[大阪都構想]特別区と総合区の違いは?導入費用や公務員数、使える予算は?行政サービスはどう変わる?

2020.09.25
  • 大阪都構想の目的と効果とは?
  • 大阪都構想によって二重行政は解決。行政のスリム化が行なわれる。
  • 大阪都構想の今後の動きに注目
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元大阪府知事の橋下徹氏などによって提唱された「大阪都構想」

大阪が抱える問題を解決するためには最適の行政改革であり、今後の日本の地方行政のモデルケースにもなりうるものとして、現在でもなお注目されています。

しかしながら、大阪都構想が導入されることで生じる変更について、ぼんやりとしか知らない人が多いのではないでしょうか。

そこで今回は大阪都構想について、特別区と総合区の違いや導入費用、公務員数、使える予算がどう変わるのか、行政サービスへの影響はどのようなものがあるのかについて詳しく解説していきます。

そもそも大阪都構想とは?

そもそもなぜ大阪都構想ということが必要になったのでしょうか。それには日本の地方行政が抱える制度的な問題などが関係してくるのです。

そこで大阪都構想とはそもそもどういったものか、なぜ必要になったのかについて詳しく解説していきます。

大都市が抱える制度上の問題

大阪などの大都市は「政令指定都市」であり、ある程度の権限を有した行政組織になります。

例えば大阪府では大阪府と大阪市の2つの行政サービスを担う機関が存在し、税金を使用して行政サービスを行なっているのですが、これは二重行政という問題です。

大阪都構想が必要になった背景「二重行政」

大阪では大阪府と大阪市の府知事・市長が存在し、それぞれそこに住む住民のために様々な行政サービスを提供していました。

しかし大阪府と市が存在していると、どこからどこまでが両者の管轄であるかがあいまいになったり、両者の関係の悪化によって意地の張り合いが起きるなど様々な問題が大阪では生じていたのです。

一方で松井市長の答弁では、二重行政は解消されたと述べており、都構想推進派が主張するような状況ではないのも確かです。

それでも大阪府と大阪市それぞれが協力することもなく、お互いに相手よりも上だと示すために税金を無駄に使用し、インフラ整備も進まない状況が生み出される可能性は否定できません。

こういった状況を解決するために、大阪維新の会などが中心となって打ち出したのが「大阪都構想」です。

大阪都構想で得られる変化

大阪都構想を導入することで、大阪という大都市は様々な利益を得ることができるともいわれており様々な地方の注目を浴びているのが現状です。

  • 二重行政の解消
  • 行政サービスの向上
  • 1兆円規模の経済効果
  • インフラ整備の期待

大阪都構想によって得られるとされる変化は、代表的なものを挙げても上記の4つです。

ただし、現時点で二重行政は解消していることを市長が説明しており、都構想で二重行政を仮に解消したとしてもその効果は数十億円程度とあまり効果を感じさせない数値も示されています。

特別区と総合区の違いとは?

大阪都構想ではよく「特別区」と「総合区」というワードを耳にしますがこれはいったいどういった違いがあるのでしょうか。

以下でその違いについて詳しく解説していきます。

特別区とは

現在の日本の行政では「特別区」というのは、東京都の23区しか存在しません。

これは東京のような人口が密集している大都市では、都は大きな行政活動を行う必要がある一方で、生活に密接する行政に関する施作は区などに任せる必要があります。

全てを都に任せてしまうと統一的・画一的な処理が難しくなってしまい行政の適切な運営ができなくなるためです。

そのため都の下に特別区を作り、一定の規模に区分けすることで、負担を割り振ることが可能となり、よりその地域の実情に合った住民サービスを提供できることになります。

総合区とは

東京都は今まで23区という仕組みでうまく回ってきましたが、違った組織で運営を行なっていた大阪府は同じ制度をそのまま導入するというわけにはいきません。

特に特別区の導入によって、現在の大阪市が廃止され新たに4つの区を作ることが予定されています。

東京都のように特別区という仕組みに1からしようとすると、新たにシステムを導入する必要があるので大きな負担がかかるということは容易に想像がつくでしょう。

現在の大阪市という仕組みは依然として残したまま、各区の有している権限を強めていこうというものが「総合区」です。

どちらも目的としては、従来の問題を解決しつつより地域に適合した住民サービスを目指すという点については変わりません。

特別区と総合区の大まかな違いについて以下でまとめるので、両者の違いを対比して確認してみてください。

 特別区総合区
大阪市廃止大阪市は存続
大阪の立ち位置独立した自治体(東京23区と同様)政令市の内部の組織
権限中核市と同じ一般市と同じ程度
区長住民が選挙によって選出議会の同意を得ることで市長が選任
議会住民による選挙によって決定なし
予算独自の予算編成が可能市長への提案が可能

導入費用はかかるのか

大阪都構想を導入することによってどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

実際現在必要とされるといわれている費用について詳しく解説していきます。

初期費用は700億円?

