都構想の住民投票、対象者は?大阪市の特別区設置で何が変わる?賛成派と反対派の意見は?

2020.09.25
  • 大阪市に代わって新たに設置される特別区とは?
  • 特別区設置で大阪はどのように変わる?
  • 住民投票は通常の選挙とは意味が大きく異なる
この記事は16分で読めます

2020年11月1日に、大阪の将来を決めることになる大きな出来事があります。 

それは大阪都構想の是非を決める住民投票なのですが、その地域の行政の在り方を住民が投票によって直接決めるので、通常の選挙とは大きく色合いが異なり、そういう意味では歴史的な1日になるともいえるでしょう。 

ここでは、大阪都構想のベースとなる特別区の意味や、住民投票の概要などについて詳しく解説していきます。 

4つの特別区で再編 

大阪都構想の中身を知るうえで基本になるのが「特別区」と呼ばれるものです。 

大阪都構想は、今ある大阪市という政令指定都市を廃止し、4つの特別区として再編する行政制度のことなので、中身を知るうえで「特別区」というものを理解することが大事です。 

特別区とは? 

特別区とは、日本における特別地方公共団体の一種であり、東京都にある23区(いわゆる東京23区)がそれにあたります。 

東京都にある23区と、その他道府県にある区とは大きく意味合いが異なり、「特別区」は都の管轄にあり、「区」は市町村に準じるという点が大きな違いです。 

特別区と行政区の大きな違い 

特別区の区長は選挙によって選ばれますが、政令指定都市の区(行政区)の場合、区長は市長によって選任されます。 

特別区は法律上も一般的な市町村と同じように「基礎的な自治体」と位置づけされていますが、特別区の場合は区長を選挙で選ぶことができるため、これが大きな違いといえます。 

特別区の場合、区長は住民による選挙で選ばれるため、住民の民意が行政に反映されやすいといえるでしょう。 

政令指定都市の問題点 

政令指定都市は大阪市を含め、全国に20都市あります。 

大阪都構想は、この政令指定都市を廃止して4つの特別区で再編する制度なのですが、政令指定都市であるがゆえの問題点を理解しておくことは大事です。 

政令指定都市とは? 

政令指定都市とは日本の大都市制度のひとつであり、都道府県の権限の多く譲渡されているのが大きな特徴です。 

「都道府県と同等の権限を持っている」と考えればわかりやすいでしょう。 

政令指定都市以外の一般的な市の場合、行政の権限はあくまでもその県の管轄内ですが、政令指定都市の場合、府や県とは別に独自に権限を持つため、その市ならではの行政を行うことができます。 

政令指定都市は人口が多いことが基本にあるため、その市が大きな権限を持つと都市開発がスムーズに行え、街が発展しやすいというのが大きなメリットです。 

二重行政が大きな問題 

ですが政令指定都市があろうがなかろうが、その府県に住んでいる住民に方にとっては同じ府県であることにはかわりません。 

例えば大阪の場合、政令指定都市が府と連携し健全に行政を行っていれば、大阪全体の発展につながります。 

しかし、かつてのように仲が悪く連携が取れない場合、横のつながりがなくなってしまうので、効果的な都市開発の妨げになってしまいます。 

こうしたことが、多くの損失や負の遺産を生み出すことになり、「二重行政の問題点」が表面化されました。 

そのような経緯から、大阪を府と市の「府域・市域」で管理するのではなく、政令指定都市を廃止し大阪を「広域」で一元管理する大阪都構想が浮上したといえるでしょう。 

しかし、現在では、大阪府と大阪市が連携をしっかりととることによって、二重行政が解消されています。

どのような形になるの? 

大阪都構想が実現した場合、大阪がこれまでと違いどのような形になるのかは、住民の方が一番気になることだと思います。 

大阪市長はどうなる? 

大阪市が廃止されるため、大阪市長という役職そのものがなくなります。 

ですが、大阪市が廃止された後は、4つの特別区として廃止されるので、特別区の各区長は選挙によって選ばれます。 

区長は選挙によって選ばれるということは、行政における民意が反映されやすいということなので、より住民に近い行政運営が可能になるといえます。 

大阪市役所はどうなる? 

