都構想のデメリットとは?大阪府や堺市のデメリットは?特別区制度により行政コストが上がる?

2020.09.28
  • 大阪都構想の基本情報と目的
  • 都構想実現によるデメリットは?
  • 大阪府・堺市に与える影響は?
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11月1日の投開票によって大阪都構想に対する是非が決まるわけですが、そこに住まわれる住民の方にとっては、その日は大きな1日になるといえます。 

公正公平で物事を捉えるのであれば、例え賛成派であってもそれで生じるデメリットを知っておくとは今後のためにも必要と言えます。 

ここでは、大阪都構想における影響やデメリットについて考えていきたいと思います。 

現在の大阪 

都構想におけるデメリットを知る上で、現在の大阪というものを知っておくことは大事です。 

ここではまず、現在の大阪についておさらいしていきます。 

主な行政の権限は3つ 

現在の大阪府には、市町村で計43の自治体があり、その内、大阪市・堺市の2つが政令指定都市、中核市が7つあります。 

中核市である7つの市は大阪府の管轄ですが、指令指定都市である大阪市と堺市は、大阪府とは別に独自の行政への権限を持っています。 

つまり大阪府全体の中で、3つの都市がそれぞれ行政に対して独自の大きな権限を持っているということです。 

立地的には大阪府が囲っている状態 

地図を見るとわかりやすいですが、現在の大阪府には大阪市と堺市の2つの政令指定都市が存在し、これら2つの都市を囲うような形で大阪府があります。 

つまり、大阪府の中心は大阪市と堺市、外側が大阪府ということです。 

今回の都構想はあくまでも、大阪市を対象としたものであり、堺市は対象となっていません。 

ですので、今回都構想が成立した場合、大阪市のみが大阪府に組み込まれるため、地図だけをみると、堺市だけが孤立したような形になります。 

大阪都構想における成長戦略の中には、インフラ整備を広域で行えることも目的としてあるため、都構想が仮に成立した場合も、堺市の存在は今後もポイントになるといえます。 

今回の都構想が成立したとしても堺市は政令指定都市として残るため、大阪都構想を大阪府広域で考えた場合、都構想そのものがまだ完成形でないといえるでしょう。 

大阪市は政令指定都市 

大阪都構想は、大阪市を廃止して4つの特別区で再編するという行政制度のことをいい、その是非が11月1日に問われますが、これは大阪市というひとつの政令指定都市の在り方を問わる住民投票とも言えます。 

政令指定都市とは 

大阪都構想を理解する上で、政令指定都市は大きなポイントになります。 

上記でも少し触れましたが、政令指定都市とは日本の大都市制度のひとつであり、「都道府県と同等の権限を持っている」というのが最大の特徴です。 

大阪の場合、大阪市と堺市の2都市が政令指定都市であり、これら2つの都市は「大阪府とは別に独自で行政運営を行える」ということになります。 

政令指定都市のメリット・デメリット 

府とは別に独自の権限を持っているため、それによるメリットは多いですが、その反面デメリットも多く生じてしまうことがあります。 

今回の都構想への動きは政令指定都市によるデメリットが表面化したことが大きな要因と言えるでしょう。 

メリット 地域ならではの独自行政が行える 他の市町村よりも緊急時にスムーズな対応が可能 予算を自由に使えるから発展がスピーディ 
デメリット 道府県と市が上手く連携しないと無駄が多くなる 立地によってインフラ面で不備が起こる 

政令指定都市の廃止と特別区での再編 

大阪都構想は、今ある大阪市を廃止して4つの特別区で再編する行政制度ことです。 

都構想の是非を判断する上では、政令指定都市としての大阪市の現状と、4つの特別区の詳細が、判断の大きなポイントといえるでしょう。 

大阪府と大阪市の連携の問題

政令指定都市のメリット・デメリットについては上記でも解説しましたが、デメリットの表面化はその地域の立地や状況によって違いがあります。 

大阪の場合、維新の会が行政を担うまで、府と市の関係性はお世辞にも良いとはいえず、いってみれば府と市で連携が取れていませんでした。 

それによって、政令指定都市であるデメリットが表面化することとなっていまい、今回の都構想の動きへ発展することになります。 

府と市に関係性が健全であり、大阪というひとつのエリアで府と市が互いに連携がとれていれば、政令指定都市によるメリットを十分に活かせます。 

今までの歴史で、大阪府と大阪市の連携がうまくいかず、それぞれが突っ走ってきたため、本来必要な福祉サービスまでも二重行政と揶揄されて、大阪都構想につながっていきます。

