区を置くことに対して大阪の住民が選択することになります。 

大阪市などは大阪都構想案といわずに、特別区制度案といっており、住民投票における大きな争点となっています。

現在の行政サービスの便利さをとるか、将来の便利な行政サービスをとるかの選択になりそうです。