今ある大阪市役所はなくなり、新たに設置された4つの特別区役所が誕生します。 

大阪市を廃止して4つの特別区に分けるのが大阪都構想ですが、元々大阪市には全部で24の区があります。 

4つの特別区の設置は、この24ある区を4つにまとめるということでもあるので、4つに分けられた「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」の4つの区に、大阪市役所に代わる4つの特別区役所が置かれることになります。 

因みに現在ある24の区役所も住民向けの窓口サービスとして残るので、これまでと同じように使うことができるようです。 

市営住宅は? 

今ある大阪市営住宅という呼び名はなくなりますが、特別区営住宅として引き続き運営されます。 

都構想で大阪市が分割・廃止された時に、財源が乏しい特別区がどこまで市営住宅の家賃や環境を維持できるかは未知数です。

教育・保育環境はどうなる? 

その地域の教育・保育行政は大阪に限らず、子供たちの将来を考えた場合、非常に重要なポイントになります。 

学校・施設はこれまで通り 

大阪市に今ある、小中高の学校、市立幼稚園はそのままの形で使えるようです。 

ですが、区分けが再編されるわけですから、「学区によって通う場所が変わるのでは?」と思う親御さんも多いと思います。 

大阪都構想が実現した場合、特別区として大阪市を再編するわけですが、上記でもあるように現在24の区にある区役所はそのまま使われ、住所にも大きな変化が生じないため、日常生活における大きな不具合はないとされています。 

現在の市立小中学校も、所在地の区立と名称が変わるだけなので、基本的には学区は変わらない(例外は除く)とされています。 

少子化などの問題による統合計画によって通う学校が変わることは可能性としてありますが、都構想によって学区が変わるということは基本的にはないようです。 

保育所はどうなるの? 

現状大阪市では「大阪市民なら市内どの保育所にも通える」仕組みになっていますが、都構想が実現し特別区が設置された場合、どのような枠組みになるのかがまだ明確になっていません。 

特別区が設置されるまでに決まることになっていますが、これから保育所を活用して子育てをする親御さんにとっては非常に気なる点だと思います。 

ここでポイントになるのが、特別区に分かれた場合、別の区の保育所に入れるかどうかですが、一部の意見では現在使われている、大阪市の子どもが市外の施設に通える「広域入所」という仕組みが適用されるのでは?ともいわれています。 

ですが、大阪市が4つの特別区に再編された場合、各区にそれぞれ待機児童がいる試算も出ていることから、他の区の待機児童を受け入れる余裕がないことが予想されるので、「広域入所」が適用されることに懐疑的な見方もあります。 

大阪都構想に賛成派・反対派の意見 

住民投票によって行政の在り方を決めるにおいて、専門家や各政党が訴える賛否の意見は非常に参考になります。 

ここからは、これまでの情報を踏まえて、大阪都構想に賛成派・反対派の意見をまとめていきます。 

賛成派の意見 

  • 二重行政の解消 
  • 住民の声が反映されやすい 
  • 行政一元化によって大阪が成長する 

これらの意見が特に多い印象です。 

大阪都構想の大きな目的は「二重行政の解消によってこれまでの無駄をなくす」のが、根本としてあるので、二重行政の解消ができることが賛成派の大きな意見だといえます。 

また、二重行政の解消に伴い行政を広域で一元化することによって、大阪の成長がスムーズにいくというのも賛成派の意見に多くある印象です。 

反対派の意見 

  • 再編コストが大きい 
  • 行政サービスが低下する 

再編コストのわりに都構想にメリットを感じないからやらない方がいいというのが反対派の意見としてあります。 

また、財政調整交付金という府からのお金で、税収の不足を補う仕組みになる予定になっていますが、この交付金には特別区設置にともなって、管理部門が増えたりすることによって支出が増えることが見込まれていない為、お金が足り無くなるとの意見もあります。

