都構想の世論調査[2020年最新]賛成派と反対派はどちらが多い?コロナ禍で行われる大阪市民の本音は?

2020.09.30
  • 大阪都構想案の事前世論調査では現在のところ賛成派が多くなっている
  • 今回の大阪都構想案では主な争点は大阪市の廃止と4つの特別行政区の設置に絞られている
  • 大阪市民の本音は比較的自身に直接影響の出る場合に強く出る傾向にある
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大阪都構想案が成立し、11月1日に2回目の住民投票がおこなわれることになりました。この大阪都構想に対して各報道機関で世論調査がおこなわれ、賛成派と反対派ではどちらが多かったのか、世間の注目を集めています。 

大阪都構想に対する世論調査の結果と、新型コロナウイルス禍のなかでおこなわれる住民投票に対する大阪市民の本音など、今後の変化要素について解説します。 

大阪都構想の再度の住民投票が決まる 

2020年9月3日に大阪市議会では、8月28日の大阪府議会に続いて大阪都構想案が可決成立して11月1日の住民投票の投開票が決定しました。今回は、2015年5月17日に続いての2回目の大阪都構想に関する住民投票になります。 

今回の大阪都構想案は、前回の大阪都構想案に修正が加えられたものであり、住民投票決定後の大阪市民の構想案に対する賛成、反対についての世論調査が新聞社などでおこなわれています。この世論調査において、賛成派反対派の支持状況はどうなっているのか見てみることにします。 

今回の大阪都構想の修正点 

今回の住民投票にかけられる大阪都構想案は、前回の大阪都構想案に対して次のような点について修正が行われています。 

  • 前回は大阪市周辺地域を含めて大阪府に統合する形でしたが、今回は大阪市のみの統合です。 
  • 大阪市を4つの区に統合する形になっている(前回は5つの区)。 
  • 前回以降に大阪市の地下鉄などが民営化されており、財政再建に向けた政策はおりこまれていない 

大阪都構想に対する与論調査の結果は?賛成派それとも反対派どちらが多かった? 

大阪都構想の住民投票が9月3日に決定すると各新聞社などは世論調査をおこないましたが、その結果では賛成派と反対派ではどちらが多かったのでしょうか。 

その世論調査の概要を見ていくことにします。 

三大新聞の世論調査では賛成派が反対派を明確に上回った時期が

三大新聞のうち、朝日新聞を除く毎日新聞、読売新聞が世論調査結果を発表していますが、次のようになっています。 

        賛成    反対    未回答 

読売新聞    48%    34%    18% 

毎日新聞    49%    40%    11% 

日経新聞    49%    35%    16% 

このように、少し前の世論調査では、賛成派が9~14%程度上回っている状況でした。 

ただし、読売新聞の世論調査では、大阪都構想そのものには賛成が多いものの、大阪市の4つの特別行政区域で見てみますと、3つの行政区については賛成派と反対派が拮抗しており、差はそれほどないようです。 

すなわち、地元大阪市住民においては賛成派と反対派の差はそれほどないといえるでしょう。 

最新の世論調査では拮抗し始めている

朝日放送とJX通信社の共同調査による世論調査は毎週行われており、確かに9月19日・20日の調査では14ポイントほど賛成派がリードしていました。

しかし、毎週の調査結果が出るたびに賛成と反対の差が縮まり、公示日直前の調査では3ポイントまで縮まっています。

各社の世論調査で出された数字以上に、賛成派と反対派は拮抗しており、今後逆転する可能性が十分考えられます。

前回の大阪都構想住民投票との賛成・反対の違い 

読売新聞の調査では、一時期賛成派が反対派を10ポイント以上上回った時がありました。

なぜ賛成が多くなった時期があったのか、解説します。

賛成が増加し、反対に差を広げた理由 

2020年4月時点では、前回同様賛成派と反対派の差はわずかでした。まだ、大阪都構想ははっきりと市民に示されておらず、大阪市、大阪府のそれぞれの議会内の調整の段階だったため、前回の結果を引きずったといえるでしょう。 

それに対して、今回の決定時点では、新型コロナの第2波が減少に転じたときで、吉村市長のコロナ対策に対する手腕が評価され人気が高まっていたことが大きく、賛成派が大きく上回りました。 

したがって、あくまでも吉村市長の人気によるところが大きく、実際に大阪市民が大阪都構想をよく理解した上で答えているのかは不明であり、この差が実際の投票結果に結び付くのかは確定面もあります。 

前回は事前の世論調査では賛成・反対は拮抗していた 

読売新聞の前回の大阪都構想の住民投票決定時点、今年4月時点、今年9月時点での、大阪都構想に対する世論調査における賛成派と反対派の数値は次のように推移しています。 

                賛成            反対 

2015.4            38%            39% 

2020.4            43%            40% 

2020.9            48%            34% 

前回の大阪都構想の住民投票決定時点では、大阪維新の会の橋下市長の人気は低下気味とはいえ、50%を越えるなかでおこなわれており、賛成派と反対派は拮抗していました。しかも、当時は賛成する政党は維新の会のみだったのです。 

