2020.10.31
都構想調査委員会

数字は正しいとしていた財政局の「特別区の基準財政需要額、年間200億円上振れ」問題。

一転し「松井市長に叱責された」「間違いだった」と財政局長が涙目で会見させられるという異常事態となっていますが、これまでの法定協議会での副首都推進局の答弁や、財政局の説明を総合すると、「やはり財政局の今回試算は正しい」としか言いようがありません。

これは「維新にとって」都合の悪い真の情報、数字を、松井一郎市長が、その職権を悪用し、隠蔽をたという構図で間違いなさそうです。

石川市議によれば27日に問い合わせたところのように部局から説明を受けていたといいます。

「誤解されないよう注意は要しながらも、正当な手続きを経て、根拠をもって出されたもの、との説明を27(火)に局員から受けた 」と。

これは財政局がもともとマスコミ各社に話してた内容とほぼ同じです。
これが松井一郎の鶴の一声で謝罪会見になるというのは異常なことです。

財政局はあくまで「公開すべきではなかった」と言ってるにすぎない

前回この経緯を報じた際に詳しく書きましたが、要は財政局は松井一郎市長に叱責され、「今、市として副首都推進局と違う数字を出すべきではなかった」と言ってるだけで、また数字に関しても「特別区化の都市の姿がどういったものになるか分からないので、試算数字との差がどれだけあるか分からない」としてるだけです。

つまり、試算としては根拠はある試算をしているが、その試算数字と比較するべき実際の特別区の姿が分からないので間違いというのです。

これはおかしな話で、基準財政需要額とは、自治体運営に最低限必要な金額を算定するものであり、維新の言うように「現状サービス維持」というのなら、副首都推進局の数字と財政局の今回の数字がこんなに乖離(かいり)するはずがないのです。

大きく足りないことになるということは、「(現状サービスを維持するには)お金が足りない」か、副首都推進局の数字は市民に隠して「サービスの大幅な削減が前提とされている」のです。

「運営に最低限必要な金額」=「住民サービスの量」ですから。

分市として試算することに妥当性はある

今回の財政局の試算は、大阪市の現状サービスを4分し、そこから消防など特別化により府に移管する事業を引いて、簡易的に特別区の基準財政需要額を算出したといいます。

これについて、法定協議会で副首都推進局自身が重要な答弁を残しています。

第27回法定協議会

「特別区の基準財政需要額」について、基本的には「中核市として積み上げる」としています。

また維新の会や松井市長も繰り返し、新特別区を「中核市並」「スーパー特別区」などと称しており、特別区でなく市として需要を積み上げることに妥当性はあります。

さらに財政局に問い合わせたところ、政令市としてでなく、中核市や一般市として算出しても大差の無い数字となるといいます。

「今回の試算は、総務省の政令市用の計算式で試算したが中核市や一般市の計算式で計算しても数値の上振れ下振れはあまり無い 」。

https://twitter.com/bdftakki1/status/1321581688539901954 (現在投稿は削除されています)

さらに「一方、副首都推進局の担当に何度も質問した結果、基準財政需要額が増加する事を認めています 」。

https://twitter.com/bdftakki1/status/1321582815314501634 (現在投稿は削除されています)

そりゃそうでしょう。

「現状サービスを維持」「サービスは変わりません」と言ってるのですから、制度的に府へ行く以外は積み上げていいはずであり、今の政令市のまま分割して計算しても妥当な数字となるはずで、中核市にしても一般市にしてもサービスにかかるコストが変わるわけではありませんので、財政局の言う通り、大差は無いのだろうと思われます。

よって、財政局による「現状を4分して218億円コスト増、そこから消防などを引いて年間200億円のコスト増」…は、相当な信頼性のある数字と言わざるを得ません。

あくまで財政局長の謝罪会見でも、(副首都推進局が詳細示していないゆえに)実際の都市の姿が分からないため、財政局試算の数値との乖離が分からないというものです。

問題があるとすれば、特別区の詳細な事業内容を決めていない副首都推進局と松井市長が悪く、白紙委任状になっているのです。

あくまで財政局の出した年間200億円増試算は、「基準財政需要額」の話であり自治体の最低限の運営費の話です。

これが満たされていない副首都推進局の試算こそがスケールデメリットを盛り込んでいない隠蔽なのです。 「住民サービスがそのまま」ならばスケールデメリットコストは存在するし、今回の財政局の分市試算は「正しい」。

もしこのコストが「無い」というのならば、基準財政需要額が200億円少ないということであり、「現状住民サービスは維持される」は嘘で、特別区は「中核市並み」「スーパー特別区」などという喧伝は大嘘ということです。

どちらに転んでも、副首都推進局の情報隠蔽は明らかであり、今回の財政局による試算は、市民に正しい情報を忖度せず、請求に従い出したというべきものであり、「公僕の鑑」です。

副首都推進局、松井一郎市長の隠蔽こそが問題と言わざるを得ません。