都構想の子育て世代への影響

2020.10.26
  • 市民サービスの低下が確実視され、子育て支援もその一つになりうる。
  • カジノ誘致が唯一の成長戦略?稼いだお金で子育て支援?
  • 大阪市の分割による保育や教育への影響も。
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大阪市の廃止分割(いわゆる大阪都構想)が実現した時、私たちの暮らしにはどのような影響が出るのでしょうか。政治に関心が薄いとされがちな、子育て世代に知ってほしい点を纏めました。

市民サービスの低下は避けがたい

大阪市廃止分割で、裁量経費が低下します。自治体が市民ニーズに応えるための、独自に使えるお金です。

大阪市は市民1人あたり10万円近く。それが、廃止分割後の特別区では1/3ほどになります。

大阪市が独自にやってきたサービスを、削らざるを得ません。子ども医療費助成や、塾代助成等、近年大阪市が独自に実現してきた子育て支援は、(独自予算が減るのですから)真っ先にその対象となりやすいはずです。

ちなみに、隣の堺市では、コロナの財政難で、真っ先に第二子の保育料無償化が、維新市長によって打ち切られました。

カジノ誘致が唯一の成長戦略、地元には止められない

特別区の裁量予算が減るのは、大阪府に財源を吸収されるからです。

賛成派は「大阪府に集約して成長戦略に投資すれば、税収が増えて、市民サービスに還元できる」と主張しますが、松井市長らが言う「成長戦略」の柱は、カジノ誘致です。

市民サービスが切り下げられても、カジノ誘致によって稼いで、市民サービスに還元…。それが本当にできるのか、あるいはすべきことなのか、疑問は尽きません。

また、松井市長は会見で、「(大阪市の廃止後にカジノ誘致の地元となる)淀川区長が反対したら?」と問われ、「権限は知事。特別区長が反対しても、事業が遅れたりしない。」と表明しています。

地元にカジノがやってくるのは子育て世代には心配なことですが、大阪市が廃止されて特別区になったら、そんな地元の心配の声も聞いてもらえないようです。

待機児童が増えてしまうかも

大阪市が四つの特別区(自治体)に分割されると、特別区を跨いでの保育所の入所調整は非常に難しくなります。自分の自治体の住民が(現実的には)優先されてしまいますし、別の自治体の空き情報は入りにくいものです。

現在の大阪市では北区が最も利用保留者率が高いのですが(全市平均の約2倍の9.4%)、北区は大阪市廃止後、北側を淀川区、南側を中央区という別の自治体に挟まれ、周辺地域を含めての入所調整がしづらくなり、ますます利用保留や待機児童が増えると見られます。

教員の質の低下も心配される

現在は大阪府内の教員の採用は、政令市である大阪市、堺市が独自に行い、それ以外の市町村の分は大阪府が一括して採用活動をしています。大阪市廃止後は、四つの特別区がそれぞれに採用活動をすることになっています。

大阪府採用、堺市採用、そして天王寺区採用、北区採用…という風に。4区バラバラの採用活動で非効率になることは言うまでもありませんが、大阪市採用に比べれば、ネームバリューが格段に落ちてしまいます。教員の質・量の低下が懸念されます。そのしわ寄せは子どもたちに・・。

子育て世代も選挙に!

大阪市の廃止分割は、生活に大きな影響を及ぼしますし、それは子育て世代にも同じことです。メリット、デメリットを確認し、子どもたちのためにも、ぜひ貴重な一票を行使してください。

政令指定都市

政令指定都市は、日本の大都市制度の1つで2020年現在、全国に20市が存在しています。地方自治法第252条の19が定める指定要件では「政令で指定する人口50万人以上の市」となっています。
都道府県の権限の多くを委譲されることで「都道府県と同等」されており、地域の実情に合わせたサービスやまちづくりが可能です。政令指定都市内には行政区が設置されます。

特別区

特別区は、市町村と同様に、住民にもっとも近い基礎的な自治体です。区長及び区議会は、選挙によって選びます。条例の制定や、税の徴収行います。大阪市(政令指定都市)にも24の「区」がありますが、自治体である特別区とは異なり、住民の利便性のために設けられた行政区画(行政区)です。