また、今年4月時点で見ても、賛成派が上回っていましたが、その差はわずか3ポイントしかありません。 

それに対して9月の結果は、前回や4月の結果に比べて賛成派が14ポイントと差を大きくリードする形になったのです。

ただ別の報道機関の調査では、再びその差が拮抗した状態となっており、状況は再び混沌としてきました。 

大阪都構想住民投票決定時点の世論調査に対して影響を与えた要素は 

今回の大阪都構想に対する世論調査は、新型コロナウイルスの第2波が低下し始めたとはいえ、その強い影響下でおこなわれていいます。

また、そのほかでも影響を与えている可能性のある要素もあると考えられます。その変化要素を見てみることにします。 

新型コロナ禍で吉村大阪府知事の人気が影響、新型コロナウイルス動向も影響の可能性 

大阪府の吉村市長は、新型コロナに対して国に先駆けてさまざまな政策を展開し、それを積極的にメディアに出てアピールしており、非常に人気が高まっています。その新型コロナ対策の人気が今回の世論調査に強く出た可能性があるといえるでしょう。 

それは今年の4月時点との比較でも賛成派と反対派の差が10ポイント以上開いたことでもわかります。 

ただし、今後世論調査時点から最終的な住民投票まで50日程度時間があり、気温の低下とともに新型コロナ第3波の可能性もあります。 

新型コロナウイルスに対する吉村知事の対策もすでに出尽くし感が出ており、人気が維持できるかは不安な面もあるといえるでしょう。 

毎日新聞の世論調査では、住民投票時期についての質問では、「感染収束してから実施すべきだ」が35%ほどあり、その動向次第で変わってくる可能性があるのです。 

公明党の賛成による影響 

前回の大阪都構想の住民投票時との大きな違いとして、前回は賛成派政党は大阪維新の会だけでしたが、今回は公明党が賛成に回っている点が世論調査に影響を与えている可能性があります。

ただ、朝日報道とJX通信社の世論調査では、 どちらかといえば反対、強く反対を合わせた割合がほぼ50%でした。ただ、どちらともいえないが25%ほどあるため、この層がどちらにいくかが今後の焦点になりそうです。

大阪自民党府連内の混乱の影響 

今回の大阪府の自民党府連は前回同様に反対しています。

しかし、自民党府議団の幹事長が都構想賛成を主張するなど、以前と比べると若干の混乱が見られます。最終的に反対であると決め、都構想賛成に関する発言を繰り返した幹事長を厳重注意にするなど、一枚岩で臨もうとする姿勢は見られます。

菅内閣の成立の影響 

大阪都構想を提唱している大阪維新の会の代表である松井一郎氏は自民党の安倍前首相や菅現首相との関係が深く、何度も会談をおこなっています。そのため、国政レベルの自民党では大阪都構想を支持しているといわれているのです。 

ただ、表向きでは党本部も自民党大阪府連も連携しており、菅首相が大阪都構想を巡り、何かしらのアクションをとるかどうかはわかりません。

新型コロナ禍での大阪都構想案の住民投票への影響は 

新型コロナ禍のなかでは、依然として三密は避ける必要があります。前回のように人の集まる場所での街頭演説などによって賛成、反対の主張する機会は限られて来る可能性が高いのです。 

街頭演説であれば、反対政党の数が多いほど、反対派のアピールは有利にならざるを得ません。 

しかし、今回の場合はテレビ、インターネットなどを通して構想案の説明や、賛成、反対意見を展開するが多くなると考えられるため、反対派と賛成派の意見をアピールする機会は差が出ない可能性が高いと言えます。その意味で、住民の意思決定に影響を与える可能性は出てくるでしょう。 

大阪都構想の説明期間が今回は短い 

そのため、大阪都構想の細部にわたる説明は、メディアでの論戦になる可能性が高いですが、その期間は短いといえます。 

その点では、知名度も高く、メディア慣れしている吉村市長が有利になる可能性がある。

ただし、短期間のなかで新型コロナが再び急増しないことが条件になるでしょう。 

大阪都構想に対する大阪市民の投票傾向について 

大阪人の特徴としては、自分の実生活に直接影響があるかどうかしか積極的に動かず、関係なければ、人気のある方向に流される傾向にあるといえます。 

前回の大阪都構想案では実生活に影響が大きいということで、普段の地方選挙での投票率が50%前後と低いのに対して66.8%とかなり高くなったのです。具体的に見てみます。 