4つの特別区として再編 

特別区とは日本における特別地方公共団体の一種であり、日本においては東京都にある23区がそれにあたります。 

政令指定都市にある区、いわゆる行政区とは種類が異なり、区長が選挙によって選ばれる点などから、行政区より権限が強く、わかりやすくいえば「都道府県>特別区>行政区」と考えればイメージがしやすいでしょう。 

大阪都構想は、政令指定都市である大阪市を廃止し、4つ特別区で再編するという制度です。 

政令指定都市と道府県は権限の強さが同等ですから、これを廃止し特別区を置くということは、「今ある大阪市は大阪府の管轄になる」といえます。 

堺市はどうなる? 

ここまででも少しありました、現在の大阪には政令指定都市が2つあり、その内のひとつが堺市です。 

堺市は今回、大阪都構想の対象外となっていますが、同じ大阪圏内なので今後何かしらの影響があることは間違いないといえます。 

堺市も政令指定都市 

これまでにもあったように、堺市も大阪市と同じように指令指定都市として存在しています。 

ですが、上記にもあるように、今回堺市は大阪都構想の対象となっていないため、仮に大阪都構想が可決され移行したとしても、堺市はこれまで通りの権限で大阪の政令指定都市として残ることになります。 

都構想に参加する可能性も 

都構想が実現しても堺市は政令指定都市として残りますが、今後については不透明な部分が多いといえます。 

昨年2019年4月までは、都構想反対派の竹山氏が市長でしたが、現職の永藤氏は都構想を推奨する大阪維新の会公認の市長です。 

現在堺市は都構想に参加する表明はしていませんが、堺市の民意や、都構想実現の状況によって、今後堺市も都構想に参加する動きが起こる可能性は十分にあるといえるでしょう。 

大阪都構想によるデメリットは? 

大阪都構想に関しては賛成・反対の意見がそれぞれ飛び交っていますが、実際に移行してみないとわからない部分も多いため、メリット・デメリット共に確実的ではありません。 

ただし、中には確実視されているデメリットもあるため、ここではそれらのデメリットを紹介していきます。 

デメリットは主に3つ 

  • 再編コスト 
  • 住所表記が変更 
  • 新たなるコストの発生 

これら3つが現実的といえ、主に手間やお金に関するデメリットです。 

大阪市が廃止されるということは今ある住所が変更されるため、企業や学校などの施設、一般家庭においても住所表記が変更されます。 

特に企業や施設などにおいては住所表記の変更時にコストが必要になるため、手間とお金がかかってしまうことはデメリットとしてあります。 

また、行政においても、再編に必要となる新システムや庁舎などの再編コスト、それらを維持するための発生する新たなコスト、これら費用も莫大に必要となるため再編におけるコストもデメリットといえるでしょう。 

大阪府や堺市へのデメリットは? 

大阪都構想は、大阪市のあり方を問う選挙ともいえるので、今回の住民投票の対象は大阪市に住む方のみが対象となっています。 

大阪府下や堺市在住の方は住民投票の対象外ですが、同じ大阪内でのことなので、都構想が可決された場合の影響は気になるところだと思います。 

大阪府のデメリット 

都構想による特別区以外のエリア、大阪府下への影響は現在のところあまりとりあげられていませんが、基本的に住所表記や役所関係もそのままで、大きなデメリットはほぼありません。 

ですが、これまで大阪市に入っていた税金が大阪府に入って再分配されることになるので、税金のあり方はこれまでとは異なります。 

また、大阪市の行政も大阪府の管轄になる形になるので、広域行政を大阪府が担うことになります。 

そのため、それによるインフラ整備などで今後道路工事や鉄道工事などが多くなる可能性が非常に高いので、先への投資という意味では工事期間は交通面が不便になることもあるでしょう。 