現在大阪都構想を導入することでかかるとされる費用は700億円ともいわれています。

これは新しく庁舎を設備として作るなどの費用として考えられており、他にもシステムの新しい導入などで多額の費用がかかるといわれておりその費用の合計です。

費用削減によって都構想も加速

700億円もかかるとなると、莫大な税金が注ぎ込まれることになるため大阪に住む人々もいい顔はしないでしょう。

この費用は削減可能といわれており、庁舎の建築などをできるだけ抑えつつシステム導入など最低限の費用に抑えると約300億円で済むといわれています。

400億円近く費用を抑えることが可能なのではないかという案もあり、大阪都構想の実現化に向けて現在でも動きが進められており今後の動きに注目です。

ちなみに、総合区に移行する場合のコストは、特別区の5分の1以下とされています。

公務員数の変化

大阪都構想は現在の大阪の二重行政という状況を改善し、大阪の行政サービスのスピードや質の向上を図る仕組みです。

そのため役所がスリム化するというイメージもありますが、実際に公務員の数はどうなるのでしょうか。

都構想で公務員の数はむしろ増える

大阪都構想によって、現在存在している大阪市は無くなり4つの特別区になります。市が今まで行ってきた業務を分担することになるので、その分必要な公務員数も増えるといわれているのです。

現在の大阪都構想では、公務員数は現在よりも300〜400人近く増えるといわれておりその分コストもかかってしまうのではないかという指摘もされているのが現状になります。

公務員数増加で必要なコストは年間21~25億円

公務員数が増加することで必要なコストは年間で21~25億円ともいわれております。

二重行政の解消や税金の節約のために大阪都構想を打ち出したはずが、逆に税金を使うコストが増えてしまうという結果になりかねず、この点は大きな批判が集まっているのが現状です。

使うことのできる予算の変化はあるのか

大阪都構想によって使うことのできる予算に変化はあるのでしょうか。あるのであれば、なぜ変化が生じるのでしょうか。

そこには現在の大阪府が抱える構造的な問題も関係してくるので、合わせて解説していきます。

大阪府は貧乏・大阪市はお金持ちという現状

現在大阪府の懐事情は、大阪府は貧乏・大阪氏はお金持ちという現状です。

これは大阪府全体では大阪市のほかにもさまざまな地区があるので、そういった地域を総合すると大阪府の全体ではお金がなく2500億円近くの赤字が出ているのが現状になります。

一方、大阪市は関西の中でも経済の中心地であり、企業や人が集まっているので1500億円黒字という懐具合です。

こういった状況を解決するためにも都構想が打ち出されています。

都構想により大阪市は廃止、府が予算を管理することに

大阪都構想が実施されると、大阪市は廃止されることになるのは上記の特別・総合区のところでも軽く触れてきました。

その為大阪市が有していた大きな権利・権限と予算は、大阪府が管理することになるのです。いわば借金まみれの大阪府に大阪市が合併吸収されるという形に近いともいえるでしょう。

そのため今まで市が管理していた潤沢な予算を大阪市が管理することになります。

行政サービスはどう変化する?

大阪都構想によって行政サービスはどのように変化するのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

大阪都構想による最大の目的

大阪都構想は主に以下の2つが最大の目的であることは、ここまで解説してきました。

  • 二重行政の解消
  • 行政サービスの地域実態に合わせた提供の実現

二重行政が解消されれば、税金の使用用途の最適化と、行政サービスをより地域の実態にあわせたものを提供することが可能になると都構想推進派は解説します。

大阪都構想は住民サービス向上が最大の目的とされている

大阪都構想によって、行政サービスの質は向上することが期待され、住民もある程度恩恵を受けることができるのではないかという声が聞かれます。

大阪府と大阪市の二重行政が解消されればすべて解決ぐらいの勢いを見せますが、実際のところは色々不透明な部分もあります。

特別区の移行に伴い、公務員が増える試算が出ています。しかし、本来1000人規模で入れないと仕事が回らないのではないかという指摘が出ている状況です。

大阪府全体に関わるような行政業務は大阪府が行い、身近な生活に関するものは新しくできる区に分配する、これが都構想の肝になっていましたが、逆に手が回らなくなる懸念も示されています。

地域に適した行政サービスを期待する声は大きいです。それを大阪都構想に求めている人も多いですが、机上の空論になっても決しておかしくありません。

もちろん、これらの試算は現在の構想段階で考慮される話であり、企業努力ならぬお役所努力によって改善される可能性もあります。今後実際に都構想が実現されるなどの段階になった際には、どういった状態になるかは誰にも分からないので注意が必要です。

まとめ 大阪都構想で様々な変化が生じる可能性も、今後の動きに注目

今回は大阪都構想に関して詳しい内容に踏み込み解説してきました。

簡単にまとめると大阪都構想とは、現在大阪が抱える二重行政という問題を、都構想による行政組織の整理を行なうことで解決しようという試みです。

ただし、2020年8月21日の大阪市議会本会議で松井市長が、「今は二重行政はない」と発言するなど、都構想を実現させる必要はあるのか疑問に思ってしまう部分もあります。

もちろん新しい試みを試す際には、様々な課題が生じるのはつきものです。しかしそういっ課題や問題を乗り越えることで、大阪が生まれ変わる可能性があります。

今後も大阪都構想に関しての動きに注目していきましょう。