大阪知事、市長などには人気のタレントが当選する傾向 

これまでも、大阪市、大阪府の選挙では、タレントなど知名度の高い人が当選する傾向が強かったといえます。 

すなわち、西川きよし氏、横山ノック氏、平松邦夫氏など、市民生活に直接影響しない財政など選挙の争点がはっきりしていない中では知名度の高さがものをいう地域性があると考えられるのです。 

吉村知事の人気が賛成派を増やしてきたが

大阪都構想に対する世論調査において大きな影響を与えた要因の一つとして吉村知事の人気があります。4月時点の賛成派と反対派の差は、9月には一気に14%差まで開いていることでもそれは伺えるのです。 

しかし、わずか5ヵ月で吉村知事の人気で差が広がったということは、逆にいえば、政策に失敗すれば、一気に吉村市長の人気が低下して、賛成派と反対派の差は一気に縮まる可能性もないわけではありません。 

とくに、現在は落ち着きつつある新型コロナウイルス第2波も、気温の低下によって再び急増する可能もないわけではないのです。

すなわち、現在の吉村市長の人気による賛成派の優勢は一時的なものになる可能性もないとはいえません。 

前回も事前予想では橋下市長人気でわずかに賛成派が上回っていたが、本番では負けた 

前回の2015年の大阪都構想の住民投票でも、賛成派が有利といわれていましたが、実際に住民投票がおこなわれた結果は、反対派が僅差で逆転し、大阪都構想は成立しなかったのです。 

したがって、大阪都構想の住民投票に対してはまだまだ不透明な要素があり、吉村知事人気次第でその差が縮まる可能性はないとはいえないのです。 

大阪市民にとっての大阪都構想に対する本音は 

大阪市民は実際に大阪都構想をどう思っているのでしょうか。 

自民党などは、大阪市と大阪府が一緒になることによって行政の市民サービスが低下するという従来からの主張を繰り返しています。前回の住民投票でもこの主張が市民に受け入れられた結果、反対派が勝利しているのです。 

すなわち、大阪市民は自分たちに直接影響する行政サービスに対しては強く反応し、事前の世論調査では若干不利であったにも関わらず、逆転していました。 

今回の世論調査においても、4つの特別行政区の地域内での賛成、反対は拮抗しており、やはり自分たちが当事者になる場合には反対意見も多いといえるのです。 

したがって、今回も大阪人の大阪都構想に対する本音に訴えた結果、反対派の逆転する余地もあるかもしれません。 

この点を見てみることにします。 

大阪市、大阪府の財政に関心はそれほどない 

大阪市民は、財政悪化があったとしても、自分たちの税金や普段の行政との手続きなどで直接的に生活に結びつかなければ、過去の選挙では争点にはなりにくかったといえます。 

しかし、橋下徹氏が維新の会を立ち上げ、大阪の財政の窮状を詳しく訴えたことで過去よりも大阪市民の意識は変わってきたといえるでしょう。 

それでも前回の住民投票では事前の世論調査で若干有利であったにもかかわらず、反対派が勝利しているということは、やはり自分たちの生活に直結する争点がでてくれば、逆転する要素になると考えられます。 

前回の住民投票では、自民党、公明党、共産党などが街頭での事前運動において大阪都構想によって、市民のための窓口が少なくなるなどのデメリットを攻め立てました。

しかし、本来の選挙であれば、対案を示すべきだがそれはおこなわれませんでした。 

それでも住民投票の結果は反対派が逆転しているところに大阪らしさが出ているといえるかもしれません。 

大阪市民は自分達の生活に直結するかどうかに関心 

実際に大阪市民の生活に直結する大阪都構想などの場合には、橋下徹氏の人気をもってしてもだめでした。

今回も吉村知事の人気もあり、事前の世論調査ではかなり賛成派が優勢になっているとはいえ、反対派にとっては逆転の可能性もないとはいえません。 

大阪都構想の住民投票は前回と違う要素がある 逆転の可能性は低いか? 

ただ、今回の大阪都構想の住民投票で、前回と違う点として次の点を考えておく必要があります。 

・新型コロナ禍のなかでは、前回のように街頭演説で市民生活への影響を積極的に訴えることは難しい 

・大阪都構想そのものを大幅に簡略化し、大阪市民に対する生活への影響度を小さくしている 

前回の反省も踏まえ、大胆に変化することがないよう、時間などにも配慮して都構想推進派は大阪都構想を作り上げてきました。

ただ「大阪市廃止・特別区設置」に関する投票なので、大阪市廃止のインパクトが大きいのも事実です。告示日直前で賛成と反対が再び拮抗したことから、投開票日まで予断は許しません。

大阪都構想の世論調査結論のまとめ 

2020年9月3日に大阪市議会で大阪都構想案が成立したことによって、11月1日の住民投票が決まりました。

まだまだ不透明要素がありますが、前回の大阪都構想住民投票時と違う面もあり、やはり大阪都構想が成立する可能性は高いといえるでしょう。