堺市のデメリット 

堺市に関しては大阪府とは別に、ある意味独立している都市といえるで、行政や住民サービスにおける影響はあまりないといえます。 

ですが、堺市は位置的に大阪市の南側となり、また大阪湾にも沿っているため、都構想によるインフラ整備に何らかの影響を受けることは考えられます。 

また、上記でもあったように、都構想が実現されれば「大阪内で堺市のみがある意味独立している」「現職の市長が維新の会である」などを考えても、「堺市の都構想参加」をテーマに論争が起こる可能性が高いでしょう。 

特別区制度の行政コストは? 

行政・企業に限らず、何事も運営する上ではコストが必要になります。 

コストは収支に大きな影響を与えるため、事前にシミュレーションを行うことが大事ですが、基本となるのは初期経費であるイニシャルコスト、維持費であるランニングコストです。 

大阪都構想が移行された場合も、イニシャルコストとランニングコストは必ず発生するので、都構想を評価する上でもこれらの項目には注目しておきましょう。 

費用と収支のバランス 

事業においてもそうですが、何かを始める場合、上記でもあるようにイニシャルコストとランニングコストは必ず発生します。 

事業を運営するにおいて、発生したコスト以上に収益を得ることで初めて利益として事業の手元に残り、これは行政においても同じです。 

大阪都構想における特別区設置のイニシャルコストはおよそ241億円、ランニングコストは年間でおよそ30億円必要とされています。 

新聞やメディアによってはこれよりも多くコストが必要ともいわれていますが、ここではひとまず、上記のコストで考えます。 

イニシャルコストは返せばなくなるコスト、ランニングコストは運営する以上必ず必要なコストであるため、極端に言えば初年度で「241億円+30億円=271億円」以上の利益を出せば、翌年から年間30億円のコストだけで済むことになります。 

ですが、現実ではそのようなことはあり得ないため、10年や20年と長期的なスパンで運営していくことになります。 

イニシャルコストは金利など以外で増えることがないため、長期的な計画をもって返していくわけですが、これを10年スパンで考えた場合、年間で24.1億円を返済にあてることになります。 

ですので、10年計画の場合は「24.1億円+30億円=54.1億円」が、都構想にかかる年間の費用ということとなります。 

なので、都構想に関する収支評価を10年で考えた場合は、「都構想の効果で年間に54.1億円以上の収益があり、これを維持できるか」が大きなポイントといえるでしょう。 

住民にとってのメリット・デメリットをしっかりと考える 

なにはともあれ、11月1日は住民投票によって大阪都構想が決まります。 

住民一人ひとりの1票で地域行政のあり方が決まるのですから、大いに注目されることはまず間違いないといえます。 

住民投票を行う当事者にとっては、その地域での暮らしが変わるので、票を持つ手にも力が入るといえるでしょう。 

住民投票に参加される際は、反対・賛成派の両意見や、メリット・デメリットなどを事前に自分なりにしっかりと分析し、どちらの選択が自分にとって最善なのかをしっかりと考えて投票を行いましょう。 

住民投票は11月1日 

大阪都構想の住民投票は11月1日に投開票されます。 

ここでは最後に、大阪都構想住民投票の概要を簡単に紹介します。 

  • 対象 日本国籍を持つ18歳以上の大阪市民220万人 
  • 告示 2020年10月12日 
  • 投開票 2020年11月1日 
  • 期日前投票 有、告示翌日から 

日本国籍を持つ18歳以上の大阪市民220万人を対象に住民投票が行われ、投開票は11月1日ですが、期日前投票も受け付けているため、当日予定がある方も投票に参加できます。 

まとめ 

大阪都構想は、大阪市民にとって今後の未来を左右しかねない大きな制度改革といえます。 

今回の住民投票は通常行われる国政選挙や地方選挙とは異なり、住民の暮らしに直結する選挙ともいえるので、想像する先の暮らしと今の暮らしをしっかりと比較することが大事です。 

ですので、メリットだけを見るのではなく、デメリットもしっかりと踏まえ、自分にとってどの選択が最善なのかをしっかりと考えて投票を行いましょう。