大阪都構想メリット・デメリットまとめ 

基本情報や反対・賛成意見など、これまでの情報を踏まえて、大阪都構想メリット・デメリットをまとめていきます。 

メリット・デメリットまとめ 

メリット 
二重行政がなくなり物事がスピーディに決まる 
経費削減ができ住民に反映できる 
民間投資が活発化し大阪が発展する 
区長公選によりより住民に近い行政サービスが可能に 
デメリット 
住所変更による変更手続き 
新システムや維持費など新しいコストが発生する 

現状わかるだけのメリット・デメリットにはこれらのことがあるといえます。 

住民投票のポイント 

ここからは、これまでの情報を踏まえて、住民投票におけるポイントを見ていきたいと思います。 

自分にとっての争点をしっかりと理解する 

大阪市民の方はそれぞれひとり一人の生活環境や価値観が異なるのは当然で、都構想の是非は今後の生活に影響を及ぼすので、住民投票の争点も人によって異なります。 

都構想の内容やそれによる影響から、「住民サービス」「教育・保育」「医療・社会福祉」など、どの部分が自分にとって一番の争点になるのかをしっかりと捉えて、都構想の是非を考えましょう。 

生活にどうのように影響するかを考える 

上記の争点と同じ意味合いですが、一般市民にとっては「財源の在り方」や「二重行政による弊害」などより、「都構想によって暮らしがどのように変化をもたらすか」何よりも大事だといえます。 

極端にいえば「二重行政であっても暮らしが豊かであれば何も問題ない」ということです。 

例えば、自分が今住んでいる住所が変更することで不利益を被れば反対ですし、特別区で再編されることで地域が住みやすくなれば賛成など、自分の生活に直接的にどのような影響を与えるかをしっかりと考えることが最も重要といえます。 

都構想実現は自分にとって「何が得で、何が損であるか」をしっかりと考え、賛成・反対を判断しましょう。 

都構想の決定は住民投票で 

11月1日に大阪都構想の是非が問われる住民投票が実施されます。 

ここからは、11月1日に行われる住民投票の概要や、住民投票を行うことの意味を考えていきます。 

住民投票の概要 

  • 対象 日本国籍を持つ18歳以上の大阪市民220万人 
  • 告示 2020年10月12日 
  • 投開票 2020年11月1日 
  • 期日前投票 有、告示翌日から 

日本国籍を持つ18歳以上の大阪市民220万人を対象に住民投票が行われます。 

11月1日の投開票日に大阪都構想が可決されれば、2025年1月から新制度に移行する予定です。 

住民投票の意味 

大阪都構想の住民投票は、地域の行政の在り方を住民が直接投票することで決めるので、衆・参総選挙や党一地方選などの通常の選挙とは大きく意味が異なります。 

反対であっても賛成であっても、民意が直接政治に届いたことには変わりないので、そういった意味でも通常の選挙に比べ、より民主的で健全といえます。 

大阪都構想の一連の経緯を受け、大阪以外の地域でも今後このような住民投票が活発化する可能性は大いにあるので、そういった意味でも今回の住民投票には大きな意味があるといえるでしょう。 

可決でも否決でも今後の大阪に注目 

11月1日の住民投票によって大阪の行く末がある意味決まることになりますが、可決・否決、結果がどちらであっても、今後の大阪に注目することが大事です。 

可決され都構想が実現した場合、どのように大阪が変化し、どのようなメリット生み、またどのような問題点が浮上したのか、また、否決された場合でも大阪が良くなったのか、それとも逆戻りしてしまったのかなど、どちらにしてもチェックすることが大事です。 

まとめ 

大阪都構想は実現してみないとわからない部分も多くあるため、投票を行う上での判断材料が少ないといった意見もあります。 

ですが、11月1日は都構想の是非が決まってしまうため、今ある情報の中から自分が考える最善の選択をしなければなりません。 

ここまで何度もありましたが、住民投票を行う際は「自分にとってどのような影響を与えるか」を、しっかりと考えることが何よりも大事です。 

地域環境や家庭環境、また暮らしの環境などから、自分が置かれている状況をしっかりと自己分析し、自分にとって最善となる選択を心掛